2016年04月29日

ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

土曜日、朝から俺と咲良は新宿駅から特急あずさに乗り、勝沼に向かう。

咲良「やっぱり駅弁を食べると、小旅行って気分を味わえるね。」

俺「朝から食欲旺盛だね。」

咲良「うん、ずっと楽しみだったから。天気も良くてよかった。後は、ワインを飲みながら素敵な思い出になればいいな。」

俺「いつからワイン好きになったの?」

咲良「実は、ドラマで『神の雫』を観てから飲むようになっただけのミーハーだよ。」

俺「俺も漫画で読んだからちょっとわかる気がする。ワインの世界観に触れられたら嬉しいな。」



電車は勝沼ぶどう郷駅に着いた。

ぶどう畑が広がる光景。

咲良「すごーい。ぶどう畑!」

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俺「これは素敵な光景だね。圧巻。」

咲良「ワインが楽しみ。早く行こう!」



ぶどう畑の脇の道を息を切らせながら小高い丘を登る。

そして一面に広がるぶどう畑が心地よい。

甲州市勝沼ぶどうの丘に到着。

地下の貯蔵庫(ワインカーヴ)では、200近い銘柄のワインが並び自由に試飲が出来る。

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俺「赤から飲む?白から飲む?」

咲良「白から飲みたい。」

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まずは白ワインから試飲。

辛口を口に含むと大人の味わい。

俺「辛口だけに、辛いね。」

咲良「何、その普通の感想〜。」

そして次に甘口を味わう。

俺「うん。ぶどうの甘みと香りが口に広がる。」

咲良「美味しいね。」

ほどよい甘みと辛さのバランスを確かめるため、やや辛口とやや辛口を行ったり来たり。

咲良「これじゃあ、すぐに酔っ払っちゃうわ。気をつけないとね。」

俺「咲良の顔が紅くなってきて、可愛いよ。」

咲良「薄暗いけどちゃんと見えてるの?」

俺「あんまり見えてないよ。バレたか。」

咲良「もう〜。でも、白ワインは強すぎない適度な甘みがいいね。」



そして、ロゼをたしなむ。

咲良「いよいよ赤ワインね。」

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ライトボディの赤ワインから嗜む。

咲良「思ったより甘味が強いね。」

俺「甘いけど、ぶどうの力強さを感じる。」

そしてフルボディの赤ワイン。

咲良「なんか渋いというか、固い気がする。」

俺「そうかもね。あんまりワインに詳しくないけど、これが勝沼の赤ワインの味なのかな。」

いろいろな種類を味わうも、同じような印象のまま。

咲良「普段飲んでるボルドーとかのフルボディと違う気がする。」

俺「神の雫的に言うと、若くてまだ花が開いてないのかもね。」

俺たちは、地下ワインカーヴを後にした。



咲良「赤ワインを飲んだら世界観が変わるかなって思って期待してたけど、何も変わらなかった。」

咲良の表情が沈む。

俺「他にも試飲ができるワイナリーがあるみたいから、行ってみようよ。」



ワイナリーでの試飲を重ね、レストランで休憩しながらランチの時間だ。

咲良「私ね、昨日は逢うつもりはなかったの。結局逢っちゃったけど、本当は今日だけにしようって思ってたんだ。」

俺「そう言ってたけどさ、俺は逢えて良かったよ。」

咲良「実はね、ちょっと気になってる人が出来たの。だから新しい恋のスタートを切らなきゃと思ってた。」

俺「そうなんだ・・・。ちょっと妬けるけど、それよりもおめでとう。応援するよ。」

咲良「逢えるって聞かれたときは気になる存在だっただけなんだけど、最近、彼に告白されたんだ。」

俺「じゃあ、つき合ってるの?彼氏が出来たってこと?」

咲良「返事は急がないって言われてて、まだ返事はしてない。OKするつもりだけど、結構年下だから踏ん切りもつかなくて。だから、貴方に逢って美味しい赤ワインに出会えたら、新しい恋を始められるかなって思ったの。」

俺「年下なんだね。ちょっと意外だけどさ、年なんて関係ないよ。恋したいって思えるなら、いいんじゃない?」

咲良「それなのに結局、貴方に昨日逢いに行っちゃったし、赤ワインもちょっと期待と違ったし、なんか恋をスタート出来ないかも・・・。」

咲良の表情はさらに曇る。

咲良「さっきの赤ワインみたいに、私の恋もまだ花開かないのかな・・・」

俺「そんなことないよ。慣れてないだけで、ボルドーと違った良さもあるはずだよ。単純に比べられるものではないしね。」

咲良「そうよね。貴方と新しい彼だって、単純に比べられるものではないわよね。私と彼の愛はこれから育んでいくものだから。」

俺「そうだよ。彼のこと気になってたんだろ?告白されて、嬉しかったんだろ?その感覚は信じていいんじゃないか?」

咲良「貴方は、私にとって特別な存在だけど、でも、もう逢えなくなるわよ。」

俺「それは覚悟できてるよ。逢えなくたって、俺にとって特別な存在なのも変わらないし。それに、いつかまたきっと逢えるよ。」

咲良「そうね。でも、またすぐに逢えるってことは、新しい恋が上手くいかないことになるから、しばらくは逢えない方がいいな。私も、早く幸せになりたいから。」

俺「咲良なら、ちゃんと幸せになれるよ。」



そしてまたぶどう畑を眺めながら勝沼ぶどう郷駅まで歩く。

歩くというより丘を登る。

暑く息が切れるが心地良い。

自然の息吹きと香りを感じながら。

ちょっとした切なさも噛みしめながら。



帰りの電車では、咲良はすぐに眠ってしまった。

俺は、咲良の横顔を見て、心の底から幸せを願った。

ワインの花はまだ開かなくとも、咲良の恋は花開くはず。

そう信じている。





<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)


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2016年04月28日

ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

遥が徳島に来た1週間後、咲良から連絡がきた。

「大阪から東京に転勤になったよ。また東京で頑張るね。」

咲良も遥も、東京か。



そして夏、東京出張が決まった。

今までは東京に行くたびに遥に逢っていた。

でも、今回は咲良も東京にいる。

咲良に逢うべきか、遥に逢うべきか、どちらにも逢わないべきか。

数日悩んだ末、俺が声をかけたのは・・・

俺「来週の金曜に出張で東京に行くんだけど、金曜か土曜に逢える?」



彼からメールを貰って、嬉しさも大きかったけど、戸惑いも大きかった。

なぜなら、私には気になっている人が出来て、新しい恋の予感が生まれたところ。

だから、本当はもう彼には逢ってはいけないんだと思う。

でも彼に逢いたいし、新しい恋についても背中を押してもらいたい。

どうしていいかわからないから、その日は返信出来なかった。

1日悩んで結論が出た。

過去にすがってもいけないし、過ちが起きてしまってはいけないから、金曜日の夜は逢わない。

土曜日の日中だけ逢うことにした。

最後の思い出に。

咲良「久しぶりだね。連絡ありがとう。金曜日は遅くまで約束があるの。ゴメンね。でも土曜日は大丈夫だよ。」



咲良から返信が来た。

金曜日の夜がメインなのに、逢えないのか。

残念だけど、そう都合よくばかりはいかないよな。

俺「ありがとう。じゃあ土曜日によろしく。どこか行きたいところある?」

咲良「最近、ワインの魅力に惹きつけられてて、勝沼のワイナリーに行ってみたい。」





金曜日、東京での仕事は無事に終わった。

会社の後輩に軽く付き合ってもらい、ほろ酔い気分で新宿のビジネスホテルにチェックインした。

時計を見ると10時。

「遥を誘えば良かったかな・・・」

寂しさのあまり、遥のことを考えてしまう。

俺「新宿のホテルに入ったよ。明日はよろしくね。勝沼に行くのは初めてだから、楽しみだよ。」

咲良にメールを送る。

すぐに返信が来る。

咲良「やっぱり、逢いたい。今から部屋に行って泊まってもいい?」



しばらくして、部屋に咲良が来た。

咲良に会うのは鹿児島以来、1年以上経つ。

俺「ありがとう。嬉しいよ。」

咲良「ごめんね・・・、急に・・・。」

俺「謝らなくていいよ、何も言わなくていいから・・・。おいで。」

俺は咲良を抱き寄せた。

俺「俺は咲良のすべてを受け入れるから・・・」



出会ってしまえば、決して止めることのできない、特別な2人の愛。






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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)

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阿波で心も浮いてきた(第10話)

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2016年04月27日

阿波で心も浮いてきた(第10話)

俺と遥はしまなみ海道を渡り、広島に抜け、岡山から瀬戸大橋を渡り、四国に戻るところだった。

遥「瀬戸大橋、長いですね。真っ直ぐー」

俺「そうだね。でも横風が強くて、車が揺れる〜」

遥「揺れる〜想い〜体じゅう感じて〜。先輩、感じてくれてますか?遥の想い。」

俺「感じてるよ。もちろん。でも、今は横風を一番感じてる・・・ちょっと怖い。」

遥「結構な距離を運転させてしまいましたね。夜は、マッサージで癒してあげますから。お楽しみに!」

瀬戸大橋を無事に通過し、香川県から徳島県に戻る。



俺「徳島着いたら、何食べる?鯛とか魚系か、阿波尾鶏系がおススメだけど。」

遥「そうですねー。先輩と一緒なら何でもいいけど・・・今日は阿波尾鶏で!」

俺「了解。ところで、宿は取ったんだっけ?」

遥「宿?取ってないですよ。私を1人にする気ですか?そんなわけないですよね!」

俺「はいはい。お付き合いしますよ。」



空腹もピークになりつつある頃、徳島に到着。

阿波尾鶏を堪能。

99319456.jpg阿波尾鶏


遥「美味しいですね。阿波尾鶏。一度見てみたいな〜阿波おどりも。」

俺「阿波おどりも凄いよ。本当に感動と興奮。男おどりも女おどりも素晴らしい!」

遥「すぐに約束できる関係ならいいんだけどね・・・」

俺「そうだな・・・」

口数が減り、すだち酒を飲む。



遥「年末に、札幌で咲良さんに逢いましたよ。」

俺「咲良に会ったんだ。元気だった?」

遥「元気でしたよ。私もホント久しぶりに会いました。偶然会って、そのまま遅くまで2人で飲みながら語り合いました。」

俺「偶然会ったんだ。そして遅くまで語り合うなんて、凄いね。何話したの?」

遥「何話したと思います?気になりますか?特別な2人ですもんね。」

俺「別に気にならないよ・・・。お前らだって、よき先輩と後輩だもん、積もる話もあるだろうし。」

遥「私と咲良さんには共通の点があるんですよ。わかりますか?」

俺「なんだろう・・・。難しいな・・・。」

遥「それはね・・・。まだ教えてあげない。もう1軒行きましょう。徳島のお酒が飲めるところでゆっくりと。」



場所を変えて、「すだち」と「なると金時」のお酒を堪能。

3fe0de98.jpgすだち酒


遥「で、私と咲良さんの共通点は?わかりましたか?」

俺「共通点ね。どっちも、いい女。」

遥「それは当たり前じゃないですか。心当たりがあるけど、言いにくいですよね。」

俺「心当たりね・・・。」

遥「じゃあ質問を変えます。先輩は優しくて良いところがいっぱいあるんですけど、1つだけ大きな欠点があります。わかりますか?」

俺「なんだろう。欠点はいっぱいあるからさ。」

遥「それはね。私と咲良さん2人に優しくて、それぞれに特別な人って思わせているところ。それって、本当の優しさなんかじゃないの。」

俺「そうなのかもしれないな。」

遥「私はそれに気付いたの。それでも、先輩のことを忘れられなくって、また逢いに来ちゃうの。ダメな女。」

俺「ダメなのは俺の方だよ。俺がダメな男なだけ。」

遥「先輩、本当に悪いと思ってる?お詫びしたい?」

俺「悪いと思ってるよ。お詫びしたい。」

遥「じゃあ、今日は先輩の家に泊めてください。家族の、夫婦の聖域で、私を愛する自信と覚悟ありますか?」

俺「ああ。泊まれよ。それくらいの覚悟はあるよ。半端な気持ちでお前を愛してないから。」

遥「ウフフ。じゃあ、おじゃまします。いっぱい愛してくださいね。」

俺「俺だけじゃなくて、やっぱりお前も相当悪い女なのかもしれないな。」

遥「今頃気がついたんですか?もっと早く気がつけば良かったですね。でも、もう遅いですよ。ウフフ。」



お先のお方にお負けなよ。わたしは負けるの大嫌い。

ひょうたんばかりが浮きものか。私の心も浮いてきた。

阿波・徳島の夜。








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咲良がさくとき(鹿児島編)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)



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2016年04月26日

阿波で心も浮いてきた(第9話)

時は3月。桜が咲いている。

咲良からも遥からも、年明けに「あけおめ」メールが来て以来、連絡もない。

「あいつら、いい恋してればいいな」なんて思いながら、桜の木の下のカップルを眺めている。

そんな折の、1通のメール。



「先輩、元気ですか?金曜日、急に神戸出張に決まったんですけど、土曜日逢えませんか?ちょっとでも逢えたら、徳島まで行きますよ!でも、ご家族の予定があれば、諦めますから・・・(笑)」

遥からのメールだ。

「元気だよ。遥は?偶然だけど、家族は春休みで実家の山形に帰ってるから、土曜日大丈夫だよ。俺も逢いたかった。俺が神戸まで行こうか?」

すぐにメールを返す。

「逢えるんだ。やったー、嬉しい!私が徳島まで行きますよ。四国は初めてだから。それと、先輩が住んでる街を手をつないで歩いてみたいからっ。」

「じゃあ、楽しみに待ってるね。お気をつけて!」

「お・も・て・な・し、期待してますよ。」

週末はもうすぐ。さて、どうしようか。



土曜日の朝、徳島駅で高速バスを降り立った遥を迎える。

俺「長旅お疲れさん。徳島にようこそ。」

遥の荷物をさりげなく持つ。

遥「お久しぶりです。逢いたかった。」

休日の午前中から、遥は熱い抱擁を交わしてくる。

遥「徳島って、ヤシの木があって南国チックですね。面白い。」

俺「そうだよね。四国は北海道と全然違って、とてもいいところだよ。」

駅前の駐車場でトランクに荷物を積み、車に乗り込む。

俺「で、どっか行きたいところある?かずら橋?うず潮?桜?それとも高知や愛媛まで行く?」

遥「桜はキライです。響きが嫌。天気もいいからゆっくりドライブしたいです。海がいいな。」

俺の車は、西に向かって走り出した。



積もる話もたくさんあり、話題には事欠かない。

この居心地の良さ。やっぱり、惹かれ合う2人の間には特別な想いが詰まっている。

俺「恋はどう?芽生えてるか?」

遥「芽生えてたら、また先輩なんかに逢いに来ませんよーだ。」

俺「適当なドライブだからなんも情報ないけど、とりあえずなんか食うか。」

遥「行き当たりばったりで、水曜どうでしょうみたいでなんかいい感じ。」

俺「このゆるい感じでも楽しめる関係がいいよね。お前はやっぱり最高だよ。」

遥「じゃあ、ここで食べよう。「漁師めし」だって。面白そう。」

35c7a7f0.jpg漁師めし


俺「なんか近くに今治城ってお城があるみたいだけど、興味ある?」

遥「せっかくだから行ってみたいです、殿」

俺「お前もその気じゃないか。こっちにもっとよれ。」

遥「とっ、殿。お戯れを・・・」

俺「えーい、何を今さら・・・って危ないわ!事故るわ!」

遥「じゃあ、夜までおあずけね。ウフフっ。」

そんなこんなで今治城。

a77d755e.jpg今治城


俺「ここまで来たから、しまなみ海道を渡って、広島まで行こうか。で、瀬戸大橋を渡って帰って来よう。」

遥「私、神戸から高速バスで明石海峡大橋を渡ってきたから、今日だけでぜんぶ制覇出来ちゃいますね。凄い。行きましょう!」

因島の橋のふもとで休憩。

79a3aeb1.jpg因島


俺「海がきれいだね。」

遥「ホント癒される。ありがとう・・・。ねえ、ここなら誰も見てないから、キスして・・・。」

遥が目を瞑り、俺に身体を寄せてくる。

俺「遥。逢いに来てくれてありがとう。大好きだよ。」

土曜日の昼下がり。

大自然の下で、熱い抱擁とキスを交わす2人。

遥「やっぱり、離れられないくらい、大好き・・・。」










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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)



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2016年04月21日

タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第8話>


遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」

咲良「えっ、そうなんだ・・・。仲いいんだね。羨ましいな。」

咲良の本音が出た。

遥「私も、学生時代から先輩とつき合ってた咲良さんのこと、ずっと羨ましかったですよ。」

遥も本音で応える。

咲良「そっか・・・。なんか、不思議だね。」

空になったグラスを見て、お酒を追加で注文する。



遥「咲良さんは、なんでkou先輩と別れたんですか?」

咲良「いろいろあったんだけど、kouの優しさが、頼りなさに感じちゃったの。そんな時に、年上でとても頼りがいのある人に出会って・・・。結局はkouと別れて、その人と結婚してしまったの。」

咲良は覚悟を決めて、全てさらけ出す。

咲良「結局、その人の頼りがいって、うわべだけだったんだけどね。だから、離婚しちゃったの。今思えば、kouの優しさこそが真の強さだったんだけどね。若いから、私には気付くことが出来なかったの。」

遥「そうなんですね・・・。すいません。でも、もう1つだけ聞かせてください。kou先輩と別れて、後悔してますか?」

咲良「後悔してないって言ったら嘘になるけど、後悔してるとも言いたくない。だって、私が選んだ道だからね。私は、この道で幸せをつかまなければいけないんだから。後ろを振り向いても何も生まれないから。」

遥「咲良さん、強いですね。私は、kou先輩のことが好きです。先輩とは男と女の仲になってます。先輩は、結婚してるけど・・・。でも、私は前だけを向いて生きられるほど強くない・・・。」

遥の目が潤んできた。



遥「本当は、今日咲良さんに会って、『絶対に負けたくない!』って強く思いました。kou先輩と仲良くしてることを自慢しようって、だから咲良さんを誘ったんです。ひどい女なんです、私。」

咲良「kouにとっては、私なんかただの昔の女だから、もう関係ないよ。私も強くなんかない。このあいだ鹿児島でkouに会った時、昔に戻っていろいろと甘えちゃったし・・・。それじゃダメだなって思ってる。後悔もしたくないし、過去にもすがりたくない。だから前を向いて生きようって決めてるの。」

少しの沈黙の後、咲良がさらに続ける。

咲良「でもね、もう愛し合うことは出来なくても、それでもね、いつまでもkouの特別な存在でいたいって、今でも思ってる。だから、私もそんなに強くなんかないよ。」

咲良の目も潤んできた。



遥「咲良さんも、特別だって思ってるんですね。私も自分が特別だって思ってます。そして、信じてる。」

咲良「私にとっても、遥ちゃんにとっても、そして奥さんにとっても、彼は特別な存在なんだね。きっと。」

二人は少し沈黙し、店のBGMか聞こえてくる。

流れてくる曲は「Love You Only」



遥「この曲、懐かしい。kou先輩がよく歌ってくれました。」

咲良「私もだよ・・・」



咲良「kouってさ、優しくてとってもいいやつなんだけど、本当はとても悪いやつなのかもしれないね。」

遥「そういえば、同期達もkou先輩は優しいけど、裏の顔がありそうだってみんな言ってました・・・」

咲良「なんであんな男に執着してるんだろうね、わたしたち。」

遥「ホントそうですよね。そんなにカッコイイわけじゃないのに!」

咲良「やっぱりさ、あいつより絶対に幸せにならないとね。」

遥「そうですね。絶対に負けないんだからっ。」

咲良「よし、大人の女子2人でカラオケでも行こうか!」

遥「マイク、離しませんよ!」



ワインを飲みながら、カラオケで盛り上がる2人。



咲良「遥ちゃん、今度kouから連絡来たらどうするの?」

遥「それはもちろん、逢いません!」

咲良「どうしても逢いたいって言われたら?お前だけが特別だって言われたら?」

遥「逢っちゃうかも・・・」

咲良「それじゃダメだよー。幸せに向かわないと。」

遥「咲良さんはどうやって断るんですか?」

咲良「私ならね・・・抱いてもらう。」

遥「全然ダメじゃないですかー」

咲良「難しく考えたってしょうがないの。男と女なんて何が起こるかわからないんだから。彼に身を任せる時も私には必要なのよ。」

遥「そんなのズルいですよー。じゃあ私だって、先輩の特別になるんだから。咲良さんには、絶対に負けないですよ!」

咲良「私たちは、永遠のライバルってことね。」

遥「ウフフっ。」









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咲良がさくとき(鹿児島編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)

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タブーの花が咲いてしまった(第7話)



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2016年04月20日

タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第7話>


遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥「この間、東京でkou先輩と飲む機会があって、全部聞きましたよ。運命的な出会いだって言ってました。ウフフっ」

咲良「そうそう、仕事で鹿児島に行ったら偶然kouと同じ新幹線になって、ホント偶然にしても驚いたよ。運命的な出会いだって言ってたの?そんなわけないじゃん。本当?」

遥「kou先輩、酔っ払ってたけど、忘れられない最高の夜になったって言ってましたよ!」



(咲良の心境)

えっ、遥ちゃんどこまで知ってるの?もしかして全部知ってる?
彼は家庭もあるし、そもそもそんなに言いふらしたりする男じゃない。
でも、かなり酔っ払ってたって言ってたから、もしかして暴露しちゃったのかなぁ。
それにしても、遥ちゃんがkouと飲みに行く関係になったのかどうかが気になる。
私の前では彼はそんなに酔ったりしないし、遥ちゃんは私より心を許せる存在なの?
そんなわけない。
彼にとって特別な存在なのは私だけのはず。そう信じていたい。
あの夜だってそうだった。私だけが特別だったから、彼が抱いてくれたの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけだよね?
ねえ、kou?信じていいんだよね?



(遙の心境)

彼は咲良さんに会ったとしか言ってくれなかったけど、咲良さんの動揺がすごい。
やっぱりあの夜、彼と何かあったんだ、絶対・・・。悲しいよ。
たしかに咲良さんは特別な存在なのかもしれないけど、じゃあ私は何なのさ。
私だって、彼にとって必要な存在だし、軽い気持ちじゃなくてちゃんと愛されてるはず。
毎年必ず一緒の時間を過ごしているし、彼だっていつも私といるときはとても幸せな顔をしている。
だから、彼にとって本当に必要なのは私だけのはず。そう信じたい。
咲良さんだけには、負けたくない。
私だけが特別だから、彼が抱いてくれてるの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけですよね?
ねえ、先輩?信じていいんだよね?



咲良「もう遥ちゃんったら、kouとは10年以上も前に終わったんだから、知ってるでしょ?kouはもう結婚して2児のパパなんだよ。何もあるわけないじゃない。この間だって、鹿児島で芋焼酎を飲みながら鹿児島の美味しいものを食べてただけだよ。」

遥「そうなんですね。冗談ですよ。咲良さんに会ったって聞いただけですから。でも咲良さんの動揺、とても可愛かったです。相変わらず純情ですね。でもあの動揺、本当は何かあったのかなってちょっと勘ぐっちゃいました!」

咲良「もう〜、おばさんをからかわないの。意外に私、真面目なんだから。」

遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」



遥は気持ちよく酔いが進むのに対し、咲良は酔いは覚めていくばかり・・・。




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タブーの花が咲いてしまった(第6話)



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2016年04月19日

タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第6話>


「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

「やっぱり咲良さんだ。似てる人かなって思ったんですけど、声かけて良かったです。ホントお久しぶりです。」

「遥ちゃん。本当に久しぶりだね。もう10年ぶりくらい・・・」

「咲良さん、時間ありますか?久しぶりだから、ゆっくり話したいです。」

「私は、大丈夫だよ。ちょうど友達とお茶して帰るところだったから。」



咲良と遥は、大学時代に同じ部活に所属していた。

俺と咲良は大学3年の時からつきあい始め、俺と咲良が4年になった時、遥は新入生として入部してきた。

割とガチな体育会系で、咲良は主務としてマネージャのリーダーを務めていた。

遥にとって、咲良はすっと憧れていて尊敬している先輩だった。



咲良も遥も、それぞれ別の友達とお茶を飲んできた帰り。

二人とも時間があるとのことであり、このまま街をブラブラ歩いてから、軽くご飯を食べに行くこととした。

遥「咲良さんは、今は東京ですか?」

咲良「私は、ずっと東京に住んでたけど、今は会社の転勤で大阪に住んで3年になるよ。遥ちゃんは、札幌?」

遥「私は埼玉に住んでるんですけど、そろそろ札幌に戻ってこようかなって考えたりしてるところです。」

咲良「そうなんだ。遙ちゃん、結婚は?」

遥「私はまだなんですよ。なかなかいい人が現れなくて。」

咲良「そっか。でも、私みたいに結婚で失敗するより、いい人が現れてからの方がいいかもね。」



ひととおり駅前を歩き、程よく歩き疲れた二人は、オシャレな居酒屋に場所を移した。

札幌ビール(クラシック)で乾杯する二人。

遥「せっかく年末年始に帰省したのに、友達はみんな結婚しちゃってて昼間にちょっとしか会えないし、家にいても結婚のプレッシャーが強いし、今日は咲良さんと飲めて嬉しいです!」

咲良「私もよ。友達はみんな家庭を築いちゃったから、なかなか逢えないからね。いっそのこと、仕事入れようかと思ったくらいだから。」



久しぶりの再会でも、盛り上がる女子トーク。

同じ場所で同じ時間を過ごした2人だから、分かり合える関係。



遥「さっきパセオで、咲良さんかなっ、人違いかなって思ったけど、やっぱり憧れの咲良さんだからすぐにわかりましたよ。」

咲良「ホント?嬉しい。遙ちゃんに出会ったときはまだ大学1年生で可愛かったけど、今はとっても素敵な大人になってるって思ったよ。」

遥「ありがとうございます。」



遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥の顔はほろ酔いで笑顔のままだが、咲良の顔は動揺の色を隠せない焦りの真顔となっていた。




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咲良がさくとき(鹿児島編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)



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2016年04月18日

タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)



<第5話>


「北海道新幹線、ホントに実現するのかなぁ」

咲良は思わずつぶやいた。

札幌駅には北海道新幹線の広告が大きく掲げられている。

「札幌駅もドンドン新しくなっていくね」

年末年始で帰省中の咲良は、友達とのランチとカフェでの語り合いを終え、札幌駅に着いたところだ。

「まだ時間があるから、少しブラブラしようかな」

そう独りつぶやき、パセオに向かって歩き出す。



咲良が札幌を離れて、既に15年。

当時は大丸もステラプレイスもJRタワーもなかった。

あったのはパセオ。

パセオの水の広場で、咲良はよく彼と待ち合わせをしてた。

彼のことは忘れなければならない。

でも、札幌には彼との思い出があふれ過ぎている。

今年は、鹿児島での彼との運命的な再会があり、また彼の優しさに触れてしまった。



「懐かしいな」

咲良は自然にパセオの水の広場に向かって歩いていた。

しかし、もう水の広場はなくなっている。

「彼との思い出も、消していかなければならないんだよね。」

若い大学生くらいのカップルが待ち合わせをしているのを見て、少し胸が切なくなる。

ちょうど昔の水の広場のあたりにたどり着いた時、咲良は急に話しかけられた。



「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

彼を取り巻くタブーの二人が、久しぶりに顔を合わせてしまった。












kou_blue97 at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年03月25日

咲良がさくとき(第2話)岡山編

<第2話>

翌朝、目覚めると隣には咲良の寝顔。

あの頃に比べるとお互い歳を取ったなと感じる。

微笑ましい。

スマホを見ると妻からのLINE。

「おはよう。鹿児島はどう?出張頑張ってね。子供達もお土産楽しみにしてるよ〜」

現実が待ち受ける。

咲良の寝顔をもう一度見る。

可愛い寝顔。

咲良は天使なのか、それとも悪魔なのか。



咲良「おはよう。起きてたの?早いね。」

俺「さっき起きたところだよ。」

咲良「もうわがまま言わないから。ゴメンね。でも、ありがとう。」

俺は何も言わずに彼女を抱きしめ、口づけを交わす。

動き出した時計の針は、もう止まらない。



帰りの新幹線の約束をして、俺は彼女のホテルを出た。

自分のホテルに戻り、シャワーを浴びて着替える。

妻にLINE。

「鹿児島の夜は芋焼酎が美味しかったよ。今日、帰るけど遅くなるから先に寝ててね。お土産、任せとけ。」



鹿児島での仕事を終え、鹿児島中央駅に15時に待ち合わせ。

2人、咲良と新幹線に乗る。

咲良「昔は、2人で旅行したこと思い出すね。懐かしいな。」

俺「そうだけど、過去にすがらないで、未来に向かっていけよ。」

咲良「わかってるよ。でも、貴方よりも幸せにしてくれる人に出会うのって、難しいんだよ。」

俺「新幹線さくらって、良い響きだな・・・。」



鹿児島から岡山まで、3時間ちょっと。

いろいろな話で、あっという間に時間が過ぎ去る。

名残惜しい。

俺「俺は、岡山で乗り換えだから・・・。元気でな!」

咲良「私も一緒に降りる!」



咲良も新幹線を降りた。

途中下車して、岡山駅前でご飯を食べてから帰ることに。

俺「長旅で疲れてるだろ?1杯だけだぞ。」

咲良「大丈夫。もう次はいつ会えるかわからないんだから。ほんとは今日は帰さない!って言いたいところだけど、我慢するからさ。もう少し、一緒にいて。」

瀬戸内海のママカリとタコを味わいながら、最後の時間を過ごす。



俺「そろそろ終電だよ。さて、帰るぞ。」

咲良「・・・うん。」

岡山駅の改札を入る。


咲良「おやすみのチューしてくれないと、帰らない。」

俺「人前だぞ。恥ずかしいだろ。」

咲良「してくれないと、帰らないから。」


天使でもあり、悪魔でもある。

柱の陰に隠れて、軽く口づけを交わす。


咲良「そんなんじゃ、全然足りないよ。」

俺「もう・・・わがまま女。」


熱く、長い口づけを交わす。


咲良「ありがとう。私、頑張って幸せになるから。」

俺「ああ、幸せになれよ。」


咲良の目から、一筋の涙がこぼれる。


いつか本当の幸せを手にして、咲良がさきますように。

そう祈って、もう一度最後の口づけを交わした。



口の中に広がる、咲良とのたくさんの思い出と記憶。

そして切なさ。

頬を伝って流れてきた涙が、少ししょっぱく感じた。



咲良がさきますように。






<岡山のママカリ>

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kou_blue97 at 22:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年03月24日

咲良がさくとき(第1話)鹿児島編

<第1話>

仕事で鹿児島に行くことになった。

人生初の、九州上陸。

新幹線「さくら」に乗っての長旅。



新幹線で時間を持て余した俺は、咲良にLINEを送る。

俺「今、新幹線さくらに乗って、鹿児島に向かってるよ。人生初の九州。」

咲良「えっ、私も新幹線で鹿児島に向かってるところ。今、博多を過ぎたあたり。」

俺「ホント、同じ新幹線じゃん。ミラクル!」



偶然にも咲良と鹿児島で再会なんて、運命を感じる。

夕方遅くに鹿児島に到着。

俺「何食べたい?」

咲良「行きたいところがあるんだけど、一人じゃ怖くてどうしようかと思ってたの。いい?」

二人が向かったのは「かごっま屋台村」。

鹿児島の旬の食材と郷土料理を味わえる小さな屋台が並ぶ。

俺と咲良はカウンターに並び座る。

俺「何飲む?」

咲良「貴方と同じのがいい。」

俺「鹿児島に来たんだから、俺は芋焼酎飲まないとね。寒いからお湯割りで。一緒で大丈夫?」

咲良「ちょっと酔いそうだけど、せっかくだから私もいただく。貴方がいるから酔っても大丈夫だもんね。」

芋焼酎で乾杯。

きびなご、黒豚なんこつ煮、さつま揚げを堪能。

咲良の顔が紅く染まる。



咲良「いつもFacebookで見てるけど、あたたかい家庭を築いて幸せそうね。」

俺「まあね、幸せだよ。咲良は?」

咲良「ほんとはもっと幸せになるはずだったんだけどね・・・」

俺「でも、今でも咲良は輝いてる。いい女だよ。」

咲良「私も、貴方と結婚すれば私も幸せになれたのかな。」

俺「そうかもしれないけどさ。俺よりも、元旦那が良くて選んだんだろ(笑)。」

咲良「そうだけどさ・・・あの頃に戻りたいって思う時もあるよ。」

芋焼酎が身体に染み入り、夜も更けていく。

俺「ちょっと歩こうか?」



夜風に当たりながら、甲突川沿いを歩く2人。

自然と手をつないで、寄り添い合う。

俺「歴史、時間の流れを感じさせる町並みだね。昼間に歩けば楽しめそう。」

咲良「でも、貴方はもう結婚してしまったから、昼間に堂々と手をつないで歩くことなんて出来ない。時間の流れを感じてしまうわ。」

俺「いろんな経験があったから、今咲良は輝いてるんだよ。これから素敵な人との出会い、そして幸せが待ってるはず。」

咲良「そうだといいな。でも、今日だけは未来じゃなくて、幸せだった過去にすがりたい・・・」

俺「咲良らしくもないな。ちょっと飲み過ぎたか?」

鹿児島も、まだ3月は夜風が冷たい。



俺「せっかく芋焼酎で暖まったのに、身体が冷えちゃったね。コーヒーでも飲んで帰ろうか?それとも鹿児島ラーメンでも食うか?」

咲良「身体よりも、心の方が冷えちゃった。今日だけはあの頃に戻りたい。独りにしないで。貴方の優しさで、私のさくらを咲かせて欲しいの。」



止まったはずの時計の針が、15年ぶりに動き出した。






<新幹線さくら>

59e52fe0.jpg



<かごっま屋台村>

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きびなご、黒豚なんこつ煮とか・・・写メ撮り忘れた(涙)


<鹿児島ラーメン>

57a3572c.jpg




<第1話はこちら>
 咲良がさくとき(鹿児島編)
<第2話はこちら>
 咲良がさくとき(岡山編)
<第3話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)
<第4話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)
<第5話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第5話)
<第6話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第6話)
<第7話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第7話)
<第8話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第8話)
<第9話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第9話)
<第10話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第10話)
<第11話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第11話)
<第12話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第12話)
<第13話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)
<第14話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

kou_blue97 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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