2016年08月09日

黒潮の雰囲気に流されて(第15話)

「ねえ先輩。再来週の日曜日空いてませんか?大阪で待ってまーす。」

遥からのお誘い。

ちょうど空いてるし。

「良かった。じゃあ、朝9時に新大阪駅まで迎えに来てください。よろしくです♪」

朝9時に大阪って、徳島6時出発じゃないか・・・。いつも振り回されるなぁ。嫌いじゃないけど。



そして、日曜日。

早起きして、大鳴門橋と明石海峡大橋を渡り、合流。

遥「お久しぶりです。先輩。私に逢えなくて寂しかったですか?」

俺「うん。とっても寂しかったよ〜。って、結構早起きだったんだけど・・・。」

遥「こんな時間に来てくれるなんて、愛の力ですね。嬉しい。」

俺「はいはい。ところで、今日はどこ行きたいの?とりあえず、車に乗るか?」

遥「もちろん、ドライブ連れてってくださいね。」

俺「神戸、大阪、京都、淡路島、どこでも連れて行ってあげるよ」

遥「う〜ん、行ったことのないところがいいな。じゃあ、和歌山とか!」

俺「和歌山?何があるの?」

遥「わかんないけど、初めての県がいいの。だから、レッツゴー!」

俺「はいはい。でも、明日は仕事だから、あんまり遠くまでは行けないよ。」

遥「わかってます。私も東京に帰らないとダメだから大丈夫。」



車は阪和高速に乗り、海沿いを進む。

遥「海沿いの景色、首都高速湾岸線に似てるね。もっと自然な海がみたいわ。」

俺「和歌山県に入ったら、そんな海に出会えるかもね。」

車は南下を続け、和歌山県へ。

紀ノ川SAで休憩。

遥「ねえ、見て見て〜。みかんジュースがいっぱい。面白〜い。」

俺「ホントだ。飲み比べてみようか。甘いのと、酸味が強いのと両方。」

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俺「はっさく、酸っぱいね。」

遥「酸っぱいけど、ビタミンたっぷり。日焼けにはビタミンCが欠かせないから、夏には最高。」

俺「きよみは、甘くて美味しい。」

遥「先輩、子供みたい。うふっ。」



SAで情報を得て、和歌山マリーナシティへ。



フランス風の広場。

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イタリア風の路地。

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遥「なんか、デートっぽくなってきましたね。」

恋人つなぎで寄り添う2人。

俺「腹減った〜。」

遥「ムードないんだから。もう〜。でも私もお腹すいたけどね。」

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黒潮市場でマグロの解体ショー。

遥「マグロは美味しいし、お土産はミカンと梅だらけ。面白〜い。」

俺「ホントに。楽しいな〜。」



遥「でも、まだ帰らないわよ。南紀白浜の海に向かってGO!」

俺「もう昼下がりだから、そんなに遠くまで行けないよ。」

遥「途中まででもいいからいいから。とりあえず南下してきれいな海を見せてちょうだい。」



車はさらに南下し、ミカンの町、梅の町、そして美しい海が広がる町を堪能。



俺「おい、そろそろ帰るぞ。」

遥「は〜い。」

俺「新大阪まで2時間以上かかるじゃん。しかも大渋滞。新幹線はラスト何時?」

遥「えっと、21時かな。」



俺「全然車が進まないよ。新幹線間に合わないかも。」

遥「じゃあ、大阪で1泊しちゃいましょうか。」

俺「えっ?仕事じゃないの?」

遥「実は、明日はお休みでした〜。」

俺「なんたよ。俺、ふつうに仕事だけど。」

遥「朝早く起きれば大丈夫。ちょっとくらい遅刻したっていいから、今夜は楽しみましょう!」

俺「全然良くないんですけど・・・。」

遥「とりあえず、スマホでホテル取れました。だから、もう急がなくていいですよ。ゆっくり帰りましょう。」



SAで見つけた「平和クラフトビール」を飲み出す遥。



俺「黒潮にいいように流されて漂流している気分なんですけど・・・」

遥「私と夜を過ごせるなんて、贅沢だぞ!うふっ。」

俺「まあ、いいけどさ。で、いつから泊まる気だったの?どこまでが計算なの?」

遥「ご想像におまかせしてま〜す。先輩、大好き。」





<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)

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阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

<第12話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

<第13話はこちら>
幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)

<第14話はこちら>
幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)



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2016年05月07日

幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

遥「私はその頃も船橋とか成田山とかでkou先輩とデートしてましたよ。やったー。咲良さんに勝ってる所もありました。」

咲良「遥ちゃん、負けず嫌いだね・・・。面白い。」

遥「だって、ずっと咲良さんには負けてたんだから、1つくらい勝ちたいですよ。」

咲良「遥ちゃんが勝ってる所なんて、たくさんあるのにな。」

房総半島の最南端に到着。

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海に囲まれる。

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遥「絶景ですねー。」

咲良「海が広がってるね。癒されるー。」

遥「海って、心が和みますよね。そして、思い出す。」

咲良「うん。思い出すね。」

遥「kou先輩との小樽の海ですか?」

咲良「そうだね・・・。懐かしいな。」

遥「私だって、瀬戸内海とか・・・先輩の海の思い出をたくさん上塗りしてますよ!」

少しの間、沈黙が辺りを包み、波の音だけが響き渡る。



咲良「遥ちゃん、私ね、新しい彼氏が出来たの。」

遥「えっ・・・。そうなんですか・・・。いつからですか?」

咲良「まだ、つき合って2週間くらいだよ。」

遥「そうなんだ。どんな人ですか?」

咲良「仕事の関係で知り合った人なんだけど、実は結構年下なの。優しくて、芯が強くて真っ直ぐな人、かな。」

遥「優しくて、真っ直ぐな人だなんて、先輩みたいですね・・・。」

咲良「ううん、全然似てないよ。」

遥「それで、咲良さんは先輩のこと、完全に忘れられたんですか?」

咲良「難しいけど、忘れるしかないよね。これから時間をかけて。忘れるためにも、kouには伝えたよ。彼氏が出来たよって。」

遥「先輩に伝えたんですか?先輩は、何て言ってました?」

咲良「kouはね『おめでとう!応援するよ!』って」。

遥「咲良さんは、忘れるために頑張ってるんですね。私は、どうやったら忘れられるかな・・・」

海はずっと波を打ち続け、水しぶきと潮の香りを運んでくれた。



2人は海を後にし、宿にたどり着いた。

房総半島と言えば、伊勢海老。千葉県は伊勢海老の水揚げが日本一だ。

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遥「伊勢海老も海の幸も全部美味しいですね。」

咲良「花と海に囲まれて。美味しい海の幸と温泉があって、ホント幸せ過ぎる。」

遥「今日も、日本酒が進んじゃいますね。」

咲良「遥ちゃん、温泉にもう1回入るんだから、飲み過ぎちゃダメよ。」

遥「はーい。でも飲まずにいられないですけどねっ。」



酔いが進む前に温泉に入り、また飲み直す2人。

咲良「遥ちゃんは、彼のこと本当に好きなんだね。」

遥「好きですよ。咲良さんよりも、先輩を好きな自信があります。でも、彼にとって咲良さんは特別なんです。」

咲良「私はね、そんなに好きじゃないかも。ってゆうか、大学時代につき合っていた頃は本気で好きだったよ。でも10年以上会ってなかったし、その間に結婚もしたし、離婚もしたし。その10年以上の間、彼は私の人生に登場してこなかったから、ずっと好きだったわけじゃない。そういう意味では、遥ちゃんの方が長い関係よね。私は、たぶん負けてる。」

遥「私は、その10年間彼に愛されてきました。私だけが特別な存在だと思ってました。でも去年、鹿児島で先輩と咲良さんが偶然出会ってしまっただけで、たった1回再会しただけで、咲良さんはまた先輩の中で特別な存在になってしまったんです。それはとても悔しいですよ。」

咲良「そう。私も10年以上も彼のことなんて頭の中になかったのに、鹿児島で偶然出会って、一緒にお酒を飲んでいたら、幸せだったあの頃を思い出して、あの頃のように愛して欲しいって思ったの。止まっていたはずの時計の針が、動き出してしまった感じ。やっぱり運命の人なのかなって思っちゃった。」

遥「羨ましいな、そんな一瞬であの頃の関係に戻れるなんて。それを聞いて、泣いた日もあるし、自信を失った日もあります。咲良さんが、私の中でいつも輝いて見えるから。」

咲良「私も10年以上ぶりに愛されて幸せで、運命かもってさえ思ったけど、現実が待ち構えているの。彼には奥さんがいて子供がいる。時計の針は戻ったようで、実際の時間は戻らないのよ。それを思い出すと、私も悲しくて泣いた日もある。だからね、こないだも話したけど、後悔もしたくないし、過去にもすがりたくないから、前を向いて生きるしかないのよ。そう思って、新しい恋に踏み出せたところなの。」

遥「先輩には、過去には咲良さんがいて、現在には奥さんがいるの。私はいつも1番にはなれない・・・。新しい恋、私も踏み出せるかな。」

咲良「遥ちゃんは、彼とどうしたいの?このままでいいの?結婚まで考えてるの?」

遥「先輩が奥さんとお子さんを愛してるのはわかってます。だから、先輩との結婚に期待を持つほど私も子供じゃありませんよ。私だって、この10年間の間にいろんな恋をしてきましたから。年上も、年下も、バツイチともつき合いました。先輩には全部内緒でしたけど。でも、先輩よりもいい男には一度も出会えていないんです。『この人なら』って男と出会ったら、すぐに先輩に自慢しようって決めてるんですけどね。」

咲良「遥ちゃんも、いろんな経験をして、いろいろ悩んでるんだよね。そんな歳だもんね、私たち。」

遥「私も、本当は後悔もしたくないから前に向かっていきたいんだけど、どんな後悔が待ってるか考えると怖くて、泣いちゃいます。先輩よりも素敵な男に出会えたら幸せだけど、出会えなくて先輩までも失ってしまったら、私は強く生きていく自信がないです。もし、先輩よりも素敵な男に出会えないんなら、無理に結婚なんかしないで、先輩の特別な人であり続けるしかないのかなって、諦めも感じつつあるんですけどね・・・。泣いてばかりの人生になりそうですけど。」

咲良「私だって、新しい彼と本当に愛を育めるのか、不安で心配で眠れない日もあるよ。でも、私は諦めたくない。」

遥「先輩っていう逃げ場があるから、甘えちゃうのかな。一度、断ち切らないと幸せを掴めないのかもしれないなって思うこともあります。もちろん。でも、失うにはかけがえのない人だから。」

咲良「答えはわからないよね。何が正しいのか、何が幸せなのかは、わからない・・・。」



咲良「今日見た花、とってもきれいに咲いていたよね。幸せの花が私にも咲くのかなって不安になる時もある。でもね、女の涙の中にはね、幸せの花が少しづつ咲いていくんだよ。幸せの花は、涙の先にあるの。泣き止んだ微笑みの中に。だから、泣いてもいいし、強がる必要もない。ちゃんと芽を出して、やがて花は咲くの。そう信じてるんだ。」

遥「咲良さん・・・。私も、たくさん泣いちゃうこともあるけど、幸せの花が少しづつ咲いてるかな。」

咲良「きっと咲いてるよ。そう信じよう。」



ねえ、貴方のせいでたくさん涙を流してるよ。

それでも貴方を愛しているの。

涙の中で、幸せの花が少しづつ咲いているの。

貴方の前で微笑む時にも、咲いてるのよ。

貴方にも、ちゃんと見えてますか?






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咲良がさくとき(鹿児島編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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2016年05月06日

幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)

「咲良さん、そういえば東京にいらっしゃるんですよね。久しぶりにお会いしたいです。ご都合の良い週末があれば、2人で女子旅しませんか?」

遥ちゃんからのメール。

遥ちゃんとはお正月に札幌で再会した後もたまに連絡を取り合っていたけど、「東京に引っ越しが決まったよ」と連絡して、「近いうちに飲みに行きましょう」と言われてから、連絡を取らなくなった。

職場が変わって私が忙しくなったからなのかもしれないし、いつでも会える距離に近づいたからなのかもしれない。

それなのに、このタイミングで連絡が来るなんて、先週kouとワイン巡りに行ったばかりだから、遥ちゃんも何か感ずるものがあったのかな。

でも、遥ちゃんとは会いたいな。女子旅も面白そうだし。



咲良「遥ちゃん久しぶりだね。来月の2週目と3週目の週末は大丈夫だよ。ぜひ女子旅行きたい!」

遥「ありがとうございまーす。じゃあ、来月の2週目でお願いします。土曜日の朝から1泊2日で。場所は私に任せてもらっていいですか?」

咲良「うん。お任せします。楽しみだね。」

あっという間に、遥ちゃんとの女子旅が決まった。さすが私と遥ちゃんの間柄。楽しい旅になればいいな。

数日後、遥ちゃんからメールが来た。

遥「場所は決まりました。花と魚の房総半島です。私の運転で行きますので、安心してください。」



土曜日の朝。遥の運転で女子旅が始まった。

咲良「遥ちゃん、今日は誘ってくれて、運転もしてくれてありがとう。とっても嬉しいよ。」

遥「こちらこそありがとうございます。私も咲良さんに会えて嬉しいです。いろいろ話したかったです。」

咲良「そうだね。天気もいいし、アクアラインも房総半島も初めてだから楽しみ。」

お互いの仕事や生活の近況報告で快適なドライブは進み、房総半島を順調に南下。

まずは南房総で花めぐり。

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花々に囲まれて。

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咲良「初めて房総半島に来たんだけど、東京から数時間でこんなに花に囲まれるなんてヤバいね。最高。」

遥「房総半島初めてなんですね。実は私もです。近いのに、こんなに花が咲いてるなんてホント素敵〜。」

咲良「花に囲まれると心が癒されるね。さすが遥ちゃん。ナイスチョイス!」

遥「ありがとうございます。でも、本当は房総半島に決めた理由があるんですよ。咲良さん、わかりますか?」

咲良「えっ、なんでだろう。花がきれいで魚が美味しい。とかじゃなくて?」

遥「もちろん、それもあるんですけどね。癒されたかったし。それよりももっと大きな理由があるんです。」

咲良「なんだろう。私か遥ちゃんに関係あるのかな?暴走してるとか?」

遥「咲良さんと行くなら千葉県って決めてました。千葉県、kou先輩が5年間住んでいた所ですから。私と咲良さんに相応しいかなって思って、決めました。」

咲良「そっかー。kouって千葉に住んでたんだよね。その頃のkouのことは全然知らないな〜。」

遥「私はその頃も船橋とか成田山とかでkou先輩とデートしてましたよ。やったー。咲良さんに勝ってる所もありました。」








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ワインの花がまだ開かなくても(第12話)


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2016年04月28日

ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

遥が徳島に来た1週間後、咲良から連絡がきた。

「大阪から東京に転勤になったよ。また東京で頑張るね。」

咲良も遥も、東京か。



そして夏、東京出張が決まった。

今までは東京に行くたびに遥に逢っていた。

でも、今回は咲良も東京にいる。

咲良に逢うべきか、遥に逢うべきか、どちらにも逢わないべきか。

数日悩んだ末、俺が声をかけたのは・・・

俺「来週の金曜に出張で東京に行くんだけど、金曜か土曜に逢える?」



彼からメールを貰って、嬉しさも大きかったけど、戸惑いも大きかった。

なぜなら、私には気になっている人が出来て、新しい恋の予感が生まれたところ。

だから、本当はもう彼には逢ってはいけないんだと思う。

でも彼に逢いたいし、新しい恋についても背中を押してもらいたい。

どうしていいかわからないから、その日は返信出来なかった。

1日悩んで結論が出た。

過去にすがってもいけないし、過ちが起きてしまってはいけないから、金曜日の夜は逢わない。

土曜日の日中だけ逢うことにした。

最後の思い出に。

咲良「久しぶりだね。連絡ありがとう。金曜日は遅くまで約束があるの。ゴメンね。でも土曜日は大丈夫だよ。」



咲良から返信が来た。

金曜日の夜がメインなのに、逢えないのか。

残念だけど、そう都合よくばかりはいかないよな。

俺「ありがとう。じゃあ土曜日によろしく。どこか行きたいところある?」

咲良「最近、ワインの魅力に惹きつけられてて、勝沼のワイナリーに行ってみたい。」





金曜日、東京での仕事は無事に終わった。

会社の後輩に軽く付き合ってもらい、ほろ酔い気分で新宿のビジネスホテルにチェックインした。

時計を見ると10時。

「遥を誘えば良かったかな・・・」

寂しさのあまり、遥のことを考えてしまう。

俺「新宿のホテルに入ったよ。明日はよろしくね。勝沼に行くのは初めてだから、楽しみだよ。」

咲良にメールを送る。

すぐに返信が来る。

咲良「やっぱり、逢いたい。今から部屋に行って泊まってもいい?」



しばらくして、部屋に咲良が来た。

咲良に会うのは鹿児島以来、1年以上経つ。

俺「ありがとう。嬉しいよ。」

咲良「ごめんね・・・、急に・・・。」

俺「謝らなくていいよ、何も言わなくていいから・・・。おいで。」

俺は咲良を抱き寄せた。

俺「俺は咲良のすべてを受け入れるから・・・」



出会ってしまえば、決して止めることのできない、特別な2人の愛。






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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)

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阿波で心も浮いてきた(第10話)

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2016年04月27日

阿波で心も浮いてきた(第10話)

俺と遥はしまなみ海道を渡り、広島に抜け、岡山から瀬戸大橋を渡り、四国に戻るところだった。

遥「瀬戸大橋、長いですね。真っ直ぐー」

俺「そうだね。でも横風が強くて、車が揺れる〜」

遥「揺れる〜想い〜体じゅう感じて〜。先輩、感じてくれてますか?遥の想い。」

俺「感じてるよ。もちろん。でも、今は横風を一番感じてる・・・ちょっと怖い。」

遥「結構な距離を運転させてしまいましたね。夜は、マッサージで癒してあげますから。お楽しみに!」

瀬戸大橋を無事に通過し、香川県から徳島県に戻る。



俺「徳島着いたら、何食べる?鯛とか魚系か、阿波尾鶏系がおススメだけど。」

遥「そうですねー。先輩と一緒なら何でもいいけど・・・今日は阿波尾鶏で!」

俺「了解。ところで、宿は取ったんだっけ?」

遥「宿?取ってないですよ。私を1人にする気ですか?そんなわけないですよね!」

俺「はいはい。お付き合いしますよ。」



空腹もピークになりつつある頃、徳島に到着。

阿波尾鶏を堪能。

99319456.jpg阿波尾鶏


遥「美味しいですね。阿波尾鶏。一度見てみたいな〜阿波おどりも。」

俺「阿波おどりも凄いよ。本当に感動と興奮。男おどりも女おどりも素晴らしい!」

遥「すぐに約束できる関係ならいいんだけどね・・・」

俺「そうだな・・・」

口数が減り、すだち酒を飲む。



遥「年末に、札幌で咲良さんに逢いましたよ。」

俺「咲良に会ったんだ。元気だった?」

遥「元気でしたよ。私もホント久しぶりに会いました。偶然会って、そのまま遅くまで2人で飲みながら語り合いました。」

俺「偶然会ったんだ。そして遅くまで語り合うなんて、凄いね。何話したの?」

遥「何話したと思います?気になりますか?特別な2人ですもんね。」

俺「別に気にならないよ・・・。お前らだって、よき先輩と後輩だもん、積もる話もあるだろうし。」

遥「私と咲良さんには共通の点があるんですよ。わかりますか?」

俺「なんだろう・・・。難しいな・・・。」

遥「それはね・・・。まだ教えてあげない。もう1軒行きましょう。徳島のお酒が飲めるところでゆっくりと。」



場所を変えて、「すだち」と「なると金時」のお酒を堪能。

3fe0de98.jpgすだち酒


遥「で、私と咲良さんの共通点は?わかりましたか?」

俺「共通点ね。どっちも、いい女。」

遥「それは当たり前じゃないですか。心当たりがあるけど、言いにくいですよね。」

俺「心当たりね・・・。」

遥「じゃあ質問を変えます。先輩は優しくて良いところがいっぱいあるんですけど、1つだけ大きな欠点があります。わかりますか?」

俺「なんだろう。欠点はいっぱいあるからさ。」

遥「それはね。私と咲良さん2人に優しくて、それぞれに特別な人って思わせているところ。それって、本当の優しさなんかじゃないの。」

俺「そうなのかもしれないな。」

遥「私はそれに気付いたの。それでも、先輩のことを忘れられなくって、また逢いに来ちゃうの。ダメな女。」

俺「ダメなのは俺の方だよ。俺がダメな男なだけ。」

遥「先輩、本当に悪いと思ってる?お詫びしたい?」

俺「悪いと思ってるよ。お詫びしたい。」

遥「じゃあ、今日は先輩の家に泊めてください。家族の、夫婦の聖域で、私を愛する自信と覚悟ありますか?」

俺「ああ。泊まれよ。それくらいの覚悟はあるよ。半端な気持ちでお前を愛してないから。」

遥「ウフフ。じゃあ、おじゃまします。いっぱい愛してくださいね。」

俺「俺だけじゃなくて、やっぱりお前も相当悪い女なのかもしれないな。」

遥「今頃気がついたんですか?もっと早く気がつけば良かったですね。でも、もう遅いですよ。ウフフ。」



お先のお方にお負けなよ。わたしは負けるの大嫌い。

ひょうたんばかりが浮きものか。私の心も浮いてきた。

阿波・徳島の夜。








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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)

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2016年04月26日

阿波で心も浮いてきた(第9話)

時は3月。桜が咲いている。

咲良からも遥からも、年明けに「あけおめ」メールが来て以来、連絡もない。

「あいつら、いい恋してればいいな」なんて思いながら、桜の木の下のカップルを眺めている。

そんな折の、1通のメール。



「先輩、元気ですか?金曜日、急に神戸出張に決まったんですけど、土曜日逢えませんか?ちょっとでも逢えたら、徳島まで行きますよ!でも、ご家族の予定があれば、諦めますから・・・(笑)」

遥からのメールだ。

「元気だよ。遥は?偶然だけど、家族は春休みで実家の山形に帰ってるから、土曜日大丈夫だよ。俺も逢いたかった。俺が神戸まで行こうか?」

すぐにメールを返す。

「逢えるんだ。やったー、嬉しい!私が徳島まで行きますよ。四国は初めてだから。それと、先輩が住んでる街を手をつないで歩いてみたいからっ。」

「じゃあ、楽しみに待ってるね。お気をつけて!」

「お・も・て・な・し、期待してますよ。」

週末はもうすぐ。さて、どうしようか。



土曜日の朝、徳島駅で高速バスを降り立った遥を迎える。

俺「長旅お疲れさん。徳島にようこそ。」

遥の荷物をさりげなく持つ。

遥「お久しぶりです。逢いたかった。」

休日の午前中から、遥は熱い抱擁を交わしてくる。

遥「徳島って、ヤシの木があって南国チックですね。面白い。」

俺「そうだよね。四国は北海道と全然違って、とてもいいところだよ。」

駅前の駐車場でトランクに荷物を積み、車に乗り込む。

俺「で、どっか行きたいところある?かずら橋?うず潮?桜?それとも高知や愛媛まで行く?」

遥「桜はキライです。響きが嫌。天気もいいからゆっくりドライブしたいです。海がいいな。」

俺の車は、西に向かって走り出した。



積もる話もたくさんあり、話題には事欠かない。

この居心地の良さ。やっぱり、惹かれ合う2人の間には特別な想いが詰まっている。

俺「恋はどう?芽生えてるか?」

遥「芽生えてたら、また先輩なんかに逢いに来ませんよーだ。」

俺「適当なドライブだからなんも情報ないけど、とりあえずなんか食うか。」

遥「行き当たりばったりで、水曜どうでしょうみたいでなんかいい感じ。」

俺「このゆるい感じでも楽しめる関係がいいよね。お前はやっぱり最高だよ。」

遥「じゃあ、ここで食べよう。「漁師めし」だって。面白そう。」

35c7a7f0.jpg漁師めし


俺「なんか近くに今治城ってお城があるみたいだけど、興味ある?」

遥「せっかくだから行ってみたいです、殿」

俺「お前もその気じゃないか。こっちにもっとよれ。」

遥「とっ、殿。お戯れを・・・」

俺「えーい、何を今さら・・・って危ないわ!事故るわ!」

遥「じゃあ、夜までおあずけね。ウフフっ。」

そんなこんなで今治城。

a77d755e.jpg今治城


俺「ここまで来たから、しまなみ海道を渡って、広島まで行こうか。で、瀬戸大橋を渡って帰って来よう。」

遥「私、神戸から高速バスで明石海峡大橋を渡ってきたから、今日だけでぜんぶ制覇出来ちゃいますね。凄い。行きましょう!」

因島の橋のふもとで休憩。

79a3aeb1.jpg因島


俺「海がきれいだね。」

遥「ホント癒される。ありがとう・・・。ねえ、ここなら誰も見てないから、キスして・・・。」

遥が目を瞑り、俺に身体を寄せてくる。

俺「遥。逢いに来てくれてありがとう。大好きだよ。」

土曜日の昼下がり。

大自然の下で、熱い抱擁とキスを交わす2人。

遥「やっぱり、離れられないくらい、大好き・・・。」










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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)



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2016年04月21日

タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第8話>


遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」

咲良「えっ、そうなんだ・・・。仲いいんだね。羨ましいな。」

咲良の本音が出た。

遥「私も、学生時代から先輩とつき合ってた咲良さんのこと、ずっと羨ましかったですよ。」

遥も本音で応える。

咲良「そっか・・・。なんか、不思議だね。」

空になったグラスを見て、お酒を追加で注文する。



遥「咲良さんは、なんでkou先輩と別れたんですか?」

咲良「いろいろあったんだけど、kouの優しさが、頼りなさに感じちゃったの。そんな時に、年上でとても頼りがいのある人に出会って・・・。結局はkouと別れて、その人と結婚してしまったの。」

咲良は覚悟を決めて、全てさらけ出す。

咲良「結局、その人の頼りがいって、うわべだけだったんだけどね。だから、離婚しちゃったの。今思えば、kouの優しさこそが真の強さだったんだけどね。若いから、私には気付くことが出来なかったの。」

遥「そうなんですね・・・。すいません。でも、もう1つだけ聞かせてください。kou先輩と別れて、後悔してますか?」

咲良「後悔してないって言ったら嘘になるけど、後悔してるとも言いたくない。だって、私が選んだ道だからね。私は、この道で幸せをつかまなければいけないんだから。後ろを振り向いても何も生まれないから。」

遥「咲良さん、強いですね。私は、kou先輩のことが好きです。先輩とは男と女の仲になってます。先輩は、結婚してるけど・・・。でも、私は前だけを向いて生きられるほど強くない・・・。」

遥の目が潤んできた。



遥「本当は、今日咲良さんに会って、『絶対に負けたくない!』って強く思いました。kou先輩と仲良くしてることを自慢しようって、だから咲良さんを誘ったんです。ひどい女なんです、私。」

咲良「kouにとっては、私なんかただの昔の女だから、もう関係ないよ。私も強くなんかない。このあいだ鹿児島でkouに会った時、昔に戻っていろいろと甘えちゃったし・・・。それじゃダメだなって思ってる。後悔もしたくないし、過去にもすがりたくない。だから前を向いて生きようって決めてるの。」

少しの沈黙の後、咲良がさらに続ける。

咲良「でもね、もう愛し合うことは出来なくても、それでもね、いつまでもkouの特別な存在でいたいって、今でも思ってる。だから、私もそんなに強くなんかないよ。」

咲良の目も潤んできた。



遥「咲良さんも、特別だって思ってるんですね。私も自分が特別だって思ってます。そして、信じてる。」

咲良「私にとっても、遥ちゃんにとっても、そして奥さんにとっても、彼は特別な存在なんだね。きっと。」

二人は少し沈黙し、店のBGMか聞こえてくる。

流れてくる曲は「Love You Only」



遥「この曲、懐かしい。kou先輩がよく歌ってくれました。」

咲良「私もだよ・・・」



咲良「kouってさ、優しくてとってもいいやつなんだけど、本当はとても悪いやつなのかもしれないね。」

遥「そういえば、同期達もkou先輩は優しいけど、裏の顔がありそうだってみんな言ってました・・・」

咲良「なんであんな男に執着してるんだろうね、わたしたち。」

遥「ホントそうですよね。そんなにカッコイイわけじゃないのに!」

咲良「やっぱりさ、あいつより絶対に幸せにならないとね。」

遥「そうですね。絶対に負けないんだからっ。」

咲良「よし、大人の女子2人でカラオケでも行こうか!」

遥「マイク、離しませんよ!」



ワインを飲みながら、カラオケで盛り上がる2人。



咲良「遥ちゃん、今度kouから連絡来たらどうするの?」

遥「それはもちろん、逢いません!」

咲良「どうしても逢いたいって言われたら?お前だけが特別だって言われたら?」

遥「逢っちゃうかも・・・」

咲良「それじゃダメだよー。幸せに向かわないと。」

遥「咲良さんはどうやって断るんですか?」

咲良「私ならね・・・抱いてもらう。」

遥「全然ダメじゃないですかー」

咲良「難しく考えたってしょうがないの。男と女なんて何が起こるかわからないんだから。彼に身を任せる時も私には必要なのよ。」

遥「そんなのズルいですよー。じゃあ私だって、先輩の特別になるんだから。咲良さんには、絶対に負けないですよ!」

咲良「私たちは、永遠のライバルってことね。」

遥「ウフフっ。」









<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)



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2016年04月20日

タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第7話>


遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥「この間、東京でkou先輩と飲む機会があって、全部聞きましたよ。運命的な出会いだって言ってました。ウフフっ」

咲良「そうそう、仕事で鹿児島に行ったら偶然kouと同じ新幹線になって、ホント偶然にしても驚いたよ。運命的な出会いだって言ってたの?そんなわけないじゃん。本当?」

遥「kou先輩、酔っ払ってたけど、忘れられない最高の夜になったって言ってましたよ!」



(咲良の心境)

えっ、遥ちゃんどこまで知ってるの?もしかして全部知ってる?
彼は家庭もあるし、そもそもそんなに言いふらしたりする男じゃない。
でも、かなり酔っ払ってたって言ってたから、もしかして暴露しちゃったのかなぁ。
それにしても、遥ちゃんがkouと飲みに行く関係になったのかどうかが気になる。
私の前では彼はそんなに酔ったりしないし、遥ちゃんは私より心を許せる存在なの?
そんなわけない。
彼にとって特別な存在なのは私だけのはず。そう信じていたい。
あの夜だってそうだった。私だけが特別だったから、彼が抱いてくれたの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけだよね?
ねえ、kou?信じていいんだよね?



(遙の心境)

彼は咲良さんに会ったとしか言ってくれなかったけど、咲良さんの動揺がすごい。
やっぱりあの夜、彼と何かあったんだ、絶対・・・。悲しいよ。
たしかに咲良さんは特別な存在なのかもしれないけど、じゃあ私は何なのさ。
私だって、彼にとって必要な存在だし、軽い気持ちじゃなくてちゃんと愛されてるはず。
毎年必ず一緒の時間を過ごしているし、彼だっていつも私といるときはとても幸せな顔をしている。
だから、彼にとって本当に必要なのは私だけのはず。そう信じたい。
咲良さんだけには、負けたくない。
私だけが特別だから、彼が抱いてくれてるの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけですよね?
ねえ、先輩?信じていいんだよね?



咲良「もう遥ちゃんったら、kouとは10年以上も前に終わったんだから、知ってるでしょ?kouはもう結婚して2児のパパなんだよ。何もあるわけないじゃない。この間だって、鹿児島で芋焼酎を飲みながら鹿児島の美味しいものを食べてただけだよ。」

遥「そうなんですね。冗談ですよ。咲良さんに会ったって聞いただけですから。でも咲良さんの動揺、とても可愛かったです。相変わらず純情ですね。でもあの動揺、本当は何かあったのかなってちょっと勘ぐっちゃいました!」

咲良「もう〜、おばさんをからかわないの。意外に私、真面目なんだから。」

遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」



遥は気持ちよく酔いが進むのに対し、咲良は酔いは覚めていくばかり・・・。




<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)



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2016年04月19日

タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第6話>


「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

「やっぱり咲良さんだ。似てる人かなって思ったんですけど、声かけて良かったです。ホントお久しぶりです。」

「遥ちゃん。本当に久しぶりだね。もう10年ぶりくらい・・・」

「咲良さん、時間ありますか?久しぶりだから、ゆっくり話したいです。」

「私は、大丈夫だよ。ちょうど友達とお茶して帰るところだったから。」



咲良と遥は、大学時代に同じ部活に所属していた。

俺と咲良は大学3年の時からつきあい始め、俺と咲良が4年になった時、遥は新入生として入部してきた。

割とガチな体育会系で、咲良は主務としてマネージャのリーダーを務めていた。

遥にとって、咲良はすっと憧れていて尊敬している先輩だった。



咲良も遥も、それぞれ別の友達とお茶を飲んできた帰り。

二人とも時間があるとのことであり、このまま街をブラブラ歩いてから、軽くご飯を食べに行くこととした。

遥「咲良さんは、今は東京ですか?」

咲良「私は、ずっと東京に住んでたけど、今は会社の転勤で大阪に住んで3年になるよ。遥ちゃんは、札幌?」

遥「私は埼玉に住んでるんですけど、そろそろ札幌に戻ってこようかなって考えたりしてるところです。」

咲良「そうなんだ。遙ちゃん、結婚は?」

遥「私はまだなんですよ。なかなかいい人が現れなくて。」

咲良「そっか。でも、私みたいに結婚で失敗するより、いい人が現れてからの方がいいかもね。」



ひととおり駅前を歩き、程よく歩き疲れた二人は、オシャレな居酒屋に場所を移した。

札幌ビール(クラシック)で乾杯する二人。

遥「せっかく年末年始に帰省したのに、友達はみんな結婚しちゃってて昼間にちょっとしか会えないし、家にいても結婚のプレッシャーが強いし、今日は咲良さんと飲めて嬉しいです!」

咲良「私もよ。友達はみんな家庭を築いちゃったから、なかなか逢えないからね。いっそのこと、仕事入れようかと思ったくらいだから。」



久しぶりの再会でも、盛り上がる女子トーク。

同じ場所で同じ時間を過ごした2人だから、分かり合える関係。



遥「さっきパセオで、咲良さんかなっ、人違いかなって思ったけど、やっぱり憧れの咲良さんだからすぐにわかりましたよ。」

咲良「ホント?嬉しい。遙ちゃんに出会ったときはまだ大学1年生で可愛かったけど、今はとっても素敵な大人になってるって思ったよ。」

遥「ありがとうございます。」



遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥の顔はほろ酔いで笑顔のままだが、咲良の顔は動揺の色を隠せない焦りの真顔となっていた。




<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)



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2016年04月18日

タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)



<第5話>


「北海道新幹線、ホントに実現するのかなぁ」

咲良は思わずつぶやいた。

札幌駅には北海道新幹線の広告が大きく掲げられている。

「札幌駅もドンドン新しくなっていくね」

年末年始で帰省中の咲良は、友達とのランチとカフェでの語り合いを終え、札幌駅に着いたところだ。

「まだ時間があるから、少しブラブラしようかな」

そう独りつぶやき、パセオに向かって歩き出す。



咲良が札幌を離れて、既に15年。

当時は大丸もステラプレイスもJRタワーもなかった。

あったのはパセオ。

パセオの水の広場で、咲良はよく彼と待ち合わせをしてた。

彼のことは忘れなければならない。

でも、札幌には彼との思い出があふれ過ぎている。

今年は、鹿児島での彼との運命的な再会があり、また彼の優しさに触れてしまった。



「懐かしいな」

咲良は自然にパセオの水の広場に向かって歩いていた。

しかし、もう水の広場はなくなっている。

「彼との思い出も、消していかなければならないんだよね。」

若い大学生くらいのカップルが待ち合わせをしているのを見て、少し胸が切なくなる。

ちょうど昔の水の広場のあたりにたどり着いた時、咲良は急に話しかけられた。



「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

彼を取り巻くタブーの二人が、久しぶりに顔を合わせてしまった。












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