咲良

2022年08月27日

咲良がさくとき〜大人の恋の物語2016〜

新型コロナ第7波の感染拡大が止まらない2022年8月。

夏休みだけど、北海道にも帰られず、旅行にも行けず。

少しだけ、家族そろって桃鉄でプチ旅行気分。

行きたいところはという話題になり、考えてみた。

四国4県も南九州3県も行ったことがあるし、うーん。

・福岡県
・長崎県
・鳥取県

あたりか。

いずれも、一度も行ったことのないところ。

そういえば、鹿児島に行ったなぁと思い出した。



大人の恋の物語(2016年作)



【第1話 鹿児島】 

仕事で鹿児島に行くことになった。
人生初の、九州上陸。
新幹線「さくら」に乗っての長旅。

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岡山から鹿児島まで。
新幹線で時間を持て余した俺は、咲良にLINEを送る。

俺「今、新幹線さくらに乗って、鹿児島に向かってるよ。人生初の九州。」
咲良「えっ、私も新幹線で大阪から鹿児島に向かってるところ。今、博多を過ぎたあたり。」
俺「ホント、同じ新幹線じゃん。ミラクル!」

偶然にも咲良と鹿児島で再会なんて、運命を感じる。
夕方遅くに鹿児島に到着して、咲良と合流。

俺「何食べたい?」
咲良「行きたいところがあるんだけど、一人じゃ怖くてどうしようかと思ってたの。いい?」

二人が向かったのは「かごっま屋台村」。

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鹿児島の旬の食材と郷土料理を味わえる小さな屋台が並ぶ。
俺と咲良はカウンターに並び座る。

俺「何飲む?」
咲良「貴方と同じのがいい。」
俺「鹿児島に来たんだから、俺は芋焼酎飲まないとね。寒いからお湯割りで。一緒で大丈夫?」
咲良「ちょっと酔いそうだけど、せっかくだから私もいただく。貴方がいるから酔っても大丈夫だもんね。」

芋焼酎で乾杯。
きびなご、黒豚なんこつ煮、さつま揚げを堪能。
咲良の顔が紅く染まる。

咲良「いつもFacebookで見てるけど、あたたかい家庭を築いて幸せそうね。」
俺「まあね、幸せだよ。咲良は?」
咲良「ほんとはもっと幸せになるはずだったんだけどね・・・」
俺「でも、今でも咲良は輝いてる。いい女だよ。」
咲良「私も、貴方と結婚すれば私も幸せになれたのかな。」
俺「そうかもしれないけどさ。俺よりも、元旦那が良くて選んだんだろ(笑)。」
咲良「そうだけどさ・・・あの頃に戻りたいって思う時もあるよ。」

芋焼酎が身体に染み入り、夜も更けていく。

俺「ちょっと歩こうか?」

夜風に当たりながら、甲突川沿いを歩く2人。
自然と手をつないで、寄り添い合う。

俺「歴史、時間の流れを感じさせる町並みだね。昼間に歩けば楽しめそう。」
咲良「でも、貴方はもう結婚してしまったから、昼間に堂々と手をつないで歩くことなんて出来ない。時間の流れを感じてしまうわ。」
俺「いろんな経験があったから、今咲良は輝いてるんだよ。これから素敵な人との出会い、そして幸せが待ってるはず。」
咲良「そうだといいな。でも、今日だけは未来じゃなくて、幸せだった過去にすがりたい・・・」
俺「咲良らしくもないな。ちょっと飲み過ぎたか?」

鹿児島も、まだ3月は夜風が冷たい。

俺「せっかく芋焼酎で暖まったのに、身体が冷えちゃったね。コーヒーでも飲んで帰ろうか?それとも鹿児島ラーメンでも食うか?」
咲良「身体よりも、心の方が冷えちゃった。今日だけはあの頃に戻りたい。独りにしないで。貴方の優しさで、私のさくらを咲かせて欲しいの。」

止まったはずの時計の針が、15年ぶりに動き出した。



【第2話 岡山】 

翌朝、目覚めると隣には咲良の寝顔。
あの頃に比べるとお互い歳を取ったなと感じる。
微笑ましい。

スマホを見ると妻からのLINE。

「おはよう。鹿児島はどう?出張頑張ってね。子供達もお土産楽しみにしてるよ〜」

現実が待ち受ける。
咲良の寝顔をもう一度見る。
可愛い寝顔。
咲良は天使なのか、それとも悪魔なのか。

咲良「おはよう。起きてたの?早いね。」
俺「さっき起きたところだよ。」
咲良「もうわがまま言わないから。ゴメンね。でも、ありがとう。」

俺は何も言わずに彼女を抱きしめ、口づけを交わす。
動き出した時計の針は、もう止まらない。
帰りの新幹線の約束をして、俺は彼女のホテルを出た。
自分のホテルに戻り、シャワーを浴びて着替える。
妻にLINE。

「鹿児島の夜は芋焼酎が美味しかったよ。今日、帰るけど遅くなるから先に寝ててね。お土産、任せとけ。」

鹿児島での仕事を終え、鹿児島中央駅に15時に待ち合わせ。
2人、咲良と新幹線に乗る。

咲良「昔は、2人で旅行したこと思い出すね。懐かしいな。」
俺「そうだね。でも、過去にすがらないで、未来に向かっていけよ。」
咲良「わかってるよ。でも…貴方よりも幸せにしてくれる人に出会うのって、難しいんだよ。」
俺「新幹線さくらって、良い響きだな…。」

鹿児島から岡山まで、3時間ちょっと。
いろいろな話で、あっという間に時間が過ぎ去る。
名残惜しい。

俺「俺は、岡山で乗り換えだから…元気でな!」
咲良「いや、私も一緒に降りる!」

咲良も新幹線を降りた。
途中下車して、岡山駅前でご飯を食べてから帰ることに。

俺「長旅で疲れてるだろ?1杯だけだぞ。」
咲良「大丈夫。もう次はいつ会えるかわからないんだから。ほんとは今日は帰さない!って言いたいところだけど、我慢するからさ。もう少しだけ、一緒にいて。」

瀬戸内海のママカリとタコを味わいながら、最後の時間を過ごす。

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俺「そろそろ終電だよ。さて、帰るぞ。」
咲良「…うん。」

岡山駅の改札を入る。

俺「じゃあ、またな。」
咲良「待って…おやすみのチューしてくれないと、帰らない。」
俺「…人前だぞ。恥ずかしいだろ。」
咲良「…してくれないと、帰らないから。」

天使でもあり、悪魔でもある。
柱の陰に隠れて、軽く口づけを交わす。

咲良「…そんなんじゃ、全然足りないよ。」
俺「もう…わがまま女。」

熱く、長い口づけを交わす。

咲良「…ありがとう。私、頑張って幸せになるから。」
俺「ああ、幸せになれよ。」

咲良の目から、一筋の涙がこぼれる。
いつか本当の幸せを手にして、咲良がさきますように。
そう祈って、もう一度最後の口づけを交わした。
口の中に広がる、咲良とのたくさんの思い出と記憶。
そして切なさ。
頬を伝って流れてきた涙が、少ししょっぱく感じた。

咲良がさきますように。



【第2−2話 徳島】 

咲良と別れ、岡山から瀬戸大橋を渡って徳島に帰る。
鹿児島のお土産は「かるかん」
家族に対する罪の意識から岡山でも「きびだんご」を買ってきた。
子供たちが喜ぶだろう。

咲良からのLINE。

「幸せな思い出をありがとう。もう、貴方には甘えないから。前を向いて歩いていきます。貴方も幸せに。」

返事は返さない。
咲良に会えたのは偶然であり、まさに奇跡。
咲良に会えて良かったのか?
それとも会えない方が良かったのか?
咲良が悪いんじゃない。
むしろ、悪いのは、俺だ。
結果として、彼女の弱さにつけこんだだけ。
彼女を幸せにすることなんて出来やしないのに。
運命のいたずらにしては、幸せも罪の意識も大きすぎる。

徳島に近づくにつれて、膨らんでいく罪悪感。
もう二度と咲良には会わない。
そして、二度と連絡も取らない。
愛しているのは妻だけだし、幸せにしてやれるのも妻だけだ。
そう覚悟を決めて、徳島駅に降り立った。

もう日付が変わろうとしている深夜。
家の鍵を開ける。
リビングに明かりがついている。
妻が起きている。

妻「出張お疲れさま。大変だったね。」
俺「ただいま。これ、お土産。」

コートを脱いで、着替える。

俺「なんかあった?子供たちは変わりなし?」
妻「大丈夫、いつも通りだよ。お風呂は入る?」
俺「うん、入るよ。」

風呂から上がり、妻をハグする。

俺「愛してるよ。」
妻「どうしたの?なんか悪いことでもしてきたの?」
俺「するわけないだろ。」
妻「たった一度の過ちだって、私は絶対に許さないんだから。」
俺「わかってる。俺を信じろ。」
妻「もう二度と会わないって覚悟決めたって、それで終わりに出来るなんて大間違い。」
俺「ああ、わかってるよ。」
妻「悪いことしたら、子供達に二度と会えなくなるんだから、忘れないでね。」

俺はこれから一生、重い十字架を背負っていかなければならないんだな…



【第2−3話 大阪】 

鹿児島出張。
岡山に立ち寄ったので、大阪のマンションに帰ったのは夜中。
興奮冷めやらず、なかなか寝付けなかった。
彼の優しさにすがっちゃった。
彼には大切な家庭があるんだから、甘えちゃダメって何度も自問したのに。
でも、誘惑に負けちゃった。
自分の弱さが身に染みる。

会社ではもう三十代後半で中堅になった。
旦那と別れてからは、女だからって気持ちで負けたくないので、いつも強がってきた。
キャリアウーマンとは聞こえはいいけど、華やかなようであって必死でもがきながら頑張ってる。
そんなバリバリ働く自分に酔いしれるときもあるけど、自分で選んだ道とは言え、やっぱり寂しい。
だから、私とちゃんと向き合ってくれる彼に甘えちゃうのかな。
反省。

でも、やっぱり思うの。
幸せって何なのかなって。
結婚や恋が女の全てじゃないってわかってるんだけど。
でも、心にポッカリ空いたままの穴は、誰かに、何かに埋めて欲しいのよ。
いつかいい人が見つかるよってみんなが軽いノリで言うけど。
私にとっては結構深刻なんだよ。
満たされない中でも、仕事は頑張り続けなければならないの。
充実しているような、でもやっぱり満たされないような、そんな毎日。

わかってる。
未来に向かって前向きに生きていかなければならないの。
でも、過去にすがってしまう。
彼と一緒にいるときは、やっぱり本音で甘えられるし幸せ。
早く彼のことは忘れないといけないのよね。

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過去の思い出だけではなくて、私は今でもきれいな花は咲いている。
まだまだ女盛りだもん。

公園の桜も、もうすぐ満開。
でも、今日は雨上がり。
雨上がりの桜は、雨の重みで花は下を向いている。
まるで私みたい。
この桜も、晴れてお日様が出てくれば、水滴も渇いて、上に向かって大きく花開く。
たぶん、昼過ぎにはきれいな桜が見頃になるはず。
私も、上に向かって、未来に向かって、堂々と大きく良い花を咲かせたい。
それがいつになるのかはわからないんだけど…

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いつか堂々と花を咲かせられるように、今を頑張るしかないよね。
未来をつくるのは、過去じゃなくて、今なんだから。
彼よりも、絶対に幸せになるって決めたんだから。

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(参考:シリーズもの)

<第1話はこちら>
 咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
 咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

<第12話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

<第13話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)

<第14話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

<第15話はこちら>
 黒潮の雰囲気に流されて(第15話)



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2016年08月09日

黒潮の雰囲気に流されて(第15話)

「ねえ先輩。再来週の日曜日空いてませんか?大阪で待ってまーす。」

遥からのお誘い。

ちょうど空いてるし。

「良かった。じゃあ、朝9時に新大阪駅まで迎えに来てください。よろしくです♪」

朝9時に大阪って、徳島6時出発じゃないか・・・。いつも振り回されるなぁ。嫌いじゃないけど。



そして、日曜日。

早起きして、大鳴門橋と明石海峡大橋を渡り、合流。

遥「お久しぶりです。先輩。私に逢えなくて寂しかったですか?」

俺「うん。とっても寂しかったよ〜。って、結構早起きだったんだけど・・・。」

遥「こんな時間に来てくれるなんて、愛の力ですね。嬉しい。」

俺「はいはい。ところで、今日はどこ行きたいの?とりあえず、車に乗るか?」

遥「もちろん、ドライブ連れてってくださいね。」

俺「神戸、大阪、京都、淡路島、どこでも連れて行ってあげるよ」

遥「う〜ん、行ったことのないところがいいな。じゃあ、和歌山とか!」

俺「和歌山?何があるの?」

遥「わかんないけど、初めての県がいいの。だから、レッツゴー!」

俺「はいはい。でも、明日は仕事だから、あんまり遠くまでは行けないよ。」

遥「わかってます。私も東京に帰らないとダメだから大丈夫。」



車は阪和高速に乗り、海沿いを進む。

遥「海沿いの景色、首都高速湾岸線に似てるね。もっと自然な海がみたいわ。」

俺「和歌山県に入ったら、そんな海に出会えるかもね。」

車は南下を続け、和歌山県へ。

紀ノ川SAで休憩。

遥「ねえ、見て見て〜。みかんジュースがいっぱい。面白〜い。」

俺「ホントだ。飲み比べてみようか。甘いのと、酸味が強いのと両方。」

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俺「はっさく、酸っぱいね。」

遥「酸っぱいけど、ビタミンたっぷり。日焼けにはビタミンCが欠かせないから、夏には最高。」

俺「きよみは、甘くて美味しい。」

遥「先輩、子供みたい。うふっ。」



SAで情報を得て、和歌山マリーナシティへ。



フランス風の広場。

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イタリア風の路地。

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遥「なんか、デートっぽくなってきましたね。」

恋人つなぎで寄り添う2人。

俺「腹減った〜。」

遥「ムードないんだから。もう〜。でも私もお腹すいたけどね。」

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黒潮市場でマグロの解体ショー。

遥「マグロは美味しいし、お土産はミカンと梅だらけ。面白〜い。」

俺「ホントに。楽しいな〜。」



遥「でも、まだ帰らないわよ。南紀白浜の海に向かってGO!」

俺「もう昼下がりだから、そんなに遠くまで行けないよ。」

遥「途中まででもいいからいいから。とりあえず南下してきれいな海を見せてちょうだい。」



車はさらに南下し、ミカンの町、梅の町、そして美しい海が広がる町を堪能。



俺「おい、そろそろ帰るぞ。」

遥「は〜い。」

俺「新大阪まで2時間以上かかるじゃん。しかも大渋滞。新幹線はラスト何時?」

遥「えっと、21時かな。」



俺「全然車が進まないよ。新幹線間に合わないかも。」

遥「じゃあ、大阪で1泊しちゃいましょうか。」

俺「えっ?仕事じゃないの?」

遥「実は、明日はお休みでした〜。」

俺「なんたよ。俺、ふつうに仕事だけど。」

遥「朝早く起きれば大丈夫。ちょっとくらい遅刻したっていいから、今夜は楽しみましょう!」

俺「全然良くないんですけど・・・。」

遥「とりあえず、スマホでホテル取れました。だから、もう急がなくていいですよ。ゆっくり帰りましょう。」



SAで見つけた「平和クラフトビール」を飲み出す遥。



俺「黒潮にいいように流されて漂流している気分なんですけど・・・」

遥「私と夜を過ごせるなんて、贅沢だぞ!うふっ。」

俺「まあ、いいけどさ。で、いつから泊まる気だったの?どこまでが計算なの?」

遥「ご想像におまかせしてま〜す。先輩、大好き。」





<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

<第12話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

<第13話はこちら>
幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)

<第14話はこちら>
幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)



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2016年05月07日

幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

遥「私はその頃も船橋とか成田山とかでkou先輩とデートしてましたよ。やったー。咲良さんに勝ってる所もありました。」

咲良「遥ちゃん、負けず嫌いだね・・・。面白い。」

遥「だって、ずっと咲良さんには負けてたんだから、1つくらい勝ちたいですよ。」

咲良「遥ちゃんが勝ってる所なんて、たくさんあるのにな。」

房総半島の最南端に到着。

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海に囲まれる。

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遥「絶景ですねー。」

咲良「海が広がってるね。癒されるー。」

遥「海って、心が和みますよね。そして、思い出す。」

咲良「うん。思い出すね。」

遥「kou先輩との小樽の海ですか?」

咲良「そうだね・・・。懐かしいな。」

遥「私だって、瀬戸内海とか・・・先輩の海の思い出をたくさん上塗りしてますよ!」

少しの間、沈黙が辺りを包み、波の音だけが響き渡る。



咲良「遥ちゃん、私ね、新しい彼氏が出来たの。」

遥「えっ・・・。そうなんですか・・・。いつからですか?」

咲良「まだ、つき合って2週間くらいだよ。」

遥「そうなんだ。どんな人ですか?」

咲良「仕事の関係で知り合った人なんだけど、実は結構年下なの。優しくて、芯が強くて真っ直ぐな人、かな。」

遥「優しくて、真っ直ぐな人だなんて、先輩みたいですね・・・。」

咲良「ううん、全然似てないよ。」

遥「それで、咲良さんは先輩のこと、完全に忘れられたんですか?」

咲良「難しいけど、忘れるしかないよね。これから時間をかけて。忘れるためにも、kouには伝えたよ。彼氏が出来たよって。」

遥「先輩に伝えたんですか?先輩は、何て言ってました?」

咲良「kouはね『おめでとう!応援するよ!』って」。

遥「咲良さんは、忘れるために頑張ってるんですね。私は、どうやったら忘れられるかな・・・」

海はずっと波を打ち続け、水しぶきと潮の香りを運んでくれた。



2人は海を後にし、宿にたどり着いた。

房総半島と言えば、伊勢海老。千葉県は伊勢海老の水揚げが日本一だ。

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遥「伊勢海老も海の幸も全部美味しいですね。」

咲良「花と海に囲まれて。美味しい海の幸と温泉があって、ホント幸せ過ぎる。」

遥「今日も、日本酒が進んじゃいますね。」

咲良「遥ちゃん、温泉にもう1回入るんだから、飲み過ぎちゃダメよ。」

遥「はーい。でも飲まずにいられないですけどねっ。」



酔いが進む前に温泉に入り、また飲み直す2人。

咲良「遥ちゃんは、彼のこと本当に好きなんだね。」

遥「好きですよ。咲良さんよりも、先輩を好きな自信があります。でも、彼にとって咲良さんは特別なんです。」

咲良「私はね、そんなに好きじゃないかも。ってゆうか、大学時代につき合っていた頃は本気で好きだったよ。でも10年以上会ってなかったし、その間に結婚もしたし、離婚もしたし。その10年以上の間、彼は私の人生に登場してこなかったから、ずっと好きだったわけじゃない。そういう意味では、遥ちゃんの方が長い関係よね。私は、たぶん負けてる。」

遥「私は、その10年間彼に愛されてきました。私だけが特別な存在だと思ってました。でも去年、鹿児島で先輩と咲良さんが偶然出会ってしまっただけで、たった1回再会しただけで、咲良さんはまた先輩の中で特別な存在になってしまったんです。それはとても悔しいですよ。」

咲良「そう。私も10年以上も彼のことなんて頭の中になかったのに、鹿児島で偶然出会って、一緒にお酒を飲んでいたら、幸せだったあの頃を思い出して、あの頃のように愛して欲しいって思ったの。止まっていたはずの時計の針が、動き出してしまった感じ。やっぱり運命の人なのかなって思っちゃった。」

遥「羨ましいな、そんな一瞬であの頃の関係に戻れるなんて。それを聞いて、泣いた日もあるし、自信を失った日もあります。咲良さんが、私の中でいつも輝いて見えるから。」

咲良「私も10年以上ぶりに愛されて幸せで、運命かもってさえ思ったけど、現実が待ち構えているの。彼には奥さんがいて子供がいる。時計の針は戻ったようで、実際の時間は戻らないのよ。それを思い出すと、私も悲しくて泣いた日もある。だからね、こないだも話したけど、後悔もしたくないし、過去にもすがりたくないから、前を向いて生きるしかないのよ。そう思って、新しい恋に踏み出せたところなの。」

遥「先輩には、過去には咲良さんがいて、現在には奥さんがいるの。私はいつも1番にはなれない・・・。新しい恋、私も踏み出せるかな。」

咲良「遥ちゃんは、彼とどうしたいの?このままでいいの?結婚まで考えてるの?」

遥「先輩が奥さんとお子さんを愛してるのはわかってます。だから、先輩との結婚に期待を持つほど私も子供じゃありませんよ。私だって、この10年間の間にいろんな恋をしてきましたから。年上も、年下も、バツイチともつき合いました。先輩には全部内緒でしたけど。でも、先輩よりもいい男には一度も出会えていないんです。『この人なら』って男と出会ったら、すぐに先輩に自慢しようって決めてるんですけどね。」

咲良「遥ちゃんも、いろんな経験をして、いろいろ悩んでるんだよね。そんな歳だもんね、私たち。」

遥「私も、本当は後悔もしたくないから前に向かっていきたいんだけど、どんな後悔が待ってるか考えると怖くて、泣いちゃいます。先輩よりも素敵な男に出会えたら幸せだけど、出会えなくて先輩までも失ってしまったら、私は強く生きていく自信がないです。もし、先輩よりも素敵な男に出会えないんなら、無理に結婚なんかしないで、先輩の特別な人であり続けるしかないのかなって、諦めも感じつつあるんですけどね・・・。泣いてばかりの人生になりそうですけど。」

咲良「私だって、新しい彼と本当に愛を育めるのか、不安で心配で眠れない日もあるよ。でも、私は諦めたくない。」

遥「先輩っていう逃げ場があるから、甘えちゃうのかな。一度、断ち切らないと幸せを掴めないのかもしれないなって思うこともあります。もちろん。でも、失うにはかけがえのない人だから。」

咲良「答えはわからないよね。何が正しいのか、何が幸せなのかは、わからない・・・。」



咲良「今日見た花、とってもきれいに咲いていたよね。幸せの花が私にも咲くのかなって不安になる時もある。でもね、女の涙の中にはね、幸せの花が少しづつ咲いていくんだよ。幸せの花は、涙の先にあるの。泣き止んだ微笑みの中に。だから、泣いてもいいし、強がる必要もない。ちゃんと芽を出して、やがて花は咲くの。そう信じてるんだ。」

遥「咲良さん・・・。私も、たくさん泣いちゃうこともあるけど、幸せの花が少しづつ咲いてるかな。」

咲良「きっと咲いてるよ。そう信じよう。」



ねえ、貴方のせいでたくさん涙を流してるよ。

それでも貴方を愛しているの。

涙の中で、幸せの花が少しづつ咲いているの。

貴方の前で微笑む時にも、咲いてるのよ。

貴方にも、ちゃんと見えてますか?






<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

<第12話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

<第13話はこちら>
幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)



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2016年05月06日

幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)

「咲良さん、そういえば東京にいらっしゃるんですよね。久しぶりにお会いしたいです。ご都合の良い週末があれば、2人で女子旅しませんか?」

遥ちゃんからのメール。

遥ちゃんとはお正月に札幌で再会した後もたまに連絡を取り合っていたけど、「東京に引っ越しが決まったよ」と連絡して、「近いうちに飲みに行きましょう」と言われてから、連絡を取らなくなった。

職場が変わって私が忙しくなったからなのかもしれないし、いつでも会える距離に近づいたからなのかもしれない。

それなのに、このタイミングで連絡が来るなんて、先週kouとワイン巡りに行ったばかりだから、遥ちゃんも何か感ずるものがあったのかな。

でも、遥ちゃんとは会いたいな。女子旅も面白そうだし。



咲良「遥ちゃん久しぶりだね。来月の2週目と3週目の週末は大丈夫だよ。ぜひ女子旅行きたい!」

遥「ありがとうございまーす。じゃあ、来月の2週目でお願いします。土曜日の朝から1泊2日で。場所は私に任せてもらっていいですか?」

咲良「うん。お任せします。楽しみだね。」

あっという間に、遥ちゃんとの女子旅が決まった。さすが私と遥ちゃんの間柄。楽しい旅になればいいな。

数日後、遥ちゃんからメールが来た。

遥「場所は決まりました。花と魚の房総半島です。私の運転で行きますので、安心してください。」



土曜日の朝。遥の運転で女子旅が始まった。

咲良「遥ちゃん、今日は誘ってくれて、運転もしてくれてありがとう。とっても嬉しいよ。」

遥「こちらこそありがとうございます。私も咲良さんに会えて嬉しいです。いろいろ話したかったです。」

咲良「そうだね。天気もいいし、アクアラインも房総半島も初めてだから楽しみ。」

お互いの仕事や生活の近況報告で快適なドライブは進み、房総半島を順調に南下。

まずは南房総で花めぐり。

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花々に囲まれて。

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咲良「初めて房総半島に来たんだけど、東京から数時間でこんなに花に囲まれるなんてヤバいね。最高。」

遥「房総半島初めてなんですね。実は私もです。近いのに、こんなに花が咲いてるなんてホント素敵〜。」

咲良「花に囲まれると心が癒されるね。さすが遥ちゃん。ナイスチョイス!」

遥「ありがとうございます。でも、本当は房総半島に決めた理由があるんですよ。咲良さん、わかりますか?」

咲良「えっ、なんでだろう。花がきれいで魚が美味しい。とかじゃなくて?」

遥「もちろん、それもあるんですけどね。癒されたかったし。それよりももっと大きな理由があるんです。」

咲良「なんだろう。私か遥ちゃんに関係あるのかな?暴走してるとか?」

遥「咲良さんと行くなら千葉県って決めてました。千葉県、kou先輩が5年間住んでいた所ですから。私と咲良さんに相応しいかなって思って、決めました。」

咲良「そっかー。kouって千葉に住んでたんだよね。その頃のkouのことは全然知らないな〜。」

遥「私はその頃も船橋とか成田山とかでkou先輩とデートしてましたよ。やったー。咲良さんに勝ってる所もありました。」








<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

<第12話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第12話)


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2016年04月29日

ワインの花がまだ開かなくても(第12話)

土曜日、朝から俺と咲良は新宿駅から特急あずさに乗り、勝沼に向かう。

咲良「やっぱり駅弁を食べると、小旅行って気分を味わえるね。」

俺「朝から食欲旺盛だね。」

咲良「うん、ずっと楽しみだったから。天気も良くてよかった。後は、ワインを飲みながら素敵な思い出になればいいな。」

俺「いつからワイン好きになったの?」

咲良「実は、ドラマで『神の雫』を観てから飲むようになっただけのミーハーだよ。」

俺「俺も漫画で読んだからちょっとわかる気がする。ワインの世界観に触れられたら嬉しいな。」



電車は勝沼ぶどう郷駅に着いた。

ぶどう畑が広がる光景。

咲良「すごーい。ぶどう畑!」

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俺「これは素敵な光景だね。圧巻。」

咲良「ワインが楽しみ。早く行こう!」



ぶどう畑の脇の道を息を切らせながら小高い丘を登る。

そして一面に広がるぶどう畑が心地よい。

甲州市勝沼ぶどうの丘に到着。

地下の貯蔵庫(ワインカーヴ)では、200近い銘柄のワインが並び自由に試飲が出来る。

8935f923.jpg


俺「赤から飲む?白から飲む?」

咲良「白から飲みたい。」

599f03e8.jpg


まずは白ワインから試飲。

辛口を口に含むと大人の味わい。

俺「辛口だけに、辛いね。」

咲良「何、その普通の感想〜。」

そして次に甘口を味わう。

俺「うん。ぶどうの甘みと香りが口に広がる。」

咲良「美味しいね。」

ほどよい甘みと辛さのバランスを確かめるため、やや辛口とやや辛口を行ったり来たり。

咲良「これじゃあ、すぐに酔っ払っちゃうわ。気をつけないとね。」

俺「咲良の顔が紅くなってきて、可愛いよ。」

咲良「薄暗いけどちゃんと見えてるの?」

俺「あんまり見えてないよ。バレたか。」

咲良「もう〜。でも、白ワインは強すぎない適度な甘みがいいね。」



そして、ロゼをたしなむ。

咲良「いよいよ赤ワインね。」

28aab5d8.jpg


ライトボディの赤ワインから嗜む。

咲良「思ったより甘味が強いね。」

俺「甘いけど、ぶどうの力強さを感じる。」

そしてフルボディの赤ワイン。

咲良「なんか渋いというか、固い気がする。」

俺「そうかもね。あんまりワインに詳しくないけど、これが勝沼の赤ワインの味なのかな。」

いろいろな種類を味わうも、同じような印象のまま。

咲良「普段飲んでるボルドーとかのフルボディと違う気がする。」

俺「神の雫的に言うと、若くてまだ花が開いてないのかもね。」

俺たちは、地下ワインカーヴを後にした。



咲良「赤ワインを飲んだら世界観が変わるかなって思って期待してたけど、何も変わらなかった。」

咲良の表情が沈む。

俺「他にも試飲ができるワイナリーがあるみたいから、行ってみようよ。」



ワイナリーでの試飲を重ね、レストランで休憩しながらランチの時間だ。

咲良「私ね、昨日は逢うつもりはなかったの。結局逢っちゃったけど、本当は今日だけにしようって思ってたんだ。」

俺「そう言ってたけどさ、俺は逢えて良かったよ。」

咲良「実はね、ちょっと気になってる人が出来たの。だから新しい恋のスタートを切らなきゃと思ってた。」

俺「そうなんだ・・・。ちょっと妬けるけど、それよりもおめでとう。応援するよ。」

咲良「逢えるって聞かれたときは気になる存在だっただけなんだけど、最近、彼に告白されたんだ。」

俺「じゃあ、つき合ってるの?彼氏が出来たってこと?」

咲良「返事は急がないって言われてて、まだ返事はしてない。OKするつもりだけど、結構年下だから踏ん切りもつかなくて。だから、貴方に逢って美味しい赤ワインに出会えたら、新しい恋を始められるかなって思ったの。」

俺「年下なんだね。ちょっと意外だけどさ、年なんて関係ないよ。恋したいって思えるなら、いいんじゃない?」

咲良「それなのに結局、貴方に昨日逢いに行っちゃったし、赤ワインもちょっと期待と違ったし、なんか恋をスタート出来ないかも・・・。」

咲良の表情はさらに曇る。

咲良「さっきの赤ワインみたいに、私の恋もまだ花開かないのかな・・・」

俺「そんなことないよ。慣れてないだけで、ボルドーと違った良さもあるはずだよ。単純に比べられるものではないしね。」

咲良「そうよね。貴方と新しい彼だって、単純に比べられるものではないわよね。私と彼の愛はこれから育んでいくものだから。」

俺「そうだよ。彼のこと気になってたんだろ?告白されて、嬉しかったんだろ?その感覚は信じていいんじゃないか?」

咲良「貴方は、私にとって特別な存在だけど、でも、もう逢えなくなるわよ。」

俺「それは覚悟できてるよ。逢えなくたって、俺にとって特別な存在なのも変わらないし。それに、いつかまたきっと逢えるよ。」

咲良「そうね。でも、またすぐに逢えるってことは、新しい恋が上手くいかないことになるから、しばらくは逢えない方がいいな。私も、早く幸せになりたいから。」

俺「咲良なら、ちゃんと幸せになれるよ。」



そしてまたぶどう畑を眺めながら勝沼ぶどう郷駅まで歩く。

歩くというより丘を登る。

暑く息が切れるが心地良い。

自然の息吹きと香りを感じながら。

ちょっとした切なさも噛みしめながら。



帰りの電車では、咲良はすぐに眠ってしまった。

俺は、咲良の横顔を見て、心の底から幸せを願った。

ワインの花はまだ開かなくとも、咲良の恋は花開くはず。

そう信じている。





<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第8話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第9話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第9話)

<第10話はこちら>
阿波で心も浮いてきた(第10話)

<第11話はこちら>
ワインの花がまだ開かなくても(第11話)


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2016年04月28日

ワインの花がまだ開かなくても(第11話)

遥が徳島に来た1週間後、咲良から連絡がきた。

「大阪から東京に転勤になったよ。また東京で頑張るね。」

咲良も遥も、東京か。



そして夏、東京出張が決まった。

今までは東京に行くたびに遥に逢っていた。

でも、今回は咲良も東京にいる。

咲良に逢うべきか、遥に逢うべきか、どちらにも逢わないべきか。

数日悩んだ末、俺が声をかけたのは・・・

俺「来週の金曜に出張で東京に行くんだけど、金曜か土曜に逢える?」



彼からメールを貰って、嬉しさも大きかったけど、戸惑いも大きかった。

なぜなら、私には気になっている人が出来て、新しい恋の予感が生まれたところ。

だから、本当はもう彼には逢ってはいけないんだと思う。

でも彼に逢いたいし、新しい恋についても背中を押してもらいたい。

どうしていいかわからないから、その日は返信出来なかった。

1日悩んで結論が出た。

過去にすがってもいけないし、過ちが起きてしまってはいけないから、金曜日の夜は逢わない。

土曜日の日中だけ逢うことにした。

最後の思い出に。

咲良「久しぶりだね。連絡ありがとう。金曜日は遅くまで約束があるの。ゴメンね。でも土曜日は大丈夫だよ。」



咲良から返信が来た。

金曜日の夜がメインなのに、逢えないのか。

残念だけど、そう都合よくばかりはいかないよな。

俺「ありがとう。じゃあ土曜日によろしく。どこか行きたいところある?」

咲良「最近、ワインの魅力に惹きつけられてて、勝沼のワイナリーに行ってみたい。」





金曜日、東京での仕事は無事に終わった。

会社の後輩に軽く付き合ってもらい、ほろ酔い気分で新宿のビジネスホテルにチェックインした。

時計を見ると10時。

「遥を誘えば良かったかな・・・」

寂しさのあまり、遥のことを考えてしまう。

俺「新宿のホテルに入ったよ。明日はよろしくね。勝沼に行くのは初めてだから、楽しみだよ。」

咲良にメールを送る。

すぐに返信が来る。

咲良「やっぱり、逢いたい。今から部屋に行って泊まってもいい?」



しばらくして、部屋に咲良が来た。

咲良に会うのは鹿児島以来、1年以上経つ。

俺「ありがとう。嬉しいよ。」

咲良「ごめんね・・・、急に・・・。」

俺「謝らなくていいよ、何も言わなくていいから・・・。おいで。」

俺は咲良を抱き寄せた。

俺「俺は咲良のすべてを受け入れるから・・・」



出会ってしまえば、決して止めることのできない、特別な2人の愛。






<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)

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タブーの花が咲いてしまった(第7話)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)

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阿波で心も浮いてきた(第10話)

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2016年04月27日

阿波で心も浮いてきた(第10話)

俺と遥はしまなみ海道を渡り、広島に抜け、岡山から瀬戸大橋を渡り、四国に戻るところだった。

遥「瀬戸大橋、長いですね。真っ直ぐー」

俺「そうだね。でも横風が強くて、車が揺れる〜」

遥「揺れる〜想い〜体じゅう感じて〜。先輩、感じてくれてますか?遥の想い。」

俺「感じてるよ。もちろん。でも、今は横風を一番感じてる・・・ちょっと怖い。」

遥「結構な距離を運転させてしまいましたね。夜は、マッサージで癒してあげますから。お楽しみに!」

瀬戸大橋を無事に通過し、香川県から徳島県に戻る。



俺「徳島着いたら、何食べる?鯛とか魚系か、阿波尾鶏系がおススメだけど。」

遥「そうですねー。先輩と一緒なら何でもいいけど・・・今日は阿波尾鶏で!」

俺「了解。ところで、宿は取ったんだっけ?」

遥「宿?取ってないですよ。私を1人にする気ですか?そんなわけないですよね!」

俺「はいはい。お付き合いしますよ。」



空腹もピークになりつつある頃、徳島に到着。

阿波尾鶏を堪能。

99319456.jpg阿波尾鶏


遥「美味しいですね。阿波尾鶏。一度見てみたいな〜阿波おどりも。」

俺「阿波おどりも凄いよ。本当に感動と興奮。男おどりも女おどりも素晴らしい!」

遥「すぐに約束できる関係ならいいんだけどね・・・」

俺「そうだな・・・」

口数が減り、すだち酒を飲む。



遥「年末に、札幌で咲良さんに逢いましたよ。」

俺「咲良に会ったんだ。元気だった?」

遥「元気でしたよ。私もホント久しぶりに会いました。偶然会って、そのまま遅くまで2人で飲みながら語り合いました。」

俺「偶然会ったんだ。そして遅くまで語り合うなんて、凄いね。何話したの?」

遥「何話したと思います?気になりますか?特別な2人ですもんね。」

俺「別に気にならないよ・・・。お前らだって、よき先輩と後輩だもん、積もる話もあるだろうし。」

遥「私と咲良さんには共通の点があるんですよ。わかりますか?」

俺「なんだろう・・・。難しいな・・・。」

遥「それはね・・・。まだ教えてあげない。もう1軒行きましょう。徳島のお酒が飲めるところでゆっくりと。」



場所を変えて、「すだち」と「なると金時」のお酒を堪能。

3fe0de98.jpgすだち酒


遥「で、私と咲良さんの共通点は?わかりましたか?」

俺「共通点ね。どっちも、いい女。」

遥「それは当たり前じゃないですか。心当たりがあるけど、言いにくいですよね。」

俺「心当たりね・・・。」

遥「じゃあ質問を変えます。先輩は優しくて良いところがいっぱいあるんですけど、1つだけ大きな欠点があります。わかりますか?」

俺「なんだろう。欠点はいっぱいあるからさ。」

遥「それはね。私と咲良さん2人に優しくて、それぞれに特別な人って思わせているところ。それって、本当の優しさなんかじゃないの。」

俺「そうなのかもしれないな。」

遥「私はそれに気付いたの。それでも、先輩のことを忘れられなくって、また逢いに来ちゃうの。ダメな女。」

俺「ダメなのは俺の方だよ。俺がダメな男なだけ。」

遥「先輩、本当に悪いと思ってる?お詫びしたい?」

俺「悪いと思ってるよ。お詫びしたい。」

遥「じゃあ、今日は先輩の家に泊めてください。家族の、夫婦の聖域で、私を愛する自信と覚悟ありますか?」

俺「ああ。泊まれよ。それくらいの覚悟はあるよ。半端な気持ちでお前を愛してないから。」

遥「ウフフ。じゃあ、おじゃまします。いっぱい愛してくださいね。」

俺「俺だけじゃなくて、やっぱりお前も相当悪い女なのかもしれないな。」

遥「今頃気がついたんですか?もっと早く気がつけば良かったですね。でも、もう遅いですよ。ウフフ。」



お先のお方にお負けなよ。わたしは負けるの大嫌い。

ひょうたんばかりが浮きものか。私の心も浮いてきた。

阿波・徳島の夜。








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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)

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タブーの花が咲いてしまった(第7話)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)

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阿波で心も浮いてきた(第9話)



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2016年04月26日

阿波で心も浮いてきた(第9話)

時は3月。桜が咲いている。

咲良からも遥からも、年明けに「あけおめ」メールが来て以来、連絡もない。

「あいつら、いい恋してればいいな」なんて思いながら、桜の木の下のカップルを眺めている。

そんな折の、1通のメール。



「先輩、元気ですか?金曜日、急に神戸出張に決まったんですけど、土曜日逢えませんか?ちょっとでも逢えたら、徳島まで行きますよ!でも、ご家族の予定があれば、諦めますから・・・(笑)」

遥からのメールだ。

「元気だよ。遥は?偶然だけど、家族は春休みで実家の山形に帰ってるから、土曜日大丈夫だよ。俺も逢いたかった。俺が神戸まで行こうか?」

すぐにメールを返す。

「逢えるんだ。やったー、嬉しい!私が徳島まで行きますよ。四国は初めてだから。それと、先輩が住んでる街を手をつないで歩いてみたいからっ。」

「じゃあ、楽しみに待ってるね。お気をつけて!」

「お・も・て・な・し、期待してますよ。」

週末はもうすぐ。さて、どうしようか。



土曜日の朝、徳島駅で高速バスを降り立った遥を迎える。

俺「長旅お疲れさん。徳島にようこそ。」

遥の荷物をさりげなく持つ。

遥「お久しぶりです。逢いたかった。」

休日の午前中から、遥は熱い抱擁を交わしてくる。

遥「徳島って、ヤシの木があって南国チックですね。面白い。」

俺「そうだよね。四国は北海道と全然違って、とてもいいところだよ。」

駅前の駐車場でトランクに荷物を積み、車に乗り込む。

俺「で、どっか行きたいところある?かずら橋?うず潮?桜?それとも高知や愛媛まで行く?」

遥「桜はキライです。響きが嫌。天気もいいからゆっくりドライブしたいです。海がいいな。」

俺の車は、西に向かって走り出した。



積もる話もたくさんあり、話題には事欠かない。

この居心地の良さ。やっぱり、惹かれ合う2人の間には特別な想いが詰まっている。

俺「恋はどう?芽生えてるか?」

遥「芽生えてたら、また先輩なんかに逢いに来ませんよーだ。」

俺「適当なドライブだからなんも情報ないけど、とりあえずなんか食うか。」

遥「行き当たりばったりで、水曜どうでしょうみたいでなんかいい感じ。」

俺「このゆるい感じでも楽しめる関係がいいよね。お前はやっぱり最高だよ。」

遥「じゃあ、ここで食べよう。「漁師めし」だって。面白そう。」

35c7a7f0.jpg漁師めし


俺「なんか近くに今治城ってお城があるみたいだけど、興味ある?」

遥「せっかくだから行ってみたいです、殿」

俺「お前もその気じゃないか。こっちにもっとよれ。」

遥「とっ、殿。お戯れを・・・」

俺「えーい、何を今さら・・・って危ないわ!事故るわ!」

遥「じゃあ、夜までおあずけね。ウフフっ。」

そんなこんなで今治城。

a77d755e.jpg今治城


俺「ここまで来たから、しまなみ海道を渡って、広島まで行こうか。で、瀬戸大橋を渡って帰って来よう。」

遥「私、神戸から高速バスで明石海峡大橋を渡ってきたから、今日だけでぜんぶ制覇出来ちゃいますね。凄い。行きましょう!」

因島の橋のふもとで休憩。

79a3aeb1.jpg因島


俺「海がきれいだね。」

遥「ホント癒される。ありがとう・・・。ねえ、ここなら誰も見てないから、キスして・・・。」

遥が目を瞑り、俺に身体を寄せてくる。

俺「遥。逢いに来てくれてありがとう。大好きだよ。」

土曜日の昼下がり。

大自然の下で、熱い抱擁とキスを交わす2人。

遥「やっぱり、離れられないくらい、大好き・・・。」










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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)

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タブーの花が咲いてしまった(第7話)

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タブーの花が咲いてしまった(第8話)



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2016年04月21日

タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第8話>


遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」

咲良「えっ、そうなんだ・・・。仲いいんだね。羨ましいな。」

咲良の本音が出た。

遥「私も、学生時代から先輩とつき合ってた咲良さんのこと、ずっと羨ましかったですよ。」

遥も本音で応える。

咲良「そっか・・・。なんか、不思議だね。」

空になったグラスを見て、お酒を追加で注文する。



遥「咲良さんは、なんでkou先輩と別れたんですか?」

咲良「いろいろあったんだけど、kouの優しさが、頼りなさに感じちゃったの。そんな時に、年上でとても頼りがいのある人に出会って・・・。結局はkouと別れて、その人と結婚してしまったの。」

咲良は覚悟を決めて、全てさらけ出す。

咲良「結局、その人の頼りがいって、うわべだけだったんだけどね。だから、離婚しちゃったの。今思えば、kouの優しさこそが真の強さだったんだけどね。若いから、私には気付くことが出来なかったの。」

遥「そうなんですね・・・。すいません。でも、もう1つだけ聞かせてください。kou先輩と別れて、後悔してますか?」

咲良「後悔してないって言ったら嘘になるけど、後悔してるとも言いたくない。だって、私が選んだ道だからね。私は、この道で幸せをつかまなければいけないんだから。後ろを振り向いても何も生まれないから。」

遥「咲良さん、強いですね。私は、kou先輩のことが好きです。先輩とは男と女の仲になってます。先輩は、結婚してるけど・・・。でも、私は前だけを向いて生きられるほど強くない・・・。」

遥の目が潤んできた。



遥「本当は、今日咲良さんに会って、『絶対に負けたくない!』って強く思いました。kou先輩と仲良くしてることを自慢しようって、だから咲良さんを誘ったんです。ひどい女なんです、私。」

咲良「kouにとっては、私なんかただの昔の女だから、もう関係ないよ。私も強くなんかない。このあいだ鹿児島でkouに会った時、昔に戻っていろいろと甘えちゃったし・・・。それじゃダメだなって思ってる。後悔もしたくないし、過去にもすがりたくない。だから前を向いて生きようって決めてるの。」

少しの沈黙の後、咲良がさらに続ける。

咲良「でもね、もう愛し合うことは出来なくても、それでもね、いつまでもkouの特別な存在でいたいって、今でも思ってる。だから、私もそんなに強くなんかないよ。」

咲良の目も潤んできた。



遥「咲良さんも、特別だって思ってるんですね。私も自分が特別だって思ってます。そして、信じてる。」

咲良「私にとっても、遥ちゃんにとっても、そして奥さんにとっても、彼は特別な存在なんだね。きっと。」

二人は少し沈黙し、店のBGMか聞こえてくる。

流れてくる曲は「Love You Only」



遥「この曲、懐かしい。kou先輩がよく歌ってくれました。」

咲良「私もだよ・・・」



咲良「kouってさ、優しくてとってもいいやつなんだけど、本当はとても悪いやつなのかもしれないね。」

遥「そういえば、同期達もkou先輩は優しいけど、裏の顔がありそうだってみんな言ってました・・・」

咲良「なんであんな男に執着してるんだろうね、わたしたち。」

遥「ホントそうですよね。そんなにカッコイイわけじゃないのに!」

咲良「やっぱりさ、あいつより絶対に幸せにならないとね。」

遥「そうですね。絶対に負けないんだからっ。」

咲良「よし、大人の女子2人でカラオケでも行こうか!」

遥「マイク、離しませんよ!」



ワインを飲みながら、カラオケで盛り上がる2人。



咲良「遥ちゃん、今度kouから連絡来たらどうするの?」

遥「それはもちろん、逢いません!」

咲良「どうしても逢いたいって言われたら?お前だけが特別だって言われたら?」

遥「逢っちゃうかも・・・」

咲良「それじゃダメだよー。幸せに向かわないと。」

遥「咲良さんはどうやって断るんですか?」

咲良「私ならね・・・抱いてもらう。」

遥「全然ダメじゃないですかー」

咲良「難しく考えたってしょうがないの。男と女なんて何が起こるかわからないんだから。彼に身を任せる時も私には必要なのよ。」

遥「そんなのズルいですよー。じゃあ私だって、先輩の特別になるんだから。咲良さんには、絶対に負けないですよ!」

咲良「私たちは、永遠のライバルってことね。」

遥「ウフフっ。」









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咲良がさくとき(鹿児島編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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タブーの花が咲いてしまった(第7話)



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2016年04月20日

タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第7話>


遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥「この間、東京でkou先輩と飲む機会があって、全部聞きましたよ。運命的な出会いだって言ってました。ウフフっ」

咲良「そうそう、仕事で鹿児島に行ったら偶然kouと同じ新幹線になって、ホント偶然にしても驚いたよ。運命的な出会いだって言ってたの?そんなわけないじゃん。本当?」

遥「kou先輩、酔っ払ってたけど、忘れられない最高の夜になったって言ってましたよ!」



(咲良の心境)

えっ、遥ちゃんどこまで知ってるの?もしかして全部知ってる?
彼は家庭もあるし、そもそもそんなに言いふらしたりする男じゃない。
でも、かなり酔っ払ってたって言ってたから、もしかして暴露しちゃったのかなぁ。
それにしても、遥ちゃんがkouと飲みに行く関係になったのかどうかが気になる。
私の前では彼はそんなに酔ったりしないし、遥ちゃんは私より心を許せる存在なの?
そんなわけない。
彼にとって特別な存在なのは私だけのはず。そう信じていたい。
あの夜だってそうだった。私だけが特別だったから、彼が抱いてくれたの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけだよね?
ねえ、kou?信じていいんだよね?



(遙の心境)

彼は咲良さんに会ったとしか言ってくれなかったけど、咲良さんの動揺がすごい。
やっぱりあの夜、彼と何かあったんだ、絶対・・・。悲しいよ。
たしかに咲良さんは特別な存在なのかもしれないけど、じゃあ私は何なのさ。
私だって、彼にとって必要な存在だし、軽い気持ちじゃなくてちゃんと愛されてるはず。
毎年必ず一緒の時間を過ごしているし、彼だっていつも私といるときはとても幸せな顔をしている。
だから、彼にとって本当に必要なのは私だけのはず。そう信じたい。
咲良さんだけには、負けたくない。
私だけが特別だから、彼が抱いてくれてるの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけですよね?
ねえ、先輩?信じていいんだよね?



咲良「もう遥ちゃんったら、kouとは10年以上も前に終わったんだから、知ってるでしょ?kouはもう結婚して2児のパパなんだよ。何もあるわけないじゃない。この間だって、鹿児島で芋焼酎を飲みながら鹿児島の美味しいものを食べてただけだよ。」

遥「そうなんですね。冗談ですよ。咲良さんに会ったって聞いただけですから。でも咲良さんの動揺、とても可愛かったです。相変わらず純情ですね。でもあの動揺、本当は何かあったのかなってちょっと勘ぐっちゃいました!」

咲良「もう〜、おばさんをからかわないの。意外に私、真面目なんだから。」

遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」



遥は気持ちよく酔いが進むのに対し、咲良は酔いは覚めていくばかり・・・。




<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)



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kou_blue97

【自己紹介】
・札幌生まれ札幌育ち
・現在は群馬在住
(←東京←徳島←千葉…)
・転勤族のサラリーマン
・ミスチル世代の団塊ジュニア

【好きなモノ】
・アメフト観戦
・ミスチル鑑賞
・子供とおでかけ
・転勤で知らない土地を満喫
・現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる
・小さな幸せのかけらを積み重ねる

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