后箆∈椒轡蝓璽困發痢

2016年04月21日

タブーの花が咲いてしまった(第8話)

<第8話>


遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」

咲良「えっ、そうなんだ・・・。仲いいんだね。羨ましいな。」

咲良の本音が出た。

遥「私も、学生時代から先輩とつき合ってた咲良さんのこと、ずっと羨ましかったですよ。」

遥も本音で応える。

咲良「そっか・・・。なんか、不思議だね。」

空になったグラスを見て、お酒を追加で注文する。



遥「咲良さんは、なんでkou先輩と別れたんですか?」

咲良「いろいろあったんだけど、kouの優しさが、頼りなさに感じちゃったの。そんな時に、年上でとても頼りがいのある人に出会って・・・。結局はkouと別れて、その人と結婚してしまったの。」

咲良は覚悟を決めて、全てさらけ出す。

咲良「結局、その人の頼りがいって、うわべだけだったんだけどね。だから、離婚しちゃったの。今思えば、kouの優しさこそが真の強さだったんだけどね。若いから、私には気付くことが出来なかったの。」

遥「そうなんですね・・・。すいません。でも、もう1つだけ聞かせてください。kou先輩と別れて、後悔してますか?」

咲良「後悔してないって言ったら嘘になるけど、後悔してるとも言いたくない。だって、私が選んだ道だからね。私は、この道で幸せをつかまなければいけないんだから。後ろを振り向いても何も生まれないから。」

遥「咲良さん、強いですね。私は、kou先輩のことが好きです。先輩とは男と女の仲になってます。先輩は、結婚してるけど・・・。でも、私は前だけを向いて生きられるほど強くない・・・。」

遥の目が潤んできた。



遥「本当は、今日咲良さんに会って、『絶対に負けたくない!』って強く思いました。kou先輩と仲良くしてることを自慢しようって、だから咲良さんを誘ったんです。ひどい女なんです、私。」

咲良「kouにとっては、私なんかただの昔の女だから、もう関係ないよ。私も強くなんかない。このあいだ鹿児島でkouに会った時、昔に戻っていろいろと甘えちゃったし・・・。それじゃダメだなって思ってる。後悔もしたくないし、過去にもすがりたくない。だから前を向いて生きようって決めてるの。」

少しの沈黙の後、咲良がさらに続ける。

咲良「でもね、もう愛し合うことは出来なくても、それでもね、いつまでもkouの特別な存在でいたいって、今でも思ってる。だから、私もそんなに強くなんかないよ。」

咲良の目も潤んできた。



遥「咲良さんも、特別だって思ってるんですね。私も自分が特別だって思ってます。そして、信じてる。」

咲良「私にとっても、遥ちゃんにとっても、そして奥さんにとっても、彼は特別な存在なんだね。きっと。」

二人は少し沈黙し、店のBGMか聞こえてくる。

流れてくる曲は「Love You Only」



遥「この曲、懐かしい。kou先輩がよく歌ってくれました。」

咲良「私もだよ・・・」



咲良「kouってさ、優しくてとってもいいやつなんだけど、本当はとても悪いやつなのかもしれないね。」

遥「そういえば、同期達もkou先輩は優しいけど、裏の顔がありそうだってみんな言ってました・・・」

咲良「なんであんな男に執着してるんだろうね、わたしたち。」

遥「ホントそうですよね。そんなにカッコイイわけじゃないのに!」

咲良「やっぱりさ、あいつより絶対に幸せにならないとね。」

遥「そうですね。絶対に負けないんだからっ。」

咲良「よし、大人の女子2人でカラオケでも行こうか!」

遥「マイク、離しませんよ!」



ワインを飲みながら、カラオケで盛り上がる2人。



咲良「遥ちゃん、今度kouから連絡来たらどうするの?」

遥「それはもちろん、逢いません!」

咲良「どうしても逢いたいって言われたら?お前だけが特別だって言われたら?」

遥「逢っちゃうかも・・・」

咲良「それじゃダメだよー。幸せに向かわないと。」

遥「咲良さんはどうやって断るんですか?」

咲良「私ならね・・・抱いてもらう。」

遥「全然ダメじゃないですかー」

咲良「難しく考えたってしょうがないの。男と女なんて何が起こるかわからないんだから。彼に身を任せる時も私には必要なのよ。」

遥「そんなのズルいですよー。じゃあ私だって、先輩の特別になるんだから。咲良さんには、絶対に負けないですよ!」

咲良「私たちは、永遠のライバルってことね。」

遥「ウフフっ。」









<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第6話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第7話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第7話)



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2016年04月20日

タブーの花が咲いてしまった(第7話)

<第7話>


遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥「この間、東京でkou先輩と飲む機会があって、全部聞きましたよ。運命的な出会いだって言ってました。ウフフっ」

咲良「そうそう、仕事で鹿児島に行ったら偶然kouと同じ新幹線になって、ホント偶然にしても驚いたよ。運命的な出会いだって言ってたの?そんなわけないじゃん。本当?」

遥「kou先輩、酔っ払ってたけど、忘れられない最高の夜になったって言ってましたよ!」



(咲良の心境)

えっ、遥ちゃんどこまで知ってるの?もしかして全部知ってる?
彼は家庭もあるし、そもそもそんなに言いふらしたりする男じゃない。
でも、かなり酔っ払ってたって言ってたから、もしかして暴露しちゃったのかなぁ。
それにしても、遥ちゃんがkouと飲みに行く関係になったのかどうかが気になる。
私の前では彼はそんなに酔ったりしないし、遥ちゃんは私より心を許せる存在なの?
そんなわけない。
彼にとって特別な存在なのは私だけのはず。そう信じていたい。
あの夜だってそうだった。私だけが特別だったから、彼が抱いてくれたの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけだよね?
ねえ、kou?信じていいんだよね?



(遙の心境)

彼は咲良さんに会ったとしか言ってくれなかったけど、咲良さんの動揺がすごい。
やっぱりあの夜、彼と何かあったんだ、絶対・・・。悲しいよ。
たしかに咲良さんは特別な存在なのかもしれないけど、じゃあ私は何なのさ。
私だって、彼にとって必要な存在だし、軽い気持ちじゃなくてちゃんと愛されてるはず。
毎年必ず一緒の時間を過ごしているし、彼だっていつも私といるときはとても幸せな顔をしている。
だから、彼にとって本当に必要なのは私だけのはず。そう信じたい。
咲良さんだけには、負けたくない。
私だけが特別だから、彼が抱いてくれてるの。
彼はたしかに誰にでも優しいけど、特別なのは私だけですよね?
ねえ、先輩?信じていいんだよね?



咲良「もう遥ちゃんったら、kouとは10年以上も前に終わったんだから、知ってるでしょ?kouはもう結婚して2児のパパなんだよ。何もあるわけないじゃない。この間だって、鹿児島で芋焼酎を飲みながら鹿児島の美味しいものを食べてただけだよ。」

遥「そうなんですね。冗談ですよ。咲良さんに会ったって聞いただけですから。でも咲良さんの動揺、とても可愛かったです。相変わらず純情ですね。でもあの動揺、本当は何かあったのかなってちょっと勘ぐっちゃいました!」

咲良「もう〜、おばさんをからかわないの。意外に私、真面目なんだから。」

遥「ウフフ。でも私は、kou先輩によく飲みに誘われますよ。今でも。」



遥は気持ちよく酔いが進むのに対し、咲良は酔いは覚めていくばかり・・・。




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咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

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タブーの花が咲いてしまった(第5話)

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タブーの花が咲いてしまった(第6話)



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2016年04月19日

タブーの花が咲いてしまった(第6話)

<第6話>


「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

「やっぱり咲良さんだ。似てる人かなって思ったんですけど、声かけて良かったです。ホントお久しぶりです。」

「遥ちゃん。本当に久しぶりだね。もう10年ぶりくらい・・・」

「咲良さん、時間ありますか?久しぶりだから、ゆっくり話したいです。」

「私は、大丈夫だよ。ちょうど友達とお茶して帰るところだったから。」



咲良と遥は、大学時代に同じ部活に所属していた。

俺と咲良は大学3年の時からつきあい始め、俺と咲良が4年になった時、遥は新入生として入部してきた。

割とガチな体育会系で、咲良は主務としてマネージャのリーダーを務めていた。

遥にとって、咲良はすっと憧れていて尊敬している先輩だった。



咲良も遥も、それぞれ別の友達とお茶を飲んできた帰り。

二人とも時間があるとのことであり、このまま街をブラブラ歩いてから、軽くご飯を食べに行くこととした。

遥「咲良さんは、今は東京ですか?」

咲良「私は、ずっと東京に住んでたけど、今は会社の転勤で大阪に住んで3年になるよ。遥ちゃんは、札幌?」

遥「私は埼玉に住んでるんですけど、そろそろ札幌に戻ってこようかなって考えたりしてるところです。」

咲良「そうなんだ。遙ちゃん、結婚は?」

遥「私はまだなんですよ。なかなかいい人が現れなくて。」

咲良「そっか。でも、私みたいに結婚で失敗するより、いい人が現れてからの方がいいかもね。」



ひととおり駅前を歩き、程よく歩き疲れた二人は、オシャレな居酒屋に場所を移した。

札幌ビール(クラシック)で乾杯する二人。

遥「せっかく年末年始に帰省したのに、友達はみんな結婚しちゃってて昼間にちょっとしか会えないし、家にいても結婚のプレッシャーが強いし、今日は咲良さんと飲めて嬉しいです!」

咲良「私もよ。友達はみんな家庭を築いちゃったから、なかなか逢えないからね。いっそのこと、仕事入れようかと思ったくらいだから。」



久しぶりの再会でも、盛り上がる女子トーク。

同じ場所で同じ時間を過ごした2人だから、分かり合える関係。



遥「さっきパセオで、咲良さんかなっ、人違いかなって思ったけど、やっぱり憧れの咲良さんだからすぐにわかりましたよ。」

咲良「ホント?嬉しい。遙ちゃんに出会ったときはまだ大学1年生で可愛かったけど、今はとっても素敵な大人になってるって思ったよ。」

遥「ありがとうございます。」



遥「そういえば咲良さん、この間鹿児島でkou先輩に会ったんですよね?kou先輩から聞きましたよ!」

咲良「えっ?kouから聞いたの?」

遥の顔はほろ酔いで笑顔のままだが、咲良の顔は動揺の色を隠せない焦りの真顔となっていた。




<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

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咲良がさくとき(岡山編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

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春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)

<第5話はこちら>
タブーの花が咲いてしまった(第5話)



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2016年04月18日

タブーの花が咲いてしまった(第5話)

<第1話はこちら>
咲良がさくとき(鹿児島編)

<第2話はこちら>
咲良がさくとき(岡山編)

<第3話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)

<第4話はこちら>
春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)



<第5話>


「北海道新幹線、ホントに実現するのかなぁ」

咲良は思わずつぶやいた。

札幌駅には北海道新幹線の広告が大きく掲げられている。

「札幌駅もドンドン新しくなっていくね」

年末年始で帰省中の咲良は、友達とのランチとカフェでの語り合いを終え、札幌駅に着いたところだ。

「まだ時間があるから、少しブラブラしようかな」

そう独りつぶやき、パセオに向かって歩き出す。



咲良が札幌を離れて、既に15年。

当時は大丸もステラプレイスもJRタワーもなかった。

あったのはパセオ。

パセオの水の広場で、咲良はよく彼と待ち合わせをしてた。

彼のことは忘れなければならない。

でも、札幌には彼との思い出があふれ過ぎている。

今年は、鹿児島での彼との運命的な再会があり、また彼の優しさに触れてしまった。



「懐かしいな」

咲良は自然にパセオの水の広場に向かって歩いていた。

しかし、もう水の広場はなくなっている。

「彼との思い出も、消していかなければならないんだよね。」

若い大学生くらいのカップルが待ち合わせをしているのを見て、少し胸が切なくなる。

ちょうど昔の水の広場のあたりにたどり着いた時、咲良は急に話しかけられた。



「咲良さん!」

咲良が声の方を向くと、笑顔の遥が近づいて来た。

「遥ちゃん!」

彼を取り巻くタブーの二人が、久しぶりに顔を合わせてしまった。












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2016年04月09日

春が来るのはまだ遙か・・・(第4話)浅草編

翌朝、目覚めると隣には遙の寝顔。

いつもは優しくて可愛いくて、優等生キャラの遙。

でも昨日は想いの内をぶちまけていた。

遥もいろいろ悩んでるんだろうな。

咲良と比べるなんて・・・意外だけど、愛おしく感じる。




今日、土曜は仕事の関係もあり浅草へ。

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浅草寺の雷門や仲見世のお土産等を見てはしゃぐ姿は、またいつも通りの遙だ。

本当に健気で無邪気。

遙には、幸せになってもらいたいし、春が訪れて欲しい。

遙か先ではなくて、すぐ近い将来に。



仕事の所用も終え、浅草の下町を散策。

遙「すごいねぇ〜、いろんなお店があって面白い。そして、昼間からお酒飲んでる人がいっぱい!」

俺「面白いなぁ、さすが下町!」

遙「ちょっと楽しそうですね。飲んじゃいませんか?」

俺「いいけど、おしゃれな感じじゃなくていいの?」

遙「もうそんな年じゃありませんよ。昭和の女ですから。さあ、入りましょう!」



店に入り、おススメのハイボールを片手に、モツ煮を味わう。

俺「なんか、こんな天気の良い昼間からお酒を飲むなんて、美味しいけどバチ当たりな気分だな。」

遙「ホント。お酒だけじゃなくて、いろんな意味で罪悪感があってドキドキですよね。」

俺「もう・・・酔っ払っちゃえ。」

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遙「先輩と咲良さんって、絶対結婚するだろうと思ってたくらい仲良しだったのに、別れたって聞いたとき凄い驚きました。なんで別れたんですか?」

紅く染まった顔の遥がいろいろと聞いてくる。

俺「若かったからな。お互い。いろいろあったんだよ。もういいじゃん。それより、遥は結婚しようと思ったことはないの?」

遙「私は、つき合った人とは結婚を考えたことはあるけど・・・。この人かな?って思っても、この人じゃないなって思っちゃって。運命の人に出会えてるんだか、まだ出会えてないんだか、もうわかんないや。」

俺「たぶん、これから出会えるんだよ。だから、大丈夫!」

遙「こっちにいた方が出会えるのかな、それとも札幌に帰った方が出会えるのか、教えて欲しい。」

俺「神様に聞いてみるしかないね。」

遙「神様、私の運命の人はどこにいますか?もしかしたら、今わたしの目の前にいますか?」

俺「俺なんかよりもっと素敵な男が現れるはず!」

遙「そうだといいな・・・。」



店を出て駅に向かう。



俺「途中の駅まで送るよ。大丈夫か?」

遙「大丈夫、羽田空港までついて行くから。」

俺「昨日から疲れてるだろ?無理するなよ。」

遙「ダメ。人の多いところでも、ラブラブしちゃうの。」

俺「今日もだいぶ飲んだな〜。」

遥「先輩の思い通りにばかりはさせないですから。絶対に都合の良い女になんてならないんだから。」



羽田空港についても、身体を密着させて、手をつないでくる。

誰かに見つからないことを祈るばかり。

酔っ払った遥は、もう手をつけられない。



俺「じゃあ、行くよ。元気でな。」

遙「ちゃんと娘さんにクッキー買った?息子くんは、奥さんにも忘れちゃダメだぞ!」

俺「忘れてないよ。こんな時に家族のことを思い出させなくていいから。」

遙「先輩だけ幸せなんてズルいな。これからも、先輩の思い通りにばっかりなんてさせないから。覚悟してくださいね。」

俺「覚悟しとくよ、ずっと(笑)。」

遙「ウフフっ。大好き。」



遙に、早く春が訪れますように・・・心の底からそう思い始めてきた。

でも、春が来るのはまだ遙か先の予感・・・











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2016年04月08日

春が来るのはまだ遙か・・・(第3話)池袋編

久しぶりの東京出張が決まった。本社での仕事。

俺は遥(はるか)にメールを送る。

俺「来月の23日金曜に東京出張になったよ。遥は金曜の夜と土曜日は空けられる?大丈夫ならダブルの部屋を抑えとくから。池袋でいい?」

その日の夜、遥からメールが返ってきた。

遥「23日の夜も24日も大丈夫です。場所もおまかせします。ずっと会いたかったです。やっと逢えますね!」



出張当日、朝の飛行機で東京に向かう。

娘には「パパ、お土産はクッキーでお願い。忘れないでよー。」と言われた。

せっかくの本社なので、同期の仲間とランチ。みんなの近況を聞いて刺激を受け、午後の仕事を無事に終える。



遥との待ち合わせは19時。早目に着いた俺は、先にチェックインしようかと思ったが、遥を待つこととし、池袋駅前のカフェでコーヒーを飲む。ブラックの苦味が、大人の味であり、人生の深みを彷彿とさせる。

到着したというメールを確認して、店を出る。

遥が俺に気がつき、笑顔で近づいてくる。

遥「お待たせしました♪」

彼女の笑顔の純粋さに少し心が痛む。

俺「やっと逢えたね。」

2人でホテルにチェックインし、近くのスペインバルに入ることにした。



俺「元気だった?頑張ってる?」

遥「元気といえば元気ですし、頑張ってます。そして、ずっと逢いたかったです。」

スペインのスパークリングワインで乾杯する。

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遙「札幌には結構帰ってますか?」

俺「子供達もいるし、なかなか帰れないよ。年に1回、正月くらいかな。」

遙「そうなんですね。私は札幌を離れて10年、そろそろ帰ろうかなって思ってます。」




遙は大学時代のサークルの後輩。当時はただの後輩だった。

今からちょうど10年前。俺が会社に入ってまだ4年目、最初の配属先である埼玉に住んでいた頃、俺は遙と再会した。もちろん別々の会社だが、同じ部活の後輩の結婚式で再会し、意外と近くに住んでいることがわかり、意気投合した。

そして、何回か仕事帰りに飲みに行くようになった。

クリスマスが近づく12月。まだ新人だった彼女は、仕事で大きな失敗をし、会社を辞めて北海道に帰ろうかというくらい落ち込んでいた。

そんなことは知らず、年末に向けた多忙期でストレスが溜まっていた俺は、仕事以外の癒される飲み会を求めて、彼女を飲みに誘った。

遙「先輩、私・・・」

俺と遥は、男と女の関係になった。俺が結婚してからも、そして転勤してからも、少なくとも年に一度は逢瀬を続けていた。





俺「俺たちが埼玉で再会した時も、そんな話だったよね。もう10年か・・・」

遙「でも、大学生の時に先輩が酔っ払って、私に壁ドンしたんですよ。壁ドン!覚えてますか?」

俺「そういえば、なんとなく覚えてるよ。当時は壁ドンなんて言葉なかったけどな。」

遙「あの頃は、先輩は咲良さんと付き合ってて、お似合いのカップルでしたよね。」

俺「咲良といえば、こないだ鹿児島出張の時に偶然会ったよ。」

遙「えっ、そうなんですか。運命の再会なんて、ドラマが生まれませんでしたか?」

俺「もう昔のことなんだから、そんなことあるわけないじゃん。」

遙「怪しいなあ〜。でも咲良さんがいながら、私に壁ドンなんかしちゃって、先輩は昔から悪い男ですね。」

俺「俺はさ、自分に正直に生きてるだけだよ。」

遙「今思えば、あの時から先輩の存在が大きかったんです。あの頃も、そして今までずっと・・・。」



情熱の国スペインのお酒が進み、雰囲気に酔いしれる。

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遙「新しい恋に踏み出さなきゃ、いつまでたっても春が訪れないってわかってる。頑張って恋をしようって思ってるんです。」

俺「そうだよね・・・」

遙「それなりに言い寄ってくれる人はいるけど、先輩よりも素敵な人がなかなか見つからないんです。もう、ホント責任とってくださいよ!」








気持ちよく店を出た2人は、ホテルの部屋に戻った。



俺「飲み過ぎてないか?大丈夫か?」

遙「大丈夫〜。それより、私、可愛い?」

俺「可愛い可愛い。飲み過ぎたみたいだね。水でも飲んで。」

遥「ねえ、ちゃんと答えて。ホントに可愛い?咲良さんより?」

俺「・・・可愛いよ。」

遥「遥の春は、貴方しかいないんだから。貴方だけなの。ねえ、わかってる?」



俺は何も言えず、遥を強く抱きしめるしか出来なかった。








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2016年04月01日

咲良がさくとき(番外編2)

鹿児島出張も岡山に立ち寄ったので、大阪のマンションに帰ったのは夜中。

興奮冷めやらず、なかなか寝付けなかった。

彼の優しさにすがっちゃった。

彼には大切な家庭があるんだから、甘えちゃダメって何度も自問したのに。

でも、誘惑に負けちゃった。

自分の弱さが身に染みる。



会社ではもう三十代後半で中堅になった。

旦那と別れてからは、女だからって気持ちで負けたくないので、いつも強がってきた。

キャリアウーマンとは聞こえはいいけど、華やかなようであって必死でもがきながら頑張ってる。

そんなバリバリ働く自分に酔いしれるときもあるけど、自分で選んだ道とは言え、やっぱり寂しい。

だから、私とちゃんと向き合ってくれる彼に甘えちゃうのかな。

反省。



でも、やっぱり思うの。

幸せって何なのかなって。

結婚や恋が女の全てじゃないってわかってるんだけど。

でも、心にポッカリ空いたままの穴は、誰かに、何かに埋めて欲しいのよ。



いつかいい人が見つかるよってみんなが軽いノリで言うけど。

私にとっては結構深刻なんだよ。

満たされない中でも、仕事は頑張り続けなければならないの。

充実しているような、でもやっぱり満たされないような、そんな毎日。



わかってる。

未来に向かって前向きに生きていかなければならないの。

でも、過去にすがってしまう。

彼と一緒にいるときは、やっぱり本音で甘えられるし幸せ。

早く彼のことは忘れないといけないのよね。



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過去の思い出だけではなくて、私は今でもきれいな花は咲いている。

まだまだ女盛りだもん。

公園の桜も、もうすぐ満開。

でも、今日は雨上がり。

雨上がりの桜は、雨の重みで花は下を向いている。

まるで私みたい。



この桜も、晴れてお日様が出てくれば、水滴も渇いて、上に向かって大きく花開く。

たぶん、昼過ぎにはきれいな桜が見頃になるはず。

私も、上に向かって、未来に向かって、堂々と大きく良い花を咲かせたい。

それがいつになるのかはわからないんだけど。

いつか堂々と花を咲かせられるように、今を頑張るしかないよね。




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未来をつくるのは、過去じゃなくて、今なんだから。

彼よりも、幸せになるって決めたんだから。









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2016年03月26日

咲良がさくとき(番外編1)徳島編

咲良と別れ、岡山から瀬戸大橋を渡って徳島に帰る。

鹿児島のお土産は「かるかん」。

家族に対する罪の意識から岡山でも「きびだんご」を買ってきた。

子供たちが喜ぶだろう。



咲良からのLINE。

「幸せな思い出をありがとう。もう、貴方には甘えないから。前を向いて歩いていきます。貴方も幸せに。」

返事は返さない。



咲良に会えたのは偶然であり、まさに奇跡。

咲良に会えて良かったのか?

それとも会えない方が良かったのか?

咲良が悪いんじゃない。

むしろ、悪いのは、俺だ。

結果として、彼女の弱さにつけこんだだけ。

彼女を幸せにすることなんて出来やしないのに。

運命のいたずらにしては、幸せも罪の意識も大きすぎる。



徳島に近づくにつれて、膨らんでいく罪悪感。

もう二度と咲良には会わない。

そして、二度と連絡も取らない。

愛しているのは妻だけだし、幸せにしてやれるのも妻だけだ。

そう覚悟を決めて、徳島駅に降り立った。



もう日付が変わろうとしている深夜。

家の鍵を開ける。

リビングに明かりがついている。

妻が起きている。

妻「出張お疲れさま。大変だったね。」

俺「ただいま。これ、お土産。」

コートを脱いで、着替える。

俺「なんかあった?子供たちは変わりなし?」

妻「大丈夫、いつも通りだよ。お風呂は入る?」

俺「うん、入るよ。」



風呂から上がり、妻をハグする。

俺「愛してるよ。」

妻「どうしたの?なんか悪いことでもしてきたの?」

俺「するわけないだろ。」

妻「たった一度の過ちだって、私は絶対に許さないんだから。」

俺「わかってる。俺を信じろ。」

妻「もう二度と会わないって覚悟決めたって、それで終わりに出来るなんて大間違い。」

俺「ああ、わかってるよ。」

妻「悪いことしたら、子供達に二度と会えなくなるんだから、忘れないでね。」



俺はこれから一生、重い十字架を背負っていかなければならないんだな。

(完)







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2016年03月25日

咲良がさくとき(第2話)岡山編

<第2話>

翌朝、目覚めると隣には咲良の寝顔。

あの頃に比べるとお互い歳を取ったなと感じる。

微笑ましい。

スマホを見ると妻からのLINE。

「おはよう。鹿児島はどう?出張頑張ってね。子供達もお土産楽しみにしてるよ〜」

現実が待ち受ける。

咲良の寝顔をもう一度見る。

可愛い寝顔。

咲良は天使なのか、それとも悪魔なのか。



咲良「おはよう。起きてたの?早いね。」

俺「さっき起きたところだよ。」

咲良「もうわがまま言わないから。ゴメンね。でも、ありがとう。」

俺は何も言わずに彼女を抱きしめ、口づけを交わす。

動き出した時計の針は、もう止まらない。



帰りの新幹線の約束をして、俺は彼女のホテルを出た。

自分のホテルに戻り、シャワーを浴びて着替える。

妻にLINE。

「鹿児島の夜は芋焼酎が美味しかったよ。今日、帰るけど遅くなるから先に寝ててね。お土産、任せとけ。」



鹿児島での仕事を終え、鹿児島中央駅に15時に待ち合わせ。

2人、咲良と新幹線に乗る。

咲良「昔は、2人で旅行したこと思い出すね。懐かしいな。」

俺「そうだけど、過去にすがらないで、未来に向かっていけよ。」

咲良「わかってるよ。でも、貴方よりも幸せにしてくれる人に出会うのって、難しいんだよ。」

俺「新幹線さくらって、良い響きだな・・・。」



鹿児島から岡山まで、3時間ちょっと。

いろいろな話で、あっという間に時間が過ぎ去る。

名残惜しい。

俺「俺は、岡山で乗り換えだから・・・。元気でな!」

咲良「私も一緒に降りる!」



咲良も新幹線を降りた。

途中下車して、岡山駅前でご飯を食べてから帰ることに。

俺「長旅で疲れてるだろ?1杯だけだぞ。」

咲良「大丈夫。もう次はいつ会えるかわからないんだから。ほんとは今日は帰さない!って言いたいところだけど、我慢するからさ。もう少し、一緒にいて。」

瀬戸内海のママカリとタコを味わいながら、最後の時間を過ごす。



俺「そろそろ終電だよ。さて、帰るぞ。」

咲良「・・・うん。」

岡山駅の改札を入る。


咲良「おやすみのチューしてくれないと、帰らない。」

俺「人前だぞ。恥ずかしいだろ。」

咲良「してくれないと、帰らないから。」


天使でもあり、悪魔でもある。

柱の陰に隠れて、軽く口づけを交わす。


咲良「そんなんじゃ、全然足りないよ。」

俺「もう・・・わがまま女。」


熱く、長い口づけを交わす。


咲良「ありがとう。私、頑張って幸せになるから。」

俺「ああ、幸せになれよ。」


咲良の目から、一筋の涙がこぼれる。


いつか本当の幸せを手にして、咲良がさきますように。

そう祈って、もう一度最後の口づけを交わした。



口の中に広がる、咲良とのたくさんの思い出と記憶。

そして切なさ。

頬を伝って流れてきた涙が、少ししょっぱく感じた。



咲良がさきますように。






<岡山のママカリ>

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2016年03月24日

咲良がさくとき(第1話)鹿児島編

<第1話>

仕事で鹿児島に行くことになった。

人生初の、九州上陸。

新幹線「さくら」に乗っての長旅。



新幹線で時間を持て余した俺は、咲良にLINEを送る。

俺「今、新幹線さくらに乗って、鹿児島に向かってるよ。人生初の九州。」

咲良「えっ、私も新幹線で鹿児島に向かってるところ。今、博多を過ぎたあたり。」

俺「ホント、同じ新幹線じゃん。ミラクル!」



偶然にも咲良と鹿児島で再会なんて、運命を感じる。

夕方遅くに鹿児島に到着。

俺「何食べたい?」

咲良「行きたいところがあるんだけど、一人じゃ怖くてどうしようかと思ってたの。いい?」

二人が向かったのは「かごっま屋台村」。

鹿児島の旬の食材と郷土料理を味わえる小さな屋台が並ぶ。

俺と咲良はカウンターに並び座る。

俺「何飲む?」

咲良「貴方と同じのがいい。」

俺「鹿児島に来たんだから、俺は芋焼酎飲まないとね。寒いからお湯割りで。一緒で大丈夫?」

咲良「ちょっと酔いそうだけど、せっかくだから私もいただく。貴方がいるから酔っても大丈夫だもんね。」

芋焼酎で乾杯。

きびなご、黒豚なんこつ煮、さつま揚げを堪能。

咲良の顔が紅く染まる。



咲良「いつもFacebookで見てるけど、あたたかい家庭を築いて幸せそうね。」

俺「まあね、幸せだよ。咲良は?」

咲良「ほんとはもっと幸せになるはずだったんだけどね・・・」

俺「でも、今でも咲良は輝いてる。いい女だよ。」

咲良「私も、貴方と結婚すれば私も幸せになれたのかな。」

俺「そうかもしれないけどさ。俺よりも、元旦那が良くて選んだんだろ(笑)。」

咲良「そうだけどさ・・・あの頃に戻りたいって思う時もあるよ。」

芋焼酎が身体に染み入り、夜も更けていく。

俺「ちょっと歩こうか?」



夜風に当たりながら、甲突川沿いを歩く2人。

自然と手をつないで、寄り添い合う。

俺「歴史、時間の流れを感じさせる町並みだね。昼間に歩けば楽しめそう。」

咲良「でも、貴方はもう結婚してしまったから、昼間に堂々と手をつないで歩くことなんて出来ない。時間の流れを感じてしまうわ。」

俺「いろんな経験があったから、今咲良は輝いてるんだよ。これから素敵な人との出会い、そして幸せが待ってるはず。」

咲良「そうだといいな。でも、今日だけは未来じゃなくて、幸せだった過去にすがりたい・・・」

俺「咲良らしくもないな。ちょっと飲み過ぎたか?」

鹿児島も、まだ3月は夜風が冷たい。



俺「せっかく芋焼酎で暖まったのに、身体が冷えちゃったね。コーヒーでも飲んで帰ろうか?それとも鹿児島ラーメンでも食うか?」

咲良「身体よりも、心の方が冷えちゃった。今日だけはあの頃に戻りたい。独りにしないで。貴方の優しさで、私のさくらを咲かせて欲しいの。」



止まったはずの時計の針が、15年ぶりに動き出した。






<新幹線さくら>

59e52fe0.jpg



<かごっま屋台村>

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0afd0098.jpg


きびなご、黒豚なんこつ煮とか・・・写メ撮り忘れた(涙)


<鹿児島ラーメン>

57a3572c.jpg




<第1話はこちら>
 咲良がさくとき(鹿児島編)
<第2話はこちら>
 咲良がさくとき(岡山編)
<第3話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(池袋編)
<第4話はこちら>
 春が来るのはまだ遙か・・・(浅草編)
<第5話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第5話)
<第6話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第6話)
<第7話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第7話)
<第8話はこちら>
 タブーの花が咲いてしまった(第8話)
<第9話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第9話)
<第10話はこちら>
 阿波で心も浮いてきた(第10話)
<第11話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第11話)
<第12話はこちら>
 ワインの花がまだ開かなくても(第12話)
<第13話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第13話)
<第14話はこちら>
 幸せは涙の中に咲いていく花(第14話)

kou_blue97 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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kou_blue97

〇札幌生まれ札幌育ち。現在は東京在住(←徳島←千葉…)。転勤族のサラリーマン。ミスチル世代の団塊ジュニア。
〇好きなモノ
 アメフト観戦、ミスチル鑑賞、blog執筆、子供とおでかけ、HKT宮脇咲良を応援、転勤で知らない土地を満喫、現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる、小さな幸せのかけらを積み重ねる。

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