サラリーマン

2013年05月25日

GIFT〜love one another〜 第2話

X'masは、娘と息子のために料理に腕をふるう。

毎年恒例のクリスマスチキンと手作りケーキ。

子供達のリクエストどおり。

旦那とは10年くらいクリスマスなど過ごしていない。

もちろん旦那からはプレゼントなどない。

毎年、手作りのクリスマスケーキを美味しそうに食べてくれる子供達の笑顔が最高のX'masプレゼント。

それだけで充分に幸せ。



それに、今年は。。。

ケンジとの楽しいひと時。

「神様がくれたX'masプレゼントだったのかな。」

大切な思い出として胸に刻み込まれた。



でも、もう思い出してはいけない。

胸の奥に封印しないと。

夢は見ない。

見てはいけない。

目の前の現実という幸せを、子供達の笑顔を、大切に守らなければならないんだから。




「たぶん、人生で男の人とKissをすることなんて、もう二度とないことだろうな。。。」

ケイコは自分にそう言い聞かせた。





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2013年05月24日

GIFT〜love one another〜 第1話

X'masは赤ちゃんを囲みながら家族水入らずで過ごし、年末年始は実家に帰ったケンジ。

家族の絆を再認識する時間が流れる。

胸の中につかえる罪悪感と背徳感。

夜、布団に入り寝ようとすると、ケイコの笑顔が思い出される。

「こういう風に終わって良かったんだ」 そう、言い聞かせる。

それが正しい選択。



年が明け、また現実の多忙な日々が戻る。

仕事は忙しい。

忙しくて、幸せだ。

いろんなことを忘れさせてくれる。

「家族のために、チビのためにも、頑張らないとな。」 充実した日々。



「ケンジさん、最近輝いてますね!なんかいいことあったんですか?」 昼飯を食いながら、ジュンペイが声をかける。

「まぁな。守るべきものがあると、男も強くなるんだよ。お前もそのうちわかるさ。」 軽くケンジが返す。

「今日は夕方から営業会議ですよね。終わったらパァーと行きましょうね!」



営業会議。

3月は多忙だ。スケジュール確認のため手帳を開く。

3月19日に赤いマークが。

「ケイコさんの誕生日だ。」

忘れかけていたケイコを強く思い出す。


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2013年05月23日

GIFT〜love one another〜 Prologue

こないだリメイクした大人の恋の物語「Xmasの贈り物」。

続編を望む声をいただきありがとうございます。

ご期待に添えるかどうかわかりませんが、ケンジとケイコの恋の物語の続編をStartしたいと思います。

タイトルは「GIFT〜another one love〜」

見切り発車な感じで、結末もまだイメージ出来ていませんが、楽しんで読んでいただけるようゆっくり掲載していきますので、よろしくお願いします。



<主人公>

ケンジ

28歳営業マン。入社5年目。
そして結婚3年目。今年子供を授かったばかりであり、父親としても、人間としても大きく成長していく年頃。


ケイコ

37歳。一流企業に勤める夫、中学生の娘と小学生の息子がいる家庭。夫は単身赴任が長いため、実家の母と同居。昼間は外で働いている。



<前作「Xmasの贈り物」のラストシーン>

『ねぇ、俺のことを忘れさせてくれなきゃ終われないよ。』 ケンジが悲しい目でケイコを見つめる。

ケイコはしばらく無言で考えた後、目を閉じ、ケンジにもたれかかり、ケンジの唇に重なり合う。

『ばーか。そんなことしたら本気で忘れられなくなるだろうが。Merry Christmas !』

ケンジはそう囁いて、深く長い口づけをした。



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2013年05月20日

Xmasの贈り物(remake版) 〜後編〜

Xmasの贈り物〜1つの恋の物語〜

※この物語は、4年半前に僕が書いた短編小説です。かけだし金融マンのblog(2008年12月)に掲載されているもののリメイクです。当時の僕の妄想の全てが盛り込まれています。頭ン中どんなんだったんだろう。。。

さて、後編の開始です。


<第14話>

翌朝、ケイコは普段通りに早起きして、朝ご飯をつくり、子供たちを起こすために子供部屋に入る。昨夜のときめきと心地よい気持ちが強く残っていて、久しぶりに幸せで満たされている感覚がある反面、強い罪悪感が心の中で芽生え始める。その罪悪感は、子供たちの安らかな寝顔を見たときに決定的なものとなって、ケイコの心を揺るがし始める。

ケンジと過ごした時間 ケンジからかけられる優しい言葉 ケンジに握りられる手の温もり 自分に女性として魅力を感じてくれた全てのことに対する女性としての1つの幸せ

自分が守るべき家族 命より大切な子供たちの愛 親として 妻として 人間としての使命と幸せ

ケイコは複雑な心境で、通勤電車に乗り込む。ケイコの携帯にメールが届く。

『昨日は楽しい時間をありがとうございました。ケイコさんの魅力にドンドン惹かれていく自分がいました。
また2人で飲みにいきましょうね。ケンジ』 ケイコは、特に飾り気もないただの1通のメールがこんなにも嬉しいということを知った。


<第15話>

朝会社を出て、ケンジのメールに喜び、家に帰り、子供たちと食卓を囲み罪悪感に悩むケイコ。その繰り返しの日々が続く。

正しいか正しくないかの答えは出ない。おそらく正しくないということはわかっている。ただ、変わらない日常の中で、ケンジと出会ってから、家族に対して、周りに対して、優しくなった自分がいた。

会社の後輩からも、『雰囲気変わりましたね』 なんて声をかけられるようになった。

『お化粧のノリもいいのかもしれない。なー』 なんて考えながら会社を出たところでケイコの携帯が鳴る。

『お疲れ様です。高橋です。もう会社出られました?』 ケンジからの電話だ。

『お疲れ様です。ちょうど会社を出たところですよ。』 ケイコが平静を装いながら応える。

『ちょうど近くまで来てるんで、30分だけコーヒーに付き合ってもらえませんか?』 またケンジに逢うことに少なからず危険を感じながらも、ケンジにもう一度逢いたい気持ちを抑えられず、ケイコは待ち合わせの駅前の広場の大きなChristmas treeに向かって歩き始めた。


<第16話>

賑やかなカフェで、エスプレッソとキャラメルマキアートで乾杯。ケイコとケンジの久しぶりの再会。

『もうすぐChristmasですね。ケイコさんはお子さんにプレゼント買ったんですか?』 ケンジの甘い顔にキャラメルの香りはよく似合う。

『前々からリクエストがあったんで、もう準備はしてるんだ。高橋さんは娘さんに何贈るの?』

『ケンジって呼んでくださいよ。つれないなー。』 ケンジが微笑む。

『ヒスミニの可愛い服を買いましたよ。ケイコさんは欲しいものないんですか?頑張ってる自分にご褒美とか。』

『欲しいものねー。特にないかなー。ケンジくんは?』 ケイコが聞き返す。

『僕は欲しいものがあって、サンタさんにお願いしているところ。』 ケンジの目が輝く。

『欲しいものって何ー?』 ケイコが普通に聞き返す。

『僕はケイコさんが欲しい。』 ケイコの目をしっかり見つめて、ケンジが伝える。カップを持つケイコの手が止まる。

『お酒の入ってない時に言おうと思ってた。あの日以来、ずっとケイコさんのこと考えてる。』 2人の顔が紅に染まる。

決して許されない罪深い恋だと最初からわかっていたとしたって、もう一回 ケイコに伝えたい。ケンジの気持ちがケイコに届く。


<第17話>

ケイコは驚きで凍りついた。こんなに賑やかな場所で、こんなに大勢の人がいる中で、『ケイコさんが欲しい』 なんて言われるなんて。

ケンジの大胆さに驚くとともに、ケンジの真剣さが心に響く。

『急にそんな話しても驚きますよね。お互いの家庭を大切に尊重した上で、本気の恋をしたい。真実の愛を見つけたい。そう想ってました。都合が良すぎて自分勝手な恋と思われるかもしれませんが、そうじゃないことも、僕がそんな男じゃないことも、ちゃんとわかってくれると信じてます。』 ケンジが想いを全てぶつける。

『今週の金曜日に飲みに行きましょう。もし僕の勘違いだったり、僕の一方的な盛り上がりだったとしたら、金曜日に教えてください。お願いします。』

『そんな風に想ってくれていたことも、今日こんなことを言われることも、想像もしてなかったし驚いてる。ちゃんと頭の中を整理したい。』 周りはカップルだらけのクリスマス前のカフェの中。

ケンジとケイコの間だけ、周りとは違う空気が流れている。アダムとイブのいたずらの1つ。


<第18話>

家に帰り、夕食の支度をするケイコ。夕食は最近マイブームの豆乳キムチ鍋。

『お母さん最近疲れてるみたい。大丈夫?』 娘が心配そうに聞く。

『そうかしら。寒くなってきたし、年末でバタバタしてるからかなー。しっかりご飯食べて頑張らないとね。』 ケイコは笑顔で子供たちに返す。

何か困ったことや悩み事がある時には、いつも母親や子供たちに相談してきたケイコ。でも今回ばかりは誰にも相談なんて出来ない。だからと言って家族には心配なんかかけてはいられない。

家族みんながお風呂に入った後、ケイコはゆっくり湯船につかり、ケンジのことを思い出す。

『私のことを真剣に想ってくれる人なんて、ケンジくん以外にはもう誰もいないんだろうな。私の人生の中で、もうたぶん。そう考えると、なんか寂しさが溢れてくる。』  ケイコは心の中でそう感じた。

恋なんかとうの昔に忘れていて、そんなものなくても楽しくて幸せな日々が長く続いていた。だけど一度恋を思い出しただけで、こんなにも幸せで満たされたり、悲しく切ない想いをするなんて、想像さえもしていなかった。

旦那とはしばらくまともに話すらしていない中で、金曜日が近づいてくる。Christmasの2日前の金曜日の夜が待っている。


<第19話>

待ち合わせ場所はこの前と同じChristmas treeの前。いつもの笑顔でケンジが待っている。

『今日はありがとうございます。美味しいコラーゲン鍋鍋のお店があるんで行きましょう。』 ケンジがケイコを促す。

とりあえずビールで乾杯。

ケンジはこの前の告白のことなどなかったかのように、お互いの考え方や生き方をもっとよく知ろうと、普段の話、仕事の話、小さい頃の話、最近のマイブームの話で会話を盛り上げる。

『コラーゲン鍋はお肌にいいですからね。ケイコさんの美貌がいつまでも続けばお子さん達も大喜びですよ。美貌に一番効くのは恋なんですけどね。』 ちょっとしたケンジの言葉がケイコを暖かく包み込む。

美味しい料理とお酒とケンジの笑顔と言葉と優しさ。

心も体も満たされる幸せな時間。

でも、このままケンジを受け入れて、ケンジを信じてついて行って、幸せは待っているのかどうか、幸せがいつまでも続くのかどうか、答えが出ないで時間が流れる。

『お腹もいっぱいで幸せですね。僕は最初からずっとドキドキでしたが。次のお店でゆっくりお話しましょうね。』 いよいよ2人の恋が動き始める。


<第20話>

2軒目はこの前と同じ店。雰囲気のいいカップルシートのカウンター。

ケンジはジンライム。ケイコはグランベリーのカクテル。

『僕、ケイコさんをもっと愛したい。』 さっきまでとケンジの雰囲気が変わる。

『僕もそうだし、ケイコさんもそうだけど、お互い大切な生活があって、家族があって、自分がいる。それだけで幸せだった。他には何も望んでいなかった。ケイコさんに逢うまでは。でもケイコさんに出会い、話をしているうちに、軽く触れ合ううちに、ケイコさんと恋をしたい、その想いが出てきて、良くないことだってわかっててもその気持ちは消えなかった。信じて欲しい。』 ケンジが気持ちを伝える。

『ケンジくんにあってから、毎日が楽しかったし、メールが来る度嬉しかった。そんな気持ちは何年ぶりだろう。でも家に帰って子供たちに会えば、罪悪感に悩まされていた。ケンジくんのことが好きだけど、本当に嬉しいけど、やっぱりお互い良くないよ。ツラい思いをするだけ。だから今ならまだ間に合うよ。ちゃんと奥さんとお子さんだけを愛してあげなきゃ。』 ケイコが初めて気持ちを伝える。

『家族はもちろん愛してるし、子供は何よりも大切なもの。ケイコさんとの恋ならお互いを高めあうことも、お互い幸せになることも出来るんじゃないかな。この本当の気持ちを信じたい。』 ケンジは引かない。

『まだ出会ったばかりだし、最初だけ盛り上がってるだけかもしれないよね。恋してる自分に恋したいとか。ちょっと冷静に考えた方がいいよ。私みたいな年上なんか好きになるなんてさ。』 私と恋を始めても、きっとケンジにも自分にも幸せなどやってこないことを、ケイコはちゃんとわかっている。

突き進みたいケンジと、冷静に見つめ始めたケイコのやりとりは、切り口を変え、理屈を変えて、長い間カウンターに響き渡るのだった。


<第21話>

お互いの幸せのためと、ケンジを思いとどまらせるケイコだが、ちょっとでも気がゆるむとケンジの気持ちに応じてしまいそうだ。

『私だって本当はね、恋を始めてもいいかなって思ったりもした。ツラい時に優しくされたいし、頑張った時は褒めて欲しい。ケンジくんになら本音で甘えることが出来て、女としてもちゃんと見てくれるんじゃないかって。でもね、私には子供達が一番大切で絶対に裏切れない。ケンジくんもきっとそうだよ。』 ケイコの気持ちがケンジにも届きはじめる。

『じゃあ待ちますよ。ケイコさんが俺を信じて受け入れてくれるまで、それまで待ちますよ。』 ケンジがグラスを一気に空ける。

『そんな出来ない約束なんてするもんじゃないよ。ちょっと冷静になって考えてみて。もし、10年後も同じ気持ちだったらその時はいいわよ(笑)。』

『もっと男を磨いて、また気持ちを伝えに来ますよ。何度でも。それまで変な男に騙されたりしたらダメですからね。』 ケンジが微笑み、ケイコも笑みを浮かべる。

もうすぐ日付が変わり、クリスマスイブを迎える。


<第22話>

願いは叶わなかったケンジだが、気持ちを伝えることが出来て、晴れ晴れとした表情を浮かべる。笑顔のケンジとケイコが、店を出てエレベーターに乗り込む。

『こうやって勇気を振り絞って手をつないだ時、嫌がられたらどうしょうとドキドキした。握り返してくれた時は本当に嬉しかった。』 ケンジはそう言いながら、ケイコの手を優しくつなぐ。

『私もね、すごくドキドキしたしとても嬉しかったよ。なんだか信じらんない感じだった。』 ケイコもまた握り返す。

駅までの残された時間。もう二度と2人で逢うこともないだろうことは、2人とも薄々感じている。誰にも邪魔されない2人だけの時間、誰にも邪魔することが出来ない2人だけの空間。

駅はもう目の前。終電の時間も近づいてゆく。駅に入り柱にもたれかかるケンジ。

『俺、逢えてよかったよ。』

『私もだよ。』 ケイコが向かいあう。

『ねぇ、俺のことを忘れさせてくれなきゃ終われないよ。』 ケンジが悲しい目でケイコを見つめる。

ケイコはしばらく無言で考えた後、目を閉じ、ケンジにもたれかかり、ケンジの唇に重なり合う。

『ばーか。そんなことしたら本気で忘れられなくなるだろうが。Merry Christmas !』 ケンジはそう囁いて、深く長い口づけをした。


【完】


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2013年05月19日

Xmasの贈り物(remake版) 〜前編〜

Xmasの贈り物〜1つの恋の物語〜

※この物語は、4年半前に僕が書いた短編小説です。かけだし金融マンのblog(2008年12月)に掲載されているもののリメイクです。当時の僕の妄想の全てが盛り込まれています。頭ン中どんなんだったんだろう。。。


<第1話>

『お疲れ様です。お先に失礼します。』 5時半頃、ケイコは会社を出て駅へと向かう。秋風が身にしみ始める季節。

『今日は温かいお鍋にしようかなー』 と独り言をつぶやきながら、子どもたちが待つ家へと向かってゆく。

ケイコは今年37歳。いわゆる一流企業に勤める夫がいて、中学生の娘と小学生の息子に囲まれた、そんな普通の家庭。普通以上の理想に近い家庭。

実態はちょっと違う。

夫はここ数年単身赴任中で、家庭には寄りつかない。もともと同居していた頃から、つきあいだ接待だと家庭をかえりみることなんてなかったし、女の影もちらほら見え隠れしていて、単身赴任という名目で別居が出来てお互い清々している。ケイコは子どもたちを連れて、単身赴任中だけということで、実家の母と同居して、昼間は外に働きに出る。

『子どもたちは私が守る』 そんなケイコの冬物語。


<第2話>

ケイコは最寄り駅そばのスーパーで買い物をするのが日課。夕食の準備は自分でする。そして子どもたちと夕食を食べる。

それだけは譲れない。その信念は変わらない。帰宅して夕食をつくり、子どもたちと食卓を囲む。そして台所を片付け、明日の準備をする。子どもたちが寝るまでは休まる暇がない。でも、絶対に仕事を言い訳にはしない。

私は夫とは違う。そう自分に言い聞かせて。子どもたちが寝静まった後、ゆっくりお風呂に入るのがささやかな幸せ。深夜にベッドに入り、朝早くから朝の準備。こうしてケイコの毎日が過ぎていく。

家庭を守り、子どもを育てて、外で働く。それが当たり前であり、毎日のごく普通の生活。それがたぶん、親として、人間として、生きているということなんだ。


<第3話>

ケイコの職場はオフィスビルが立ち並ぶ街の一角にある。仕事は経理だったり庶務だったり事務やら雑用やらの何でも屋さん。与えられた仕事は真面目にテキパキこなすタイプであり、若い女性陣からの評判も悪くない。事務所はそんなに大きいわけではないが、毎日多数の営業マンや業者の人達が出入りする。

たくさん事務所に訪れる営業マンたち。その中にケンジもいた。

ケンジ28歳
ケイコ37歳。

ただの営業マンと普通の事務所の女性。そんな2人の、クリスマスの物語。


<第4話>

ケンジは営業マン。実質的な営業ノルマは厳しいが、人脈が広がっていく仕事がそれなり楽しい生活。入社5年目で、営業も自分の形を築き上げつつある年頃。

そして結婚3年目。今年子供を授かったばかりであり、父親としても、人間としても大きく成長していく年頃。

『ジュンペイ。今日ちょっと飲んで帰ろうか。』 営業から戻ったジュンペイに話しかける。

『いいっスけど、最近飲み続いてますよね。ご家庭大丈夫っスか?』 ジュンペイが一応気遣う。

『仕事には打ち合わせが必要だろ。打・ち・合・わ・せ。』 ケンジが強引にジュンペイを連れ出す。

『いやー寒いですねー。こんな日はやっぱお湯割りですよね。梅入りで。』

『こう寒い日が続くと彼女に温めてもらいたくなんねーのか?早く新しい彼女見つけろよ。』 そう言ってケンジが生中を流し込む。

『彼女は欲しくてもなかなか出来ないんですよー。それよりケンジさん赤ちゃんはもうハイハイしてるんですか?』 ジュンペイが豆乳鍋をつつく。

『なんかさー。仕事もそれなりにうまくいってて、子どもも超可愛いけど、なんか家に帰りたくないんだよね。』 ケンジがジョッキグラスを見つめながら語り始めた。


<第5話>

『仕事とか接待とかで帰りが遅くなるとさ、「男は仕事だけやってれば許されるんだからいいわね」って、冷たい顔をされるんだ。』 ケンジは遠い目をして続ける。

『子育てってさ、かけがえのない幸せである反面、ものすごくエネルギーを費やす。嫁がさ、家事と育児で家庭を切り盛りして大変なのはよくわかる。感謝こそすれ、非難なんかするつもりはないよ。でもさ、俺だってクタクタになりながら仕事してきて、家族のために嫌なことがあっても耐えて。それなのにそんな冷たい態度が続けば、俺もちょっとキツいよな。なんのために頑張ってんのかなって。』 ケンジがビールを流し込む。

『うーん。難しいですね。。。』 ジュンペイが唸る。

『なーんて本当に贅沢な悩みだよな。わかってるんだ。理屈じゃなくて、頑張るしかないって。』 いつもの笑顔のケンジに戻った。

『まだ8時だな。よーし、』

『じゃあパァーッと行きましょうか。最近いいキャバクラ見つけたんですよ。ナオミちゃんって可愛い子が、』

『ばーか。俺は妻子のいる我が家に帰るよ。ジュンペイもいいかげん落ち着けよ。』 ジュンペイの優しさを感じながら、早めに帰路につくケンジだった。


<第6話>

『今日は会社の忘年会だから帰りが遅くなるね。』 子ども達にそう伝え、ケイコは家を出る。ケイコの会社では12月第一週に事務所の忘年会を行うのが恒例。所長の意向で、社員だけではなく、取引先や業者にも幅広く呼びかける。もちろんケイコも参加し、ケンジも参加する。

取引先回りで遅れて到着したケンジは、空いている下座の席に腰を下ろし、始まったばかりの所長の話に耳を傾ける。そこはケイコの隣。乾杯の音頭の前に、グラスにビールを注いでいく。ケイコがケンジのグラスに注ぐ。

『お疲れさまです。高橋さんですよね?』 ケンジははっと目を上げ、恐縮する。

『高橋です。いつもお世話になってます。』 今度はケンジが注ぎ返す。

『いつも電話いただいたり、来店されてるんで名前は覚えてますよ。私は木村といいます。よろしくお願いします。』 2人の瞳が交差する。

『乾杯〜』 乾杯の合図でケンジとケイコのグラスが触れ合う。

2人のグラスを持つ手には、それぞれの指輪が煌めいている。


<第7話>

席が隣とは言え、ケンジにとっては単なる飲み会ではなく、仕事の一環。楽しく会話している時間などなく、担当者、課長、部長と挨拶にお酌と忙しい。ビール瓶を持っていろんな人に注ぎに行く度に、注いだ以上のお酒を飲まされるのが営業マンの定め。ケンジはいつもの営業スマイルで、注がれたお酒は飲み続けた。

ケイコは普段飲まないお酒を久しぶりに飲んだこともあり、顔がほんのり赤みを浴びている。今日くらいはいいかなーとちょっとずつ飲み始めたが、いつの間にかビールも進んでいた。トイレから戻る途中、ケンジは店員さんな水を貰い一気に飲み干す。ちょっと酔いもまわり始めており、小休止の意味も込めて、ケイコの隣の席に戻った。

『お疲れさまでーす。大変ですねー?』 ケイコも酔いが回り饒舌になる。

『まあ仕事ですからねー』 ケンジも軽いノリで返す。

『木村さんはお酒強いんですか?普段も旦那さんと飲まれるんですか?』 ケンジはケイコの左手のリングを意識して会話を膨らませる。

『普段は全然飲まないんですよー。ホント久しぶりですよ。旦那はほとんど家に帰らないですし。』 ケイコが真面目に応える。適当に話を合わせればいいものを、根が真面目なので、旦那の話も普通に出してしまう。

『こんな素敵な奥さんがいるのに帰らないなんて旦那さんも大変ですね。』 営業トークの中にケンジの本音が入り交じる。


<第8話>

『高橋さんってお上手ですね。』 ケイコもお世話とは言え悪い気はしない。家と事務所の往復で、ほとんど飲み会にも顔を出さないケイコにとって、男に褒められるのは久しぶりだ。

『木村さんのような人が家で待っていたら、毎日帰るのが楽しいだろうなー。』 ケイコの目をケンジが見つめる。ちょっと動揺気味のケイコ。

『でも高橋さんもご結婚されてますよね?まだまだ新婚さんみたいな感じなんじゃないですか?お子さんはいらっしゃるんですか?』 

『結婚3年目で今年子供が生まれました。まあ幸せって言えば幸せなんですけどね。実際はいろいろありますが。』 しばらく休んでいたケンジがまたビールを飲み始める。

『じゃあ一番頑張らなきゃならない時期ですね。仕事も家庭も。』

『そうですね。木村さんと話せて元気が出てきました。またちょっと頑張ってきますね。』 そう言ってケンジはビール瓶とグラスを片手に、また飲むという名の戦場へと舞い戻って行った。

ケンジと話したことにより、自分の幸せだった時期のことを思い出すケイコがいた。


<第9話>

一次会が終わり、ケイコは一人で駅に向かう。駅前の広場は12月に入ったばかりだというのにクリスマスモード一色だ。

『今年のクリスマスはどこのケーキにしようかな。』ケイコは独り言をいいながらクリスマスツリーを見つめる。

『昔は張り切ってクリスマスプレゼントとか選んだりもしたし。可愛いコートで着飾って、ディナーに連れて行ってもらったりもしたなぁ。』 ケイコの胸の中で、恋をしていた時代の記憶が蘇る。

『私も年をとっちゃたね。』 結婚してからも、家庭のため、子供のために頑張り続けた自分に話しかける。

『でも、子供たちも元気だし、今年もまた子供たちとクリスマスを過ごせるだけでも幸せだと思わなきゃね。』 そう言い聞かせて自宅に電話を入れる。母も子供たちも、たまにはゆっくりしておいでよと気遣ってくれる。

そんな家庭の優しさを感じながら、ケイコはいつものケイコに戻り、駅のホームへと歩いてゆく。


<第10話>

一次会が終わり、ケンジは一人で駅に向かう。駅前の広場は12月に入ったばかりだというのにクリスマスモード一色だ。

『今年のクリスマスは、家族3人で過ごす初めてのクリスマスだな。』 ケンジは独り言をいいながらクリスマスツリーを見つめる。

街を歩く若いカップルたちを横目に、『俺もパパか』とつぶやく。酔いが回り、子供の顔を思い浮かべて、自然に笑みがこぼれる。人生はうまくいっている。仕事もそう。プライベートもそう。贅沢なんか言ってられないことはわかっていても、ロマンを求めてやまない男の性(さが)を感じるケンジがいた。


<第11話>

ホームで電車を待つケイコ。ちょっと遅れてケンジが同じホームにたどり着く。エスカレーターを登ったケンジは、電車を待つケイコの姿を見つけ、ケイコに引きつけられるように、一歩ずつ近づいていく。

『また逢えましたね。』 ケンジがケイコの隣に並び、話しかけた。
『高橋さん。。。』 急に声をかけられたからなのかわからないが、とてもドキドキしている自分にケイコは驚く。

『なんか素敵な女性が立っているなって思ってたら、木村さんだったんで、つい声をかけちゃいました。迷惑でしたよね。』

『そんなことないですよ。でも高橋さんって本当にお世辞が上手いですね。』 今日飲み会の話や、お互いの住んでいる所や生活の話で会話も楽しく弾む。

『次の駅前にいい雰囲気のお店があるんですよ。これからちょっとどうですか? って本当はお誘いしたいところですが、ケイコさんのお子さんも帰りを待っていますよね。今度2人で飲みに行くときにご案内しましょう。』 ケンジがケイコを誘う。

断りやすくて相手をいたわり、また相手の気持ちを探ることが出来る誘い方。一瞬の葛藤の後、ケイコはケンジの誘いに応じた。

『じゃあ少しだけ寄りましょうか。あまり遅くならないように。』 そう言って、肩を寄せ合って、2人は途中駅で降りて夜の闇に消えていった。


<第12話>

2人は駅からちょっと歩いたところにある雰囲気のいい居酒屋に入った。カウンターに通されたが、二人掛けの可愛いシートに腰をおろす。

『ここ雰囲気良くないですか?』

『なんか凄くお洒落な感じですね。こんなお店なんて若い頃にしか来たことないです。私なんか似合わないかもしれないですよね。』 店にとしても、何よりケンジの飲む相手としても、自信のないケイコが控えめに話す。

『全然そんなことないですよ。今日お逢いした時から、本当に素敵で魅力的な女性だって、ずっと感じていますから。』 ケンジの言葉には半信半疑なケイコだが、忘れかけていた感情が蘇りつつある。どれくらい時間が経っただろう。柔らかくて、居心地が良くて、いつまでも続いて欲しい特別な時間が流れた。

日常が迎えに来ることを、現実が迎えに来ることをわかっているけれど、ちょっとでもこの時間が続いて欲しいと
お互いそう強く願っていた。

『名残惜しいけど、今日はそろそろ帰りましょうか。』 ケンジがカウンターを立ち上がり、会計を済ませる。ケイコがお金を払おうとするが、ケンジは受け入れない。

『じゃあ今度デートするときには、ちょっとだけご馳走になりますね。』 完全にケンジのペースで物事が進む。ケンジの優しさと男らしさ、そしてデートという言葉に、ケイコの心は揺さぶられていくばかり。


<第13話>

2人は支払いを済ませてエレベーターに乗る。他には誰もいない。ケンジはケイコの手にそっと触れる。そして優しく握りしめる。楽しく会話が弾んだカウンターとは対照的に、エレベーター内は沈黙と緊張感に包まれる。エレベーターを降りた後も、2人の手は離れない。

『タクシーで送っていきましょうか?』 ケンジが沈黙を破る。

『まだ10時過ぎたばかりなので、電車で大丈夫ですよ。』 お互いの手から伝わる温かさい人柄を感じながら、2人は駅へと歩いてゆく。

『この時間がずっと続けばいいのに』 無意識にケンジが言葉を発する。ケイコは何も言わない。心の中で頷くだけ。ただそれだけで充分に伝わる。駅のホームにたどり着く。

『また、ケイコさんと2人で逢いたい。』 今までと異なる口調。

『私も、また逢いたいな。』 今はもう止まらない。無情にもケイコの乗る電車が到着する。

『今日はありがとう。また連絡するね。』 ケンジはケイコの髪に触れ、耳元でささやいた。こうして、2人はまた日常という世界へ舞い戻っていくのだった。

ケイコはいつもと変わらない様子で、家族と子供たちが待つ家へと帰り、いつものとおり眠りにつく。何も変わらない日常。

ただいつもと違うのは、ケイコの心の中のロウソクに、ケイコの胸の中のChristmasキャンドルに、優しく温かい火が灯ったことだった。

決して許されるものでもなく、決して認められるものでもない、1つの純粋の恋。


【前編・完】


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2013年05月18日

誰がために鐘は鳴る(remake版)〜後半〜

『誰がために鐘は鳴る』 〜サラリーマンの物語〜

※この物語は、5年前に僕が書いた短編小説です。かけだし金融マンのblog(2008年2月)に掲載されているもののリメイクです。


<第11話>

『これは本社からの指示であり、社長の意向である。』 新しい工場長がやって来た。

あだ名はイエスさん。目上だけに忠実だという意味のイエスマンと、イニシャルのSさんが合わさったらしい。イニシャルではなく、部下を苛めて喜ぶからSさんと呼ばれているという説もある。まあそんなあだ名のとおりの男だ。そしてもちろん事業部長の忠実な飼い犬でもある。

『今、工場に求められていることは、コスト削減と人員削減である。いかにスムーズに工場を縮小出来るかということを第一に意識して欲しい。本社の指示通り動いてくれればそれなりの待遇が待っている。本社の方針に従わない者は、リストラの最有力候補とせざるを得ない。』 リストラの言葉を発しながら、薄気味悪い笑みを浮かべている。

『何がリストラだ。無能な管理職を削減することが先だろ。一番最初がお前だよ。』 と心の中で呟いた。

本社の指示に忠実な者が出世する構造。その指示が正しいか正しくないかの判断はいらない。YESと言えば、出世の階段に残り、NOと言えば、出世の階段から蹴落とされる。それが歪んだ組織の秩序であり、道徳とされている。

『こうして世界は回っていくんだ。』 青空を見上げながら、ケンタのため息が、雲に向かって上っていく。


<第12話>

イエスさん(新しい工場長)の言葉は俺の心に響かない。前の工場長の言葉が懐かしく思い出される。


『いいかケンタ。なんでお前みたいな大卒を工場に配属させるかわかるか?よく考えてみろ?』 そんなことも言われたっけ。

『モノづくりには、生産技術が大切なんだ。これを使ってくれる人のために、いかに良いものを、いかに早く、いかに安く作れるか、それを考えるのが俺たちプロの仕事だ。モノづくりのプロを育てるには、大学の知識なんか役に立たない。工場で何が起きているか、現場を肌で感じてもらうのがまず第1だ。だから最初は、工場なんだ。プロへの第一歩、しっかり頑張れよ。』 

たぶんこの言葉は、自分への激励の言葉だったに違いない。3ヶ月の新人研修を終え、本社や大規模支社に配属される同期がいる一方で、工場勤務を言い渡され、軽く落ち込んでいた自分に対する励ましの言葉だった。

次代を担う若い世代の気持ちを汲み取ってくれて、さりげない激励の言葉をかけてくれる心遣い。その優しさが、3年たった今でも、俺の心に響き続けている。

そうだ、俺は、工場(ここ)で頑張らなければならないんだ。前に向かって進むしかない。


<第13話>

今日も一日仕事を頑張った。

『ケンタさん、飲み行きましょうよ。たまには事務のかおりちゃんも誘って。』 新人のジュンペイが飲みに誘ってきた。

『そうだな。よし、パーッと行くぞ。』 ジュンペイとかおりちゃんと3人で、アジアンダイニングへ向かった。

生春巻やフォーなどでお腹も膨れてきた頃、『なんか最近、工場の雰囲気が良くないですよね。空気が重いっていうか。』 かおりちゃんが寂しげな目で訴える。

『全部アイツのせいですよ。トップが代わると、こうも見事に組織がおかしくなるんですね。』 ジュンペイもいろんな思いをぶちまける。

『そうだな。あんなにやる気をそぐ人なんてあんまりいないよな。って酒が不味くなるじゃねぇか。俺らは俺らで楽しく仕事を頑張ろうぜ。』 言ってみたものの、不平不満は渦巻いているようだ。

そんな時は、楽しく飲むに限る。というわけで、カラオケに場所を変え、ジュンペイと肩を組みながら3人で『明日があるさ』 を熱唱。

これからも頑張り続ける自分と、ともに頑張っていく仲間達に、未来があることを本当に信じたい。

『あ〜楽しかったね。ストレス発散。』 かおりちゃんもご満悦の様子。

『じゃあ帰りは気をつけてね〜。』 とかおりちゃんを見送り、ジュンペイと繁華街にきびすを返す。

『ケンタさん、仕事でいろいろ嫌なことも多いっすけど、ホントこういう仲間って大切ですね。僕ちょっとモチベーション下がりっぱなしでしたけど、頑張ろうって気になってきましたよ。』 酒だけじゃなく、自分にも酔い始めたようだ。

俺も熱く語りかける。 『人生はな・・・・。』


<第14話>

お互い心地良い酔い加減の中、俺はジュンペイに語りかける。

『人生はな、必ずしも平等とは限らない。今回みたいに不運な状況に陥ることも多い。嘆いていればいいのか、恨めばいいのか、それとも逃げればいいのか。』

『僕ならとりあえずやけ酒っすよ』 ジュンペイが応える。

『まあたまにはいいよな。でもそればっかりじゃ悲しいだろ。何事も、今おかれている環境のせいにしちゃいけない。言い訳したくもなるし、恨み辛みもある。となりの芝生だって青く見えるからな。でも、格好いい生き方ってゆうのは、どんな環境だろうと、与えられた環境の中で、精一杯努力し、常に前を向いている、そんな生き方なんじゃね〜かな。』 ヒートアップして、さらに体が熱くなる。

『そうっすね。周りの環境とかじゃなく、要は自分がどれだけ出来るかってことですよね。自分との戦い。なんか超ヤバいっすね。ケンタさんどんだけヤバいっすか。』 ジュンペイの気分の高揚が、言葉を意味不明に変えてゆく。

『そうだ。人や周りに惑わされるな。自分の信念を貫け。やってやろうじゃねぇか。』 繁華街で拳を握りしめるスーツ姿の若造2人が、明日の日本経済を支える。

『ケンタさん、俺、明日から超〜頑張りますよ。今日の俺なんてバイバイ、常に今の自分を超え続けてやる。信念を貫きます。』 いつになく頼もしい後輩の姿。

『熱く語り合える仲間って、最高だな。』 俺も清々しい気分だ。

『先輩、俺、信念を貫きます。だから、明日から頑張るために、ちょっとキャバクラ行きたいっス。この前、菊池課長に連れてってもらったとこ。』 ジュンペイの目が爛々と輝いている。

『しょうがねぇな。割り勘だぞ。』 繁華街で拳を握りしめるスーツ姿の若造2人が、今日の夜の経済をも支えている。


<第15話>

前工場長のもと積み上げられてきたものが、新しい工場長により取り崩されていく現実。悪に立ち向かう正義が現れるのがドラマや小説の世界だが、そう上手くは行かないのが現実。

物事は、新しい工場長の思い通りに進んでいった。社員や作業員だけではなく、パート、派遣社員も削減されていく。取引先や下請け業者への影響も計り知れない。この大きな犠牲を、経営陣はどう考えているのか。断腸の思い、忸怩たる思いの上の経営判断だと信じたい。そうでなければ、犠牲者達は報われない。派閥争いや保身、私利私欲のための犠牲であれば、許されたものではない。

そして僕らも、今後は中堅社員として、やがては管理職として、我が社を支える歯車の1つとなっていく。その過程で、このような大きな犠牲があったこと、その上で会社の今があることを、決して忘れることなく、胸に刻み込まなければならない。それが残された者達の使命。

こんな会社、辞めようかとも考えた。でもこの使命感を抱きながら、まだまだ頑張っていかなければならない、そう意識は変わっていった。

そして、人事異動の時期がやってきた。思いもかけない異動が発表された。


<第16話>

新しい工場長が赴任してから3ヶ月。工場長の異動は例外的に行われたものであり、今回通常の人事異動の季節がやってきた。社内食堂でジュンペイと昼飯を食べながら、そんな話題が湧き上がった。

『そろそろ異動の季節ですよね。なんかソワソワしちゃいますね。』 今日の日替わりランチはサバ味噌煮定食。
ご飯いっぱい口にほうばりながら、ジュンペイが話してきた。

『何言ってるんだよ。お前はまだ来たばかりの新人だろ。お前の異動なんかあるわけねーよ。』 同じ日替わりを食いながら俺は返した。

『そうですけど。人事なんて何が起こるかわからないっスよ。新人だろうが何だろうが、でもそんなの関係ねぇ!!オッパッピーっすよ。』 この前言ったキャバクラでちょっとモノマネがウケたからって、ジュンペイは最近そればっかだ。。。

『人事はどこまで考えてくれてるんだろうな。一人一人の人事異動なんて全体から見れば取るに足らないことだけど、当事者にしてみれば一大事だからな。』 血と心の通った人事を行って欲しい。

そんな会話をした数日後、俺とジュンペイの直属の上司である菊池課長に人事異動がなされた。

菊池課長は、本社人事部へ栄転することとなった。


<第17話>

『菊池課長ご栄転おめでとうございま〜す。』

『お−。みんなありがと−。』 みんなの酌を受けて泥酔状態の菊池課長が、相変わらずの低く渋い声で応えてくれる。もう何回目の乾杯だろうか。

今日は菊池課長の送別会。で、こじんまりとした居酒屋で3次会のスタート。普段から仲のいい5人での3次会だ。

『課長〜、キャバクラのナオミちゃんは、ちゃんと僕に引き継いでくださいよ〜。』 こっちも完全に出来上がっているジュンペイがそんなネタで絡んでゆく。

『人事に行ったら、まずはあのイエスの野郎をぶっ飛ばしてくださいよ。マジお願いします。』 主任の先輩も工場長が到底許せないようだ。

『会社の成長は社員なしには語れない。人事とは、社員一人一人がモチベーションを高め、常に上昇志向を持って働ける環境を作り上げることだ。そしてそれが会社の経営戦略達成につながる。今の工場をみると、モチベーションを高めるのが難しい環境だよな。まあいろいろな経営判断の上のことだとは思うが。』 課長が熱燗を空けるスピードは止まらない。

『たしかに新しい工場長を置いた人事が正しかったのかどうかは、会社全体の今後の業績などをみなければわかりませんが、一つの人事がこれだけ社員のやる気を削いでいるという事実だけは、人事にもちゃんと伝えてもらいたいです。』 普段おとなしい先輩もこのことについては譲れないようだ。

『でも課長みたいにちゃんと部下のことを考えてくれる人が人事に行くのは、会社全体としてみれば大きなプラスですよね。課長、期待してますよ。』 俺は本心からそう思う。

『お前らの気持ちは痛いほど分かる。俺にどれだけ力があるかはわからないが、この経験を生かして頑張るつもりだ。お前らもしっかり頑張ってくれよな。』 課長から一人一人に言葉が贈られる。

言う方も言われる方も泥酔状態だが、『ケンタ、お前は人の心がわかる男だ。その心を忘れるなよ。そして絶対に偉くなれよ。』 この言葉は忘れない。

『ジュンペイ、お前にはナオミちゃんはまだ早い。ナオミちゃんを振り向かせるくらい、仕事頑張ってカッコいい男になれよ。』 たぶん、この言葉も忘れない。

こうして思い出話に花を咲かせた。


<第18話>

工場長が異動でいなくなり、課長も異動でいなくなった。そして工場の生産ラインが縮小し、ここで働く人も減っていった。それでも時は流れる。工場も動き続ける。毎日始業の鐘は鳴り、毎日終業の鐘も鳴る。

工場長が飛ばされるのを知った時、誰のために働くのか、なんのために頑張るのか、それがわからなくなった。

そんなこともあった。

工場長は相変わらずだが、新しい課長も頼りがいのあるタイプで、また違った観点から俺を指導してくれている。ジュンペイにも後輩が出来、持ち前のエネルギーでバリバリ突っ走っている。

誰のために働くのか? 『汝がために鐘は鳴る』とも言い切れない。『それは私』とスズメも言わない。

働く理由なんて人それぞれ。答えもなければ、正確もない。家族のためだっていい。自分のためだって。夢のためだって。ナオミちゃんのためだっていい。

きっと答えは1つじゃない。

そう冷静に受けとめてしまった俺。大人になったからなのか。成長したからなのか。これは進化なのか。それとも退化なのか。

Regress ? or  Progress ?


<第19話>

人事部の菊池課長のもとへ、前工場長がやって来た。「菊池くん、ご栄転おめでとう。本社はどうだい?」菊池課長は立ち上がり、前工場長を迎える。

「ご無沙汰していました。お元気そうで何よりです。」

「実はな、早期退職制度を利用しようかと思っているんだ。」 工場にいた頃よりは穏やかな顔をしている。

「知り合いのちょっとした小さな工場で働かないかと話があり、家からも近いし、前向きに話を進めていこうかなんて考えている。」 やはり、人事異動の傷は癒えないんだろうか。

「あれからいろんなことを考えたよ。辛く悲しい思いももちろんした。でも、大切なことを気付かせてくれた。」 菊池課長は完全に聞き手にまわっている。

「どうだ?やっぱり俺は出世ラインから外れた負け組みにしか見えないか?」 笑いながら前工場長は続ける。

「仕事は、わがままも許してもらったし、自分の好きなようにやらせてもらうことが出来て、本当に満足している。
この年にもなって、他人の評価が全てで一喜一憂するなんて寂しい人生じゃないか。自分の信念を貫いて今までやってきて本当に良かったと思っている。そして工場長としていい仲間たちに囲まれて、これ以上の贅沢はあるか?俺は胸をはって会社を辞めれるよ。俺は頑張ったってな。これからも、新しい現場でバリバリ頑張るさ。菊池くんとか、工場のケンタとか熱いハートの男には、後悔しない充実した仕事と人生を歩んでもらいたい。信念と誇りをもって、楽しかったと胸をはれるよう頑張って、この会社を支えていって欲しいと思うよ。老兵は去るのみ。頑張ってくれ。みんなによろしくな。」 そう言って、前工場長はこの部屋を後にした。

俺は、数週間後に菊池課長の口から聞いた。さすが男だなって率直に思った。ジュンペイもわかってんだかわかってないんだかよくわからないが、「格好いいっスね」と口にしていた。

俺は、それから全工場長に会うことはなかった。でも、前工場長は工場にいろいろなモノを残していった。一緒に働くことが出来たのはわずかだが、俺の心の中にもたくさんのモノが残っている。

「胸をはって辞められる」という言葉の意味を深く感じる。それは、時をかけて、社会をめぐって、次代に引き継がれ、そうして誰かの心に伝わっていく。そうして時代に刻まれてゆく。

そのために、鐘は鳴っているのかもしれない。


<第20話>

若さと元気だけが取り柄だったジュンペイも、今では一人前に仕事をこなしている。大きな仕事も少しずつ任されるようになってきた。そして、仕事の質と量の増加とともに、苦労や責任も少しずつ増え、時には大きな壁にぶち当たったりしているようだ。

定食屋で晩飯を食いながら、ジュンペイが聞いてきた。

『ケンタさん、工場長がかわるときに、何のために働くのかわかんなくなったって言ってましたよね。答えは出たんですか?』

『答えなんてないんだよ。ないと言うか、なくてもいいじゃんみたいな。』

『僕も最近ツラいなとか空しいなとか、たまに何で頑張ってるのかわかんなくなったりしますよ。そんな時は何で頑張ってるんだろうとか悩んだりしちゃいます。同じだなと思って。』

『仕事がうまくいってる時は、きっとそんなこと考えずにバリバリ働いていて、仕事だって仕事以外だって充実した時間を過ごしていて、そんなこと考えたりしないんじゃないかな。仕事でつまずいたり、上司や同僚と合わなかったり、仕事が上手くいってない時に、何で頑張ってるのかとか、何のために働いてるのかとか、何かのきっかけを見つけたくて、そんなこと考えたりするんじゃないかなと思って。』

僕を走らせている無数のもの 夢だったり目標だったり 誇りだったり信念だったり 家族だったり仲間だったり 楽しみだったり趣味だったり 振り返ればいろんなものが集まって 僕の背中を押してくれているはず

でも辛い時や苦しい時に それらに気がつかないで ふと立ち止まって考えてしまう 何のために走っているのか

ナンノタメニガンバッテイルノカ

理由が欲しくて きっかけが欲しくて 僕らは悩み苦悩する

でもいろんなものが背中を押してくれていることに気付き 僕らはまた走り出す そうして世界は回っている

『答えなんか見つからなくても、そうやって悩んで、壁にぶち当たって、また頑張っていけばいい。辛い時は泣いてもいいし、飲んでもいいし、無理する必要なんかないよ。』 こう言いながらジュンペイがまた成長の階段を一歩ずつ登っていくのを俺は喜んでいた。

『ケンタさん。そうですね。今は辛いけど乗り越えなきゃならない壁ですよね。乗り越えた先にはまた一歩成長した俺が待っているから。』

『そうだ。頑張れよ。みんな期待しているんだから。』

『ケンタさん、辛い時は泣いても飲んでもいいんですよね。』

『ああ、リフレッシュして明日の活力を生むのも大切だからな。』

『じゃあ、これからナオミちゃんの店行きましょう。可愛い後輩の明日の活力のためですよ、先輩。』 こうして夜が更けてゆき、また明日が始まってゆく。

課長も、工場長も、部長もみんな、こうして壁にぶち当たって、成長していったはず。

僕らも同じように成長の階段を登ってゆく。出世して歴史に名を残す人も入れば、心や技術を伝承して後世に名を残す人もいる。目指すべきものは、人それぞれ。何のために働くのか、それも人それぞれ。

でも誇りと信念を大切に、明日へ生きるサラリーマン物語。

ケンタとジュンペイを代表する世代の未来に期待して。(完)


<epilogue>

ここは別世界。小さい頃、東京ディズニーランドに行った時に、ここは別世界、まるでファンタジー、なんて体験をした時のように、俺は今ここで素晴らしい体験をしている。

そう、ここは別世界、大人のファンタジー、in キャバクラ。

『ジュンペイくんお疲れ〜』

『うぃ〜』 水割りのグラスが重なり合う。

『会社という戦場でひたすら戦い続ける俺。この俺の心の隙間を埋めてくれるもの。それがナオミちゃん。君の瞳と笑顔だ。』

『もうジュンペイくんったら口が上手いんだから〜。』

『本当だってば。俺もようやく1人で仕事任されるようになってさ、嬉しいしやりがいあるんだけど、やっぱ責任も大きいし俺もまだまだ未熟で毎日大変なわけ。何のためにこんなに頑張ってんだろうとか悩みも多いしさ。どんだけナオミちゃんに癒されてるかわかってる?もうどんだけ〜。』

『そうなんだ〜。ありがとう。ジュンペイくんの真面目に頑張ってる姿とかも見てみたいな。』 

この別世界とも言える時間と空間が、お酒とともにいろいろなモノを忘れさせてくれる。

『ナオミちゃんはさ、何で毎日頑張れるの?』

『う〜ん。やっぱり私に逢いに来てくれる人がたくさんいるのも嬉しいし、私と話して楽しかったとか元気が出たとか、喜んでくれる顔を見れるのが一番かな。凄く励みになるよ。もちろんジュンペイくんの言葉もね。』

『そうだね。僕も上司の評価とか抜きに、お客さんや取引先の笑顔、仲間達の感謝の言葉、自分の中の達成感、いろいろ励みになることも多いな。もちろん一番励みになるのはナオミちゃんの笑顔だけど。』

『もうジュンペイくんったら、まともなこと言ってるようですぐからかうんだから〜。』 彼女の笑顔が僕を幸せする。

僕の幸せが笑顔をつくり、また誰かが幸せになる。

僕のした一つの仕事が また新らしい何かを生み出し 新しい何かを作り上げてゆく

僕のした一つの仕事が この世界を回り回って また誰かを幸せにして 誰かの笑顔を生み出している

そうして世界は回っている

ナオミちゃんの笑顔が僕を幸せにし 僕の仕事が誰かを幸せにしその誰かがまた新しい誰かを幸せにする

それはサラリーマンだって 政治家だって キャバクラ嬢だって ラーメン屋さんだって 主婦だって 誰かを幸せにして 誰かに幸せをもらっているのは 生きている限りみんな同じ

誰かを支え 誰かに支えられ 僕らはまた生きていく

こんな僕でも 誰かを幸せにすることが出来るんだね そう信じて 明日も頑張ろう。



〜拙い文章ですが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。僕の生き方、人生観、仕事観を、簡単なストーリーに乗せてまとめてみたものです。5年前の自分が考えていたこと、悩んでいたこと、振り返ることが出来ました。あれから、俺も成長しているのかな?少しはマシになってるだろう。そう信じで、明日も頑張ろうと思います。本当に、ありがとうございました。〜




kou_blue97 at 00:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年12月14日

サラリーマンの限界

最近、サラリーマンには限界があるなと感じています。

サラリーマンなら誰もが一度は考えますよね。

僕も初めてそんなことに気付いたわけではありません。

ただ、仕事柄いろんなタイプの経営者の方にお会いしたり、いろんな方のblogを読んだり、良い意味で多くの刺激を受けることが出来て、ふと再認識したわけです。

サラリーマンには限界があるな、と。



別に今の仕事や今の職場環境に不満があるわけではありません。

もちろんやりがいもあれば、自分にしか出来ないなと自負出来る仕事もあります。

でも、自分で完結する仕事って少ないんです。

自分では何も決められやしない。



逆に、経営者の立場では経験出来ないような大きな仕事が出来たり、大きな金額を動かせたりはしてます。

会社の看板があるから。

逆に言えば、自分の権限では鉛筆1本買えやしない。

そう考えると、なんか寂しいな。



まだ大学時代にアメフト部でディフェンスキャプテンやってた時の方が自分に権限があったし、自分で決められることが多かった。

ただ、責任は全部自分が背負ってた。



経営者の方々って、自分の裁量で何でも決められて、何でも出来て、自由なんだ。

ありふれた誤解ですよね。

何でも決められて自由なんだけど、何でも決めなければならないし、全て責任を取らなければならない。

サラリーマンが背負う会社の看板なんか比べものにならないくらい重いんだろうな。



自分で経営者を選んだ人

必然的に経営者になった人

自分の意思とは関係なく、経営者になった人。



いろんな経営者がいますよね。

いろんなサラリーマンもいます。



よく、会社の看板だけで付き合ってもらうんじゃなく、自分を評価して付き合ってもらえて一人前。

まだまだ道のりは遠いな。



クリスマスだって、プレゼントやサプライズで勝負するんじゃなくて、ちゃんと男としての評価で勝負したいよね。

僕的には、2人で手作り感のあるクリスマスが好きです。

まあ、人それぞれだけどね。



サラリーマンには限界があると認識した上で、いろいろやったろうじゃんか。

サラリーマンだって、出来ることはいっぱいあるから。


kou_blue97 at 19:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年02月10日

ノロか呪いか

2月9日

朝起きてトマトジュースを飲みシャワーを浴びる。

朝ご飯を食べてヤクルトを飲む。

お腹が下る。ヤバそうな感じ。

電車に乗る。お腹が不安。

なんとか我慢して到着した駅でトイレに駆け込む。

会社に着く。朝から出張に出かける。

途中の高速道路のPAでトイレに駆け込む。水しか出ない。さらに気持ちが悪くて吐く。

打ち合わせの事務所に着き、トイレに駆け込む。

打ち合わせ途中にもトイレで中座する。

打ち合わせが終わるとコンビニのトイレに駆け込む。

昼ご飯は食べずに胃腸薬飲んでちょっと車で休む。

午後から顧客周りは順調。

ドラッグストアで風邪薬とポカリを買い、風邪薬を飲む。

さらに顧客周り。

18時半に仕事終わり。

温かいうどんを食べて風邪薬と胃腸薬のんでホテルに到着。

だいぶ体は楽になりました。

午前中はダメかと思いました。
かけだし金融マン(mixi)でした。



kou_blue97 at 08:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2009年04月10日

サラリーマンになるということ(リメイク)

ちょうど1年ちょっと前に、こんな記事を書いていました。

あまり修正せずに、当時の想いのまま、また記事とします。

今は不景気で就職活動も厳しい時代だと思いますが、
何かを感じ取ってもらえれば幸せです。


こんにちはかけだし金融マンです。



僕がサラリーマンになることを本格的に決めたのは、
本格的に就職活動をしていた大学4年の時ですが、
僕がサラリーマンになるんだろうなと感じ始めたのは、
たぶん中学生くらいからだと思います。

僕は、一般的な団塊ジュニア世代と同じように、
明確な将来の夢や目標がない、
モラトリアム人間の一人でした。

ただ、モラトリアム人間と言えども、
自分探しにいたずらにさまようだけではなく、
何かに一生懸命であったり、
スキルアップに勤しんだりと、
素晴らしい人や尊敬する人もたくさんいました。

いい高校に入り、いい大学に行くということが、
本来は将来の夢や目標達成のための手段であるはずが、
それが単なる目的となってしまった若者が多いのが団塊ジュニアの世代の特徴の1つであり、
それは若者だけのせいではなく、時代や社会も大きな原因だったのではないかなと思います。

そんな僕も、大きな夢を抱くわけでもなく、
単なる目的となることに多少の疑問を感じながらも、
夢を抱くのは大学生になってからでも遅くはないとか、
しっかり人間的に成長する中で焦らず人生を考えるべきだとか、
大学に行くことにより将来の可能性もきっと広がるという思いのもと、
人並みに受験勉強という戦いを繰り広げてきたわけなのです。

大学生となり、自由という名のもと、僕の目の前には無数の選択肢が広がりました。

バイト、サークル、旅行、留学、
そこにはそれぞれの楽しみがあり、
それぞれの進むべき道がありました。

僕の場合は、アメフト部という道を選びました。

アメフト部という道を選ぶことにより、
かけがえのない大切なモノを得ることが出来、
また数多くの選択肢という道を、広がる可能性を犠牲にしました。

そして大学生活が残り1年となる頃、
僕は就職活動を始めました。
文系商学部を受験する段階で、サラリーマンになることは8割方決まっていました。

サラリーマンになるならどこの会社でも同じだと思う一方、
どうせ同じなら社会貢献性や社会的使命が強く、
子どもたちに誇れる会社にしたいと思いました。
ただし、受験と同じように、就職も目的ではなく手段なので、
どこの企業に入るかではなく、
そこで何をするのかが大切なんだと、
就職活動ではその会社で働く自分をイメージすることを重要視しました。

就職活動中はいろんな考え方の人がいました。
大学時代に資格を持っていたり、
ゼミで大きな功績を残していたり、
留学経験が豊富だったり、
語学力が秀でていたり、
凄い人もたくさんいました。

でも就職活動はその時点が全てではなく、
5年後、10年後にどれだけの人間になっているかで、
採用という縁が決まるものだと思います。
ポテンシャルが大切なのだと、今でも思います。

僕が今の会社に入る時に、言った言葉があります。

「すでに社会人としての芽が出ている人達もいます。
花が咲き始めている人達さえいます。
僕は資格もないし、大学の成績もたいしたことはない。
社会人としての芽はまだ出ていない。
でもアメフト部でディフェンスキャプテンとして過ごす中で、
人間的に大きく成長することが出来、
戦略的に考えることの大切さも実感した。
将来、より大きな芽を出し、より素晴らしい花を咲かせるため、
人間という豊かな土づくりを頑張ってきた自信はあります。」 と。

これから就職活動をする方々へ。

体育会系はもちろん、
バイトだってかけがえのない経験をした人もいるだろうし、
留学だって、一人旅だって、
ボランティアだって、資格だって、
それは何だっていいんです。

ただそれをどれだけ一生懸命やってきたか。
それをどんな思いでやってきたか。
それを伝えるだけで、
あなたがどんな人間が、
あなたがどれだけ成長したか、
あなたがどれだけポテンシャルを秘めているか、
必ず会社に伝わるはずです。

若いサラリーマンの方々へ。
サラリーマンだって同じです。
若いうち、下積み時代の苦労や経験、
そこに裏付けされる努力と想いがあれば、
必ず未来が開けるはず。

サラリーマンだって、
熱く、誇れる人生を送りたい。
時代に自分を刻みたい。





kou_blue97 at 22:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年05月16日

北風と太陽ァ淵ャバクラ『イソップ』物語)

北風と太陽のお話。



夜が訪れる度に

物語が始まり

歴史が創られ

伝説が生まれる。


かけだし金融マン(mixiはこちら)がお届けする新連載シリーズ。

【北風と太陽】

〜キャバクラ『イソップ』物語〜





北風と太陽の話



『指名入りました〜』

小さい響きのヨースケの声とは対象的に

女性陣の心は大きく響く。



それほど大切な指名。

それを増やすのが使命。



ナオミの指名客は若いサラリーマンからご年輩の方まで幅広い。



『ジュンペイくんお疲れ〜』

『うぃ〜』

水割りのグラスが重なり合う。



『会社という戦場でひたすら戦い続ける俺。

この俺の心の隙間を埋めてくれるもの。

それがナオミちゃん。

君の瞳と笑顔だ。』


『もうジュンペイくんったら口が上手いんだから〜。』



幅広い客層の全ての人々に笑顔を与え

幸せな時間を提供するナオミ。

それが彼女の持ち味。






レイコの指名客は年齢層が高い。

そして社会的地位も。



『菊池副部長お疲れ様です。

人事部での新しい仕事は大変ですか?』



『まあまあかな。人事部とは腐れ縁だよ。

レイコのように品格があるだけではなく

気配りもうまい人材が欲しいくらいだ。』



『いつもお上手ですね。』



高級感を求める全ての人々の期待に応え

一流のサービスを提供するレイコ。

それが彼女の持ち味。




それぞれの能力が高い2人が

それぞれのやり方と

それぞれの生き方で

売上とお客の幸せを増やしてゆく。





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kou_blue97 at 00:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)
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