2016年12月19日

GIFT〜love one another〜(第局堯

GIFT〜love one another〜(第局堯

※この物語は僕が2013年に作った短編小説風の物語を、remakeしたものです。

「Xmasの贈り物〜1つの恋の物語〜」の続編



<第1話>

X'masは赤ちゃんを囲みながら家族水入らずで過ごし、年末年始は実家に帰ったケンジ。家族の絆を再認識する時間が流れる。胸の中につかえる罪悪感と背徳感。夜、布団に入り寝ようとすると、ケイコの笑顔が思い出される。

「こういう風に終わって良かったんだ」  

そう、言い聞かせる。それが正しい選択。年が明け、また現実の多忙な日々が戻る。仕事は忙しい。忙しくて、幸せだ。いろんなことを忘れさせてくれる。

「家族のために、チビのためにも、頑張らないとな。」  

充実した日々。

「ケンジさん、最近輝いてますね!なんかいいことあったんですか?」  

昼飯を食いながら、ジュンペイが声をかける。

「まぁな。守るべきものがあると、男も強くなるんだよ。お前もそのうちわかるさ。」  

軽くケンジが返す。

「今日は夕方から営業会議ですよね。終わったらパァーと行きましょうね!」

営業会議。3月は多忙だ。スケジュール確認のため手帳を開く。3月19日に赤いマークが。

「ケイコさんの誕生日だ。」  

忘れかけていたケイコを強く思い出す。


<第2話>

X'masは、娘と息子のために料理に腕をふるう。毎年恒例のクリスマスチキンと手作りケーキ。子供達のリクエストどおり。旦那とは10年くらいクリスマスなど過ごしていない。もちろん旦那からはプレゼントなどない。毎年、手作りのクリスマスケーキを美味しそうに食べてくれる子供達の笑顔が最高のX'masプレゼント。それだけで充分に幸せ。

それに、今年は。。。ケンジとの楽しいひと時。

「神様がくれたX'masプレゼントだったのかな。」 

大切な思い出として胸に刻み込まれた。

でも、もう思い出してはいけない。胸の奥に封印しないと。夢は見ない。見てはいけない。目の前の現実という幸せを、子供達の笑顔を、大切に守らなければならないんだから。

「たぶん、人生で男の人とKissをすることなんて、もう二度とないことだろうな。。。」 

ケイコは自分にそう言い聞かせた。


<第3話>

明日はケイコの誕生日。3月ということで、仕事は忙しい。世間は出会いと別れの季節だ。

「仕事がケイコさんを忘れさせてくれるかと思ったけど、結局忘れられなかったな。」 

取引先との飲みの後、帰りの電車でケイコのことを考える。

「最後の別れにあんなキスされたら、忘れられるわけないよな。」 

背徳感と罪悪感を、自分だけのせいじゃないと、正当化させようとしている。

「とりあえず、明日はケイコさんの誕生日。自然にBirthdayメールを贈って、どんな反応してくれるか。それからだな。」 

頭の中で、いろんなシチュエーションを想定する。もちろん、返事が来ないことも当然ありえる。

ケイコの気持ちは、わからない。でも、心優しい女性だから、ちょっと向き合って返事はくれるだろう。

「もし返事が来なかったり、イマイチな返事だったら、未練なく諦める。」 

そう覚悟を決め、ケイコの誕生日を迎える。


<第4話>

<ケイコの誕生日>

いつもより早目にケンジは家を出て、会社近くのスタバでケイコにメールを送る。

「ケイコさんへ。Best wishes to you on your birthday! いつまでも美しい貴女でいてください。誕生日プレゼント、何でもお届けいたしますo(^-^)o ケンジ」 

想いを言葉に託す。

「ママ誕生日おめでとう♪」 

朝起きてきた娘が声をかけてくれる。

「ありがとう」 

もう誕生日が嬉しい歳でもないけど、お祝いの言葉を貰うのは悪い気がしない。

「もう38になるのか。あとちょっとで40になっちゃうわね。」 

複雑な想いで、会社に向かうケイコ。通勤電車の中で、ケイコにメールが届く。登録していないアドレスからだ。

「迷惑メールかしら」 

件名には、HAPPY BIRTHDAY。

「ケンジさん。。。」 

ケイコは、またあの大きなトキメキを感じてしまった。


<第5話>

ケイコは、ケンジのメールアドレスを消していた。未練を残さないため。そして、現実の世界に舞い戻るため。

「やっと忘れかけてたのに。。。ダメだよ。ケンジさん。。。」 

頭の中をいろんなものが駆け巡る。X'masの時期に、2人で飲みに行ったこと。他愛もない話が幸せだったこと。手をつないだ温かさ。久しぶりのキスの感触。全てが新鮮で、幸せだった。

「でも、ダメなんだよ。幸せは待っていないんだから。」 

会社に入り、仕事中だけは忘れようと努力する。ちょっとした合間にも、ケンジのことを思い出す。

ケンジからメールが来た喜び。
自分の誕生日を覚えていてくれた喜び。
自分をちゃんと意識してくれているという喜び。

どんな理由も言い訳も建前も、ケイコの中のその喜びに勝てるものなどあり得なかった。ケイコは、自分の中の「女」を強く意識してしまった。


<第6話>

帰宅すると、母と子供達がBirthdayケーキを用意してくれていた。

「ロウソクは8本立てるね。」 

息子がロウソクをきれいに立てる。さすがに38本は立てられない。また、年齢を意識してしまう。

子供達と夕食を終え、家事を片付け、入浴するのは23時過ぎ。安らげる、いつもの時間。湯舟につかりながら、ケイコはつぶやく。

「こんな歳してドキドキしちゃって。いやね。」 

ケイコの心は揺れ動く。ケンジには、まだメールを返信していない。普通に、当たり障りなく、ただ御礼のメールを送ればいいだけ。悩むことなんてない。でも、帰宅途中、メールを送るのをためらった。理由はわからない。

「明日の朝には返信しなきゃね」 

ケイコは布団に入る。ケンジの存在を、ケンジに恋している気持ちを思い出してしまった。だけど、今はメール出来ない。

ケンジは、愛する大切な家族と過ごしている時間だから。それが、現実。


<第7話>

ケンジは、仕事中も合間をぬって携帯をチェックした。そして残業を終えて帰宅。ケイコからはメールが来なかった。

「やっぱりそうだよな。ケイコさんは、そんなに軽い女じゃないよ。だからこそ、惚れたんだろ。」 

自分に言い聞かせる。

「潔く、諦めるしかないか。」 

ぐっすり眠る子供の顔を見ながら、冷静を装う。

「神様が、ちゃんと見てるんだろうな。」 

いつの間にか、ケンジは深い眠りについていた。翌朝、ケイコは通勤電車の中でメールを送った。

「ケンジさん、メールありがとうございました。もう、38歳になってしまいました。ちゃんと子供達に祝って貰えましたんで、大丈夫ですよ。ケンジさんは、相変わらずお忙しいですか?お体に気をつけてくださいね♪」 

ケンジも、通勤途中にメールが届く。すぐさま返信。

「ケイコさん。さすがケイコさんのお子さん達は優しいですね。僕も負けられないな。お祝い、何がいいですか?イタリアン?和食?来週あたりどーですか?」 

返信が来たからには、攻め続けるのみ。


<第8話>

ケイコとケンジのメールのやり取りは、数日間続いた。

「お祝いしたいんで」 

と誘うケンジ。嫌がられない程度の強引さ。

「気持ちだけで充分ですよ」  

とはぐらかすケイコ。メールのやり取り自体、ケイコにとっては久しぶり。多忙な生活の中の、ささやかな至福の時間になりつつある。やはり、いけない相手だと頭ではわかっていても、自分に好意を持ってくれていることは素直に嬉しい。

ケンジにとっても、久しぶりのメールのやり取り。年度末にさしかかり多忙を極める日常。家族には見せられない弱さやストレスがたまる日々。ケンジも、心のバランスを保つために、何かを必要としていた。心のすき間を埋めてくれる女性の存在。それが、ケイコだった。

結婚して、消えていた男としてのギラギラした部分に、火がつきかけてしまっていた。

そして、ケイコの誕生日から2週間後、二人は飲みに行く約束を交わしていた。


<第9話>

4月頭、桜がちょうど美しく咲いている。18時に駅前で待ち合わせたケイコとケンジは、小綺麗な居酒屋の個室に入る。

「いつまでも美しく輝くケイコさんのBirthdayに乾杯。」

「ありがとう。恥ずかしいけど、嬉しい。」 

クリスマス以来の再会。話も弾み、お酒も進む。

「逢ってくれたってことは、一応嫌われてないってことなんで、ホッとしてます。」  

酒が進むケンジ。

「嫌いになんてならないよ。でも、好きになってはいけないの。」  

ケイコもほろ酔いだ。

「いいとか悪いとかじゃなくて、好きになってしまったんだから、しょうがないんだよ。」

「子供じゃないんだから、わがまま言ったらバチが当たるわよ。」

「あんなキスするから、忘れられないんじゃん」  

お互いあえて触れなかった別れ際の深い口づけ。

「あれはね、1日だけの特別なX'masプレゼント。忘れないといけないの。」 

ケイコは大人の目を見せながら、ケンジに微笑みかける。

「もう、魔法はとけちゃったの。」


<第10話>

「魔法?また魔法にかけてあげるよ。」  

ケンジも微笑み返す。お互いの居心地の良さと相性の良さを感じる2人。お腹も心も満たされてきた。

「ちょっと早いけど、次行きませんか?」  

ケンジが誘う。店を出て、タクシーに乗り込む。ケイコは行き先を告げられない。着いた場所は、店ではなくて、公園だ。

「ちょっと歩きましょう」  

ケンジが促す。

目指していた場所に到着。美しくライトアップされた夜桜が一面に輝く。

「貴女と一緒に見たかった」 ケンジがケイコの手を握る。

「凄く、きれい。ありがとう。」 

ケイコがケンジに寄り添う。

「こうやって、歩きたかった。ずっと、想ってた。」 

夜桜の下を、ライトアップに照らされながら歩く2人。桜の美しさを感じながら。お互いの幸せなひと時を大切にしながら。ゆっくりと、歩く。

ひとしきり大きな木の下で、立ち止まる。桜を見上げるケイコ。

後ろから、そっと抱きしめるケンジ。

「愛してる」 

そうささやく。

ケイコは、何も言わない。言葉にこそ出せないが、もちろん気持ちは同じ。

ケンジは、ケイコの正面に回り込み、熱く口づける。ケイコは、ケンジに身体を委ねる。

「もう、離さない。」 

2人の恋が、また始まる。

2人だけの、魔法の時間。

サンタさんからの、特別な贈り物。


kou_blue97 at 00:00│Comments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

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kou_blue97

〇札幌生まれ札幌育ち。現在は東京在住(←徳島←千葉…)。転勤族のサラリーマン。ミスチル世代の団塊ジュニア。
〇好きなモノ
 アメフト観戦、ミスチル鑑賞、blog執筆、子供とおでかけ、HKT宮脇咲良を応援、転勤で知らない土地を満喫、現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる、小さな幸せのかけらを積み重ねる。

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