2015年09月10日

もしアメフトの魅力を・・・物語を書くとしたら (第1章)

もしアメフトの魅力を知ってもらうための物語を書くとしたら

第1章 アメフトとの出会い

<第1話>

 3月上旬。北海道では、桜どころか街中はまだ雪景色で肌寒い季節。春の気配はまだ遠く冷たい風が吹く中、僕の身体は、3回、4回と胴上げされて宙を舞った。人生て初めて体験する胴上げ。
大学の合格発表を見に来た僕は、いきなりアメフトの防具を身に付けた男たちに担ぎあげられた。
「合格、おめでとう。」
志望大学に合格した僕は、合格の嬉しさと胴上げされた高揚感により興奮したまま、その鮮やかな青のユニフォーム姿の男達に連れられた。
 アメフトというスポーツ。僕の人生には全く関係のないものだった。男達は、大学生活の過ごし方について、部活やサークルについて、アメフト部について、語ってくれた。いろいろ勉強になることも多かった。うちの大学は地方の小さな大学なのでサークルが少なく活発でないことを知った。帰り道、僕がアメフトをやっている姿を想像しようと試みたが、身体の大きな男達につぶされる姿しか想像できなかった。
 
 それから1ヶ月後、僕はアメフト部に入部した。

 僕の名前は、宮脇拓哉(みやわきたくや)。大学生になって、まさかアメフト部に入るなんて思ってもみなかった。親も、高校時代の友達も驚いている。だって、僕は特別運動神経が良いわけではなく、身長や体重も人並みだ。小学校の頃はスイミングや少年野球、中学ではバスケ部に入っていたものの、高校では特にスポーツはやらなかった。
 高校生活は、部活をやっている仲間と比べ、自分のペースで勉強したり、自分のペースで好きなことをしたりと自由度は高く、そのおかげで大学受験を乗り切ることが出来たのかもしれないが、充実感としてはやや物足りなかった。だから、大学生活では勉強以外にも、また何か一生懸命打ち込めるものに挑戦したいという思いが強く芽生えていた。
 だが、何をやるかと考えると、経験している水泳、野球、バスケなどは、今から大学で始めても高校までの経験者には敵わない現実に気付く。選択肢は必然的に絞られる。
 合格発表の後、多くの部活やサークルからの勧誘が続いた。アメフト部の先輩達は、良く見ると身体の大きな人もいれば、そうでない人も結構いることに気付いた。そこで、初めてアメフト部が僕の選択肢に加わった。主将の高橋湊斗(たかはしみなと)さんを初めとして、優しそうな先輩が多かった。

 最終的に、僕がアメフト部に決めたのは、部の雰囲気も大きいが、殺し文句は「関東関西と違い、地方のアメフト部は、全員が初心者からのスタート。努力した分だけ、結果につながる。」という言葉だった。



<第2話>

 4月に入学式を終え、4月下旬のゴールデンウィーク。山の雪解けも進み、桜の花が今まさに花開こうという季節。大学生活とは、花見をして、ジンギスカンを食べて、友達と車でドライブしたりして過ごすもの。僕は、ずっとそう思っていた。
 しかし、僕達のゴールデンウィークは、グラウンドで走り、体育館でトレーニングをし、朝から夜までアメフト漬けの合宿生活だった。入部した新入生15人のうち、既に3人が辞めていた。

 春合宿の1年生のテーマは、身体づくり。大切なことは3つ。走って体力をつけること、トレーニングで筋肉をつけること、そして食事で身体を大きくすること。それが全て。それ以上でもそれ以下でもない。そんな合宿でも楽しいこともある。その1つは、女子マネージャーの手料理。夕食はもちろん特盛で、ご飯はお代わりが必須。ハードなトレーニングをした先輩達は余裕で平らげる。
 夕食後は、ミーティング、勉強会、練習内容のビデオ確認と続く。特に1年生は、アメフトのルールすら知らないので、ここでみっちりと教えられる。合宿中にテストもある。身体は休めても、頭は休まらない。アメフトの戦術性が「頭脳スポーツ」とか「フィールドのチェス」と呼ばれる所以だ。

こうして合宿初日が終わろうとしている。身体も頭もクタクタとなったその時、主将が1年生に声をかける。
「鬼退治の時間!」
主将が待つ食堂に集まると、夜食用の大きなおにぎりが山積み。このおにぎりの山を食べて退治することが、1年生に課せられた本日最後の役割。通称「おに退治」。
「ちょうど小腹が空いてきたところ。超絶美味しい。」と同期トップの巨漢である朝長幹男(ともながみきお)がハイペースでおにぎりを退治する。
「これもエースQBへの試練の道。俺に乗り越えられないわけがない。」と同期トップのアスリート兼自信家である児玉悠斗(こだまはると)も続く。
僕も、この日最後の強敵に苦戦しながらも、無事に退治することが出来た。

布団に到達する頃には、肉体も、まぶたも、そして胃袋も、自分の限界に挑戦していた。



<第3話>

 僕と同期の仲間達も全員がアメフト未経験者=初心者である。巨漢である朝長も、アスリート兼自信家である児玉も同様だ。そしてもちろん、アメフト部との出会いは僕と同じく、あの胴上げから始まった。

 朝長も、僕より1時間ほど遅れて、ユニフォーム姿の先輩達に胴上げされた。ただし僕とは違い、先輩方には最重要人物として、丁重に扱われた。それは、身長はもちろん、体重を確認してからは、さらに顕著になった。彼は、まさしく大型新人だ。
 ただし、朝長にとっても、アメフトというスポーツは全く縁のないものだった。先輩達は、大学生活の過ごし方について、部活やサークルについて、アメフト部について、語った。「その身体を生かせば、試合で活躍できる。」という先輩達の言葉は全く響かなかったが、女子マネージャーの勧誘の笑顔と優しい眼差しはとても響いた。帰り道、自分がアメフトの試合で活躍し、女子マネージャーの視線を独占している姿しか想像できなかった。
それから1ヶ月後、彼はアメフト部に入部した。

 朝長は、中学の時は担任の先生の薦め(半強制)で柔道をやっていたが、高校時代は帰宅部だった。インドア派であり、外で体を動かすよりもパソコンでAKBの動画を見ているほうが楽しい性格だった。推しメンは、小嶋真子だ。

 児玉も、朝長よりさらに1時間ほど遅れて、ユニフォーム姿の先輩達に胴上げされた。彼も、その身長と筋肉で引き締まった身体つきから、先輩方には丁重に扱われた。
 児玉にとって、アメフトというスポーツはビジュアル的に憧れるものだった。先輩達は、大学生活の過ごし方について、部活やサークルについて、アメフト部について、語った。
「その筋肉はエース間違いなし。」という先輩達の言葉に大きく揺さぶられた。どのスポーツでも活躍出来る自信があり、どのスポーツで活躍するか悩んでいたが、彼は帰り道、自分がエースQBでタッチダウンパスを決めているシーンを想像し、試合後にチアリーダーと喜びハグするところまで想像することは容易だった。
 その翌日、彼はアメフト部に入部した。それから1ヶ月後、この大学にはチアリーダーが存在しないことに気付いたのが、彼の大きな誤算だった。

 児玉は、小・中・高と野球部所属。小学校時代からピッチャーでエースの看板を背負っていたが、中学と高校は絶対的エースの存在により、控えピッチャー兼外野手のポジション。エースへのこだわりは強く、自分が一番エースに相応しいとの自信だけは、絶対的エースをも上回るものだった。



<登場人物>
宮脇拓哉/みやわきたくや
 …主人公(僕)。1年生。
高橋湊斗/たかはしみなと
 …アメフト部主将。4年生。
児玉悠斗/こだまはると
 …1年生。アスリートで自信家。
朝長幹男/ともながみきお
 …1年生。巨漢。AKB好き。





kou_blue97 at 23:30│Comments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 | 検淵▲瓮侫箸里海函

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kou_blue97

〇札幌生まれ札幌育ち。現在は東京在住(←徳島←千葉…)。転勤族のサラリーマン。ミスチル世代の団塊ジュニア。
〇好きなモノ
 アメフト観戦、ミスチル鑑賞、blog執筆、子供とおでかけ、宮脇咲良を応援、転勤で知らない土地を満喫、現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる、小さな幸せのかけらを積み重ねる。

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