咲良

2016年04月18日

タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)



<第5話>


「北海道新幹線、ホントに実現するのかなぁ」

咲良は思わずつぶやいた。

札幌駅には北海道新幹線の広告が大きく掲げられている。

「札幌駅もドンドン新しくなっていくね」

年末年始で帰省中の咲良は、友達とのランチとカフェでの語り合いを終え、札幌駅に着いたところだ。

「まだ時間があるから、少しブラブラしようかな」

そう独りつぶやき、パセオに向かって歩き出す。



咲良が札幌を離れて、既に15年。

当時は大丸もステラプレイスもJRタワーもなかった。

あったのはパセオ。

パセオの水の広場で、咲良はよく彼と待ち合わせをしてた。

彼のことは忘れなければならない。

でも、札幌には彼との思い出があふれ過ぎている。

今年は、鹿児島での彼との運命的な再会があり、また彼の優しさに触れてしまった。



「懐かしいな」

咲良は自然にパセオの水の広場に向かって歩いていた。

しかし、もう水の広場はなくなっている。

「彼との思い出も、消していかなければならないんだよね。」

若い大学生くらいのカップルが待ち合わせをしているのを見て、少し胸が切なくなる。

ちょうど昔の水の広場のあたりにたどり着いた時、咲良は急に話しかけられた。



「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

彼を取り巻くタブーの二人が、久しぶりに顔を合わせてしまった。












kou_blue97 at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年03月25日

咲良がさくとき(第2話)岡山編

<第2話>

翌朝、目覚めると隣には咲良の寝顔。

あの頃に比べるとお互い歳を取ったなと感じる。

微笑ましい。

スマホを見ると妻からのLINE。

「おはよう。鹿児島はどう?出張頑張ってね。子供達もお土産楽しみにしてるよ〜」

現実が待ち受ける。

咲良の寝顔をもう一度見る。

可愛い寝顔。

咲良は天使なのか、それとも悪魔なのか。



咲良「おはよう。起きてたの?早いね。」

俺「さっき起きたところだよ。」

咲良「もうわがまま言わないから。ゴメンね。でも、ありがとう。」

俺は何も言わずに彼女を抱きしめ、口づけを交わす。

動き出した時計の針は、もう止まらない。



帰りの新幹線の約束をして、俺は彼女のホテルを出た。

自分のホテルに戻り、シャワーを浴びて着替える。

妻にLINE。

「鹿児島の夜は芋焼酎が美味しかったよ。今日、帰るけど遅くなるから先に寝ててね。お土産、任せとけ。」



鹿児島での仕事を終え、鹿児島中央駅に15時に待ち合わせ。

2人、咲良と新幹線に乗る。

咲良「昔は、2人で旅行したこと思い出すね。懐かしいな。」

俺「そうだけど、過去にすがらないで、未来に向かっていけよ。」

咲良「わかってるよ。でも、貴方よりも幸せにしてくれる人に出会うのって、難しいんだよ。」

俺「新幹線さくらって、良い響きだな・・・。」



鹿児島から岡山まで、3時間ちょっと。

いろいろな話で、あっという間に時間が過ぎ去る。

名残惜しい。

俺「俺は、岡山で乗り換えだから・・・。元気でな!」

咲良「私も一緒に降りる!」



咲良も新幹線を降りた。

途中下車して、岡山駅前でご飯を食べてから帰ることに。

俺「長旅で疲れてるだろ?1杯だけだぞ。」

咲良「大丈夫。もう次はいつ会えるかわからないんだから。ほんとは今日は帰さない!って言いたいところだけど、我慢するからさ。もう少し、一緒にいて。」

瀬戸内海のママカリとタコを味わいながら、最後の時間を過ごす。



俺「そろそろ終電だよ。さて、帰るぞ。」

咲良「・・・うん。」

岡山駅の改札を入る。


咲良「おやすみのチューしてくれないと、帰らない。」

俺「人前だぞ。恥ずかしいだろ。」

咲良「してくれないと、帰らないから。」


天使でもあり、悪魔でもある。

柱の陰に隠れて、軽く口づけを交わす。


咲良「そんなんじゃ、全然足りないよ。」

俺「もう・・・わがまま女。」


熱く、長い口づけを交わす。


咲良「ありがとう。私、頑張って幸せになるから。」

俺「ああ、幸せになれよ。」


咲良の目から、一筋の涙がこぼれる。


いつか本当の幸せを手にして、咲良がさきますように。

そう祈って、もう一度最後の口づけを交わした。



口の中に広がる、咲良とのたくさんの思い出と記憶。

そして切なさ。

頬を伝って流れてきた涙が、少ししょっぱく感じた。



咲良がさきますように。






<岡山のママカリ>

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kou_blue97 at 22:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年03月24日

咲良がさくとき(第1話)鹿児島編

<第1話>

仕事で鹿児島に行くことになった。

人生初の、九州上陸。

新幹線「さくら」に乗っての長旅。



新幹線で時間を持て余した俺は、咲良にLINEを送る。

俺「今、新幹線さくらに乗って、鹿児島に向かってるよ。人生初の九州。」

咲良「えっ、私も新幹線で鹿児島に向かってるところ。今、博多を過ぎたあたり。」

俺「ホント、同じ新幹線じゃん。ミラクル!」



偶然にも咲良と鹿児島で再会なんて、運命を感じる。

夕方遅くに鹿児島に到着。

俺「何食べたい?」

咲良「行きたいところがあるんだけど、一人じゃ怖くてどうしようかと思ってたの。いい?」

二人が向かったのは「かごっま屋台村」。

鹿児島の旬の食材と郷土料理を味わえる小さな屋台が並ぶ。

俺と咲良はカウンターに並び座る。

俺「何飲む?」

咲良「貴方と同じのがいい。」

俺「鹿児島に来たんだから、俺は芋焼酎飲まないとね。寒いからお湯割りで。一緒で大丈夫?」

咲良「ちょっと酔いそうだけど、せっかくだから私もいただく。貴方がいるから酔っても大丈夫だもんね。」

芋焼酎で乾杯。

きびなご、黒豚なんこつ煮、さつま揚げを堪能。

咲良の顔が紅く染まる。



咲良「いつもFacebookで見てるけど、あたたかい家庭を築いて幸せそうね。」

俺「まあね、幸せだよ。咲良は?」

咲良「ほんとはもっと幸せになるはずだったんだけどね・・・」

俺「でも、今でも咲良は輝いてる。いい女だよ。」

咲良「私も、貴方と結婚すれば私も幸せになれたのかな。」

俺「そうかもしれないけどさ。俺よりも、元旦那が良くて選んだんだろ(笑)。」

咲良「そうだけどさ・・・あの頃に戻りたいって思う時もあるよ。」

芋焼酎が身体に染み入り、夜も更けていく。

俺「ちょっと歩こうか?」



夜風に当たりながら、甲突川沿いを歩く2人。

自然と手をつないで、寄り添い合う。

俺「歴史、時間の流れを感じさせる町並みだね。昼間に歩けば楽しめそう。」

咲良「でも、貴方はもう結婚してしまったから、昼間に堂々と手をつないで歩くことなんて出来ない。時間の流れを感じてしまうわ。」

俺「いろんな経験があったから、今咲良は輝いてるんだよ。これから素敵な人との出会い、そして幸せが待ってるはず。」

咲良「そうだといいな。でも、今日だけは未来じゃなくて、幸せだった過去にすがりたい・・・」

俺「咲良らしくもないな。ちょっと飲み過ぎたか?」

鹿児島も、まだ3月は夜風が冷たい。



俺「せっかく芋焼酎で暖まったのに、身体が冷えちゃったね。コーヒーでも飲んで帰ろうか?それとも鹿児島ラーメンでも食うか?」

咲良「身体よりも、心の方が冷えちゃった。今日だけはあの頃に戻りたい。独りにしないで。貴方の優しさで、私のさくらを咲かせて欲しいの。」



止まったはずの時計の針が、15年ぶりに動き出した。






<新幹線さくら>

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<かごっま屋台村>

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きびなご、黒豚なんこつ煮とか・・・写メ撮り忘れた(涙)


<鹿児島ラーメン>

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<第1話はこちら>
 咲良がさくとき(鹿児島編)
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 咲良がさくとき(岡山編)
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 春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)
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 春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)
<第5話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第5話)
<第6話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第6話)
<第7話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第7話)
<第8話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第8話)
<第9話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第9話)
<第10話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第10話)
<第11話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第11話)
<第12話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第12話)
<第13話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)
<第14話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

kou_blue97 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
Profileです。

kou_blue97

〇札幌生まれ札幌育ち。現在は東京在住(←徳島←千葉…)。転勤族のサラリーマン。ミスチル世代の団塊ジュニア。
〇好きなモノ
 アメフト観戦、ミスチル鑑賞、blog執筆、子供とおでかけ、宮脇咲良を応援、転勤で知らない土地を満喫、現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる、小さな幸せのかけらを積み重ねる。

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