2013年05月20日

Xmasの贈り物(remake版) 〜後編〜

Xmasの贈り物〜1つの恋の物語〜

※この物語は、4年半前に僕が書いた短編小説です。かけだし金融マンのblog(2008年12月)に掲載されているもののリメイクです。当時の僕の妄想の全てが盛り込まれています。頭ン中どんなんだったんだろう。。。

さて、後編の開始です。


<第14話>

翌朝、ケイコは普段通りに早起きして、朝ご飯をつくり、子供たちを起こすために子供部屋に入る。昨夜のときめきと心地よい気持ちが強く残っていて、久しぶりに幸せで満たされている感覚がある反面、強い罪悪感が心の中で芽生え始める。その罪悪感は、子供たちの安らかな寝顔を見たときに決定的なものとなって、ケイコの心を揺るがし始める。

ケンジと過ごした時間 ケンジからかけられる優しい言葉 ケンジに握りられる手の温もり 自分に女性として魅力を感じてくれた全てのことに対する女性としての1つの幸せ

自分が守るべき家族 命より大切な子供たちの愛 親として 妻として 人間としての使命と幸せ

ケイコは複雑な心境で、通勤電車に乗り込む。ケイコの携帯にメールが届く。

『昨日は楽しい時間をありがとうございました。ケイコさんの魅力にドンドン惹かれていく自分がいました。
また2人で飲みにいきましょうね。ケンジ』 ケイコは、特に飾り気もないただの1通のメールがこんなにも嬉しいということを知った。


<第15話>

朝会社を出て、ケンジのメールに喜び、家に帰り、子供たちと食卓を囲み罪悪感に悩むケイコ。その繰り返しの日々が続く。

正しいか正しくないかの答えは出ない。おそらく正しくないということはわかっている。ただ、変わらない日常の中で、ケンジと出会ってから、家族に対して、周りに対して、優しくなった自分がいた。

会社の後輩からも、『雰囲気変わりましたね』 なんて声をかけられるようになった。

『お化粧のノリもいいのかもしれない。なー』 なんて考えながら会社を出たところでケイコの携帯が鳴る。

『お疲れ様です。高橋です。もう会社出られました?』 ケンジからの電話だ。

『お疲れ様です。ちょうど会社を出たところですよ。』 ケイコが平静を装いながら応える。

『ちょうど近くまで来てるんで、30分だけコーヒーに付き合ってもらえませんか?』 またケンジに逢うことに少なからず危険を感じながらも、ケンジにもう一度逢いたい気持ちを抑えられず、ケイコは待ち合わせの駅前の広場の大きなChristmas treeに向かって歩き始めた。


<第16話>

賑やかなカフェで、エスプレッソとキャラメルマキアートで乾杯。ケイコとケンジの久しぶりの再会。

『もうすぐChristmasですね。ケイコさんはお子さんにプレゼント買ったんですか?』 ケンジの甘い顔にキャラメルの香りはよく似合う。

『前々からリクエストがあったんで、もう準備はしてるんだ。高橋さんは娘さんに何贈るの?』

『ケンジって呼んでくださいよ。つれないなー。』 ケンジが微笑む。

『ヒスミニの可愛い服を買いましたよ。ケイコさんは欲しいものないんですか?頑張ってる自分にご褒美とか。』

『欲しいものねー。特にないかなー。ケンジくんは?』 ケイコが聞き返す。

『僕は欲しいものがあって、サンタさんにお願いしているところ。』 ケンジの目が輝く。

『欲しいものって何ー?』 ケイコが普通に聞き返す。

『僕はケイコさんが欲しい。』 ケイコの目をしっかり見つめて、ケンジが伝える。カップを持つケイコの手が止まる。

『お酒の入ってない時に言おうと思ってた。あの日以来、ずっとケイコさんのこと考えてる。』 2人の顔が紅に染まる。

決して許されない罪深い恋だと最初からわかっていたとしたって、もう一回 ケイコに伝えたい。ケンジの気持ちがケイコに届く。


<第17話>

ケイコは驚きで凍りついた。こんなに賑やかな場所で、こんなに大勢の人がいる中で、『ケイコさんが欲しい』 なんて言われるなんて。

ケンジの大胆さに驚くとともに、ケンジの真剣さが心に響く。

『急にそんな話しても驚きますよね。お互いの家庭を大切に尊重した上で、本気の恋をしたい。真実の愛を見つけたい。そう想ってました。都合が良すぎて自分勝手な恋と思われるかもしれませんが、そうじゃないことも、僕がそんな男じゃないことも、ちゃんとわかってくれると信じてます。』 ケンジが想いを全てぶつける。

『今週の金曜日に飲みに行きましょう。もし僕の勘違いだったり、僕の一方的な盛り上がりだったとしたら、金曜日に教えてください。お願いします。』

『そんな風に想ってくれていたことも、今日こんなことを言われることも、想像もしてなかったし驚いてる。ちゃんと頭の中を整理したい。』 周りはカップルだらけのクリスマス前のカフェの中。

ケンジとケイコの間だけ、周りとは違う空気が流れている。アダムとイブのいたずらの1つ。


<第18話>

家に帰り、夕食の支度をするケイコ。夕食は最近マイブームの豆乳キムチ鍋。

『お母さん最近疲れてるみたい。大丈夫?』 娘が心配そうに聞く。

『そうかしら。寒くなってきたし、年末でバタバタしてるからかなー。しっかりご飯食べて頑張らないとね。』 ケイコは笑顔で子供たちに返す。

何か困ったことや悩み事がある時には、いつも母親や子供たちに相談してきたケイコ。でも今回ばかりは誰にも相談なんて出来ない。だからと言って家族には心配なんかかけてはいられない。

家族みんながお風呂に入った後、ケイコはゆっくり湯船につかり、ケンジのことを思い出す。

『私のことを真剣に想ってくれる人なんて、ケンジくん以外にはもう誰もいないんだろうな。私の人生の中で、もうたぶん。そう考えると、なんか寂しさが溢れてくる。』  ケイコは心の中でそう感じた。

恋なんかとうの昔に忘れていて、そんなものなくても楽しくて幸せな日々が長く続いていた。だけど一度恋を思い出しただけで、こんなにも幸せで満たされたり、悲しく切ない想いをするなんて、想像さえもしていなかった。

旦那とはしばらくまともに話すらしていない中で、金曜日が近づいてくる。Christmasの2日前の金曜日の夜が待っている。


<第19話>

待ち合わせ場所はこの前と同じChristmas treeの前。いつもの笑顔でケンジが待っている。

『今日はありがとうございます。美味しいコラーゲン鍋鍋のお店があるんで行きましょう。』 ケンジがケイコを促す。

とりあえずビールで乾杯。

ケンジはこの前の告白のことなどなかったかのように、お互いの考え方や生き方をもっとよく知ろうと、普段の話、仕事の話、小さい頃の話、最近のマイブームの話で会話を盛り上げる。

『コラーゲン鍋はお肌にいいですからね。ケイコさんの美貌がいつまでも続けばお子さん達も大喜びですよ。美貌に一番効くのは恋なんですけどね。』 ちょっとしたケンジの言葉がケイコを暖かく包み込む。

美味しい料理とお酒とケンジの笑顔と言葉と優しさ。

心も体も満たされる幸せな時間。

でも、このままケンジを受け入れて、ケンジを信じてついて行って、幸せは待っているのかどうか、幸せがいつまでも続くのかどうか、答えが出ないで時間が流れる。

『お腹もいっぱいで幸せですね。僕は最初からずっとドキドキでしたが。次のお店でゆっくりお話しましょうね。』 いよいよ2人の恋が動き始める。


<第20話>

2軒目はこの前と同じ店。雰囲気のいいカップルシートのカウンター。

ケンジはジンライム。ケイコはグランベリーのカクテル。

『僕、ケイコさんをもっと愛したい。』 さっきまでとケンジの雰囲気が変わる。

『僕もそうだし、ケイコさんもそうだけど、お互い大切な生活があって、家族があって、自分がいる。それだけで幸せだった。他には何も望んでいなかった。ケイコさんに逢うまでは。でもケイコさんに出会い、話をしているうちに、軽く触れ合ううちに、ケイコさんと恋をしたい、その想いが出てきて、良くないことだってわかっててもその気持ちは消えなかった。信じて欲しい。』 ケンジが気持ちを伝える。

『ケンジくんにあってから、毎日が楽しかったし、メールが来る度嬉しかった。そんな気持ちは何年ぶりだろう。でも家に帰って子供たちに会えば、罪悪感に悩まされていた。ケンジくんのことが好きだけど、本当に嬉しいけど、やっぱりお互い良くないよ。ツラい思いをするだけ。だから今ならまだ間に合うよ。ちゃんと奥さんとお子さんだけを愛してあげなきゃ。』 ケイコが初めて気持ちを伝える。

『家族はもちろん愛してるし、子供は何よりも大切なもの。ケイコさんとの恋ならお互いを高めあうことも、お互い幸せになることも出来るんじゃないかな。この本当の気持ちを信じたい。』 ケンジは引かない。

『まだ出会ったばかりだし、最初だけ盛り上がってるだけかもしれないよね。恋してる自分に恋したいとか。ちょっと冷静に考えた方がいいよ。私みたいな年上なんか好きになるなんてさ。』 私と恋を始めても、きっとケンジにも自分にも幸せなどやってこないことを、ケイコはちゃんとわかっている。

突き進みたいケンジと、冷静に見つめ始めたケイコのやりとりは、切り口を変え、理屈を変えて、長い間カウンターに響き渡るのだった。


<第21話>

お互いの幸せのためと、ケンジを思いとどまらせるケイコだが、ちょっとでも気がゆるむとケンジの気持ちに応じてしまいそうだ。

『私だって本当はね、恋を始めてもいいかなって思ったりもした。ツラい時に優しくされたいし、頑張った時は褒めて欲しい。ケンジくんになら本音で甘えることが出来て、女としてもちゃんと見てくれるんじゃないかって。でもね、私には子供達が一番大切で絶対に裏切れない。ケンジくんもきっとそうだよ。』 ケイコの気持ちがケンジにも届きはじめる。

『じゃあ待ちますよ。ケイコさんが俺を信じて受け入れてくれるまで、それまで待ちますよ。』 ケンジがグラスを一気に空ける。

『そんな出来ない約束なんてするもんじゃないよ。ちょっと冷静になって考えてみて。もし、10年後も同じ気持ちだったらその時はいいわよ(笑)。』

『もっと男を磨いて、また気持ちを伝えに来ますよ。何度でも。それまで変な男に騙されたりしたらダメですからね。』 ケンジが微笑み、ケイコも笑みを浮かべる。

もうすぐ日付が変わり、クリスマスイブを迎える。


<第22話>

願いは叶わなかったケンジだが、気持ちを伝えることが出来て、晴れ晴れとした表情を浮かべる。笑顔のケンジとケイコが、店を出てエレベーターに乗り込む。

『こうやって勇気を振り絞って手をつないだ時、嫌がられたらどうしょうとドキドキした。握り返してくれた時は本当に嬉しかった。』 ケンジはそう言いながら、ケイコの手を優しくつなぐ。

『私もね、すごくドキドキしたしとても嬉しかったよ。なんだか信じらんない感じだった。』 ケイコもまた握り返す。

駅までの残された時間。もう二度と2人で逢うこともないだろうことは、2人とも薄々感じている。誰にも邪魔されない2人だけの時間、誰にも邪魔することが出来ない2人だけの空間。

駅はもう目の前。終電の時間も近づいてゆく。駅に入り柱にもたれかかるケンジ。

『俺、逢えてよかったよ。』

『私もだよ。』 ケイコが向かいあう。

『ねぇ、俺のことを忘れさせてくれなきゃ終われないよ。』 ケンジが悲しい目でケイコを見つめる。

ケイコはしばらく無言で考えた後、目を閉じ、ケンジにもたれかかり、ケンジの唇に重なり合う。

『ばーか。そんなことしたら本気で忘れられなくなるだろうが。Merry Christmas !』 ケンジはそう囁いて、深く長い口づけをした。


【完】


kou_blue97 at 00:05│Comments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

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kou_blue97

〇札幌生まれ札幌育ち。現在は東京在住(←徳島←千葉…)。転勤族のサラリーマン。ミスチル世代の団塊ジュニア。
〇好きなモノ
 アメフト観戦、ミスチル鑑賞、blog執筆、子供とおでかけ、HKT宮脇咲良を応援、転勤で知らない土地を満喫、現実と妄想の狭間で微笑ましく生きる、小さな幸せのかけらを積み重ねる。

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