2013年05月

2013年05月31日

GIFT〜love one another〜 第7話

ケンジは、仕事中も合間をぬって携帯をチェックした。

そして残業を終えて帰宅。

ケイコからはメールが来なかった。

「やっぱりそうだよな。ケイコさんは、そんなに軽い女じゃないよ。だからこそ、惚れたんだろ。」

自分に言い聞かせる。

「潔く、諦めるしかないか。」

ぐっすり眠る子供の顔を見ながら、冷静を装う。

「神様が、ちゃんと見てるんだろうな。」

いつの間にか、ケンジは深い眠りについていた。




翌朝、ケイコは通勤電車の中でメールを送った。


「ケンジさん、メールありがとうございました。もう、38歳になってしまいました。ちゃんと子供達に祝って貰えましたんで、大丈夫ですよ。ケンジさんは、相変わらずお忙しいですか?お体に気をつけてくださいね♪」

ケンジも、通勤途中にメールが届く。

すぐさま返信。


「ケイコさん。さすがケイコさんのお子さん達は優しいですね。僕も負けられないな。お祝い、何がいいですか?イタリアン?和食?来週あたりどーですか?」

返信が来たからには、攻め続けるのみ。







kou_blue97 at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月30日

GIFT〜love one another〜 第6話

帰宅すると、母と子供達がBirthdayケーキを用意してくれていた。

「ロウソクは8本立てるね。」 息子がロウソクをきれいに立てる。

さすがに38本は立てられない。

また、年齢を意識してしまう。



子供達と夕食を終え、家事を片付け、入浴するのは23時過ぎ。

安らげる、いつもの時間。

湯舟につかりながら、ケイコはつぶやく。

「こんな歳してドキドキしちゃって。いやね。」

ケイコの心は揺れ動く。



ケンジには、まだメールを返信していない。

普通に、当たり障りなく、ただ御礼のメールを送ればいいだけ。

悩むことなんてない。

でも、帰宅途中、メールを送るのをためらった。

理由はわからない。



「明日の朝には返信しなきゃね」

ケイコは布団に入る。



ケンジの存在を、ケンジに恋している気持ちを思い出してしまった。

だけど、今はメール出来ない。

ケンジは、愛する大切な家族と過ごしている時間だから。

それが、現実。






kou_blue97 at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月29日

GIFT〜love one another〜 第5話

ケイコは、ケンジのメールアドレスを消していた。

未練を残さないため。

そして、現実の世界に舞い戻るため。



「やっと忘れかけてたのに。。。ダメだよ。ケンジさん。。。」

頭の中をいろんなものが駆け巡る。

X'masの時期に、2人で飲みに行ったこと。

他愛もない話が幸せだったこと。

手をつないだ温かさ。

久しぶりのキスの感触。

全てが新鮮で、幸せだった。



「でも、ダメなんだよ。幸せは待っていないんだから。」

会社に入り、仕事中だけは忘れようと努力する。

ちょっとした合間にも、ケンジのことを思い出す。



ケンジからメールが来た喜び。

自分の誕生日を覚えていてくれた喜び。

自分をちゃんと意識してくれているという喜び。



どんな理由も言い訳も建前も、ケイコの中のその喜びに勝てるものなどあり得なかった。

ケイコは、自分の中の「女」を強く意識してしまった。


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2013年05月28日

GIFT〜love one another〜 第4話

<ケイコの誕生日>


いつもより早目にケンジは家を出て、会社近くのスタバでケイコにメールを送る。

「ケイコさんへ。Best wishes to you on your birthday!

いつまでも美しい貴女でいてください。

誕生日プレゼント、何でもお届けいたしますo(^-^)o ケンジ」

想いを言葉に託す。




「ママ誕生日おめでとう♪」

朝起きてきた娘が声をかけてくれる。

「ありがとう」

もう誕生日が嬉しい歳でもないけど、お祝いの言葉を貰うのは悪い気がしない。

「もう38になるのか。あとちょっとで40になっちゃうわね。」

複雑な想いで、会社に向かうケイコ。

通勤電車の中で、ケイコにメールが届く。

登録していないアドレスからだ。

「迷惑メールかしら」

件名には、HAPPY BIRTHDAY。

「ケンジさん。。。」

ケイコは、またあの大きなトキメキを感じてしまった。



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2013年05月27日

GIFT〜love one another〜 第3話

明日はケイコの誕生日。

3月ということで、仕事は忙しい。

世間は出会いと別れの季節だ。



「仕事がケイコさんを忘れさせてくれるかと思ったけど、結局忘れられなかったな。」

取引先との飲みの後、帰りの電車でケイコのことを考える。

「最後の別れにあんなキスされたら、忘れられるわけないよな。」

背徳感と罪悪感を、自分だけのせいじゃないと、正当化させようとしている。

「とりあえず、明日はケイコさんの誕生日。自然にBirthdayメールを贈って、どんな反応してくれるか。それからだな。」

頭の中で、いろんなシチュエーションを想定する。

もちろん、返事が来ないことも当然ありえる。

ケイコの気持ちは、わからない。

でも、心優しい女性だから、ちょっと向き合って返事はくれるだろう。

「もし返事が来なかったり、イマイチな返事だったら、未練なく諦める。」

そう覚悟を決め、ケイコの誕生日を迎える。



kou_blue97 at 07:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月26日

オービックシーガルズの敗戦

<アメフット:オービック、富士通に敗れ、連勝が37で止まる パールボウル準決勝>

アメリカンフットボールの春季東日本社会人王者を決める「パールボウル」トーナメントは、川崎球場で25日、準決勝が行われ、富士通フロンティアーズが、ライスボウル(日本選手権)3連覇中のオービックシーガルズを31−13で破って決勝(6月24日、東京ドーム)へ進出した。オービックの敗戦は2010年7月以来2年11カ月ぶりで、10年秋季リーグ第1戦から続いていた国内公式戦連勝は37で止まった。準決勝の残り1試合は26日に川崎球場で行われ、鹿島ディアーズとノジマ相模原ライズが対戦する。 〜2013年05月25日 毎日jp〜



僕がオービックシーガルズの試合を初めて生で観たのは、2010年9月の仕事帰りに、会社の人たちと千葉マリンスタジアムに足を運んだ時でした。

偶然、千葉でアメフトの試合が行われるのを知ったためです。

特に応援していたわけではありません。

でも、昔から有名だった菅原選手がいたり、ジュニアチームがあったので、応援しようかなと思いました。



千葉支店で働いた5年間。充実していた日々でしたが、辛く苦しい時が4度ほどありました。

最初の2つは、自分の中のプライドと家族の優しさで乗り越えました。

後の2つは、オービックシーガルズにも、とても勇気づけられました。




僕が応援してから約3年間、シーガルズは負けなかった。

僕の礎であるアメフトから離れた生活から、またアメフトに呼び戻してくれるきっかけを作ってくれた。

人生で一番号泣したのがアメフト(大学時代の最終戦)であれば、ここ数年で最も絶叫し、最も大声で歓喜を表現したのは、オービックシーガルズの試合だった。

熱い男達、刺激、興奮、絶叫、歓喜。僕は、勇気づけられた。仕事も頑張れた。

初めて目の当たりにする敗戦。

昨日、ツイッターで実況を見ていた僕は衝撃を受けた。

彼らは、この敗戦をどう乗り越えるか。どう進化するか。そして、秋のシーズン、どんな戦いを見せてくれるか。

自分も、人生において、これかららもいろんな挫折を味わうだろう。

その時、這い上がるためにも、彼らの今後を支え、応援し続けたい。



楽しみです!

ずっと、ずっと、応援します!

頑張ってください!


kou_blue97 at 12:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 検淵▲瓮侫箸里海函 

2013年05月25日

GIFT〜love one another〜 第2話

X'masは、娘と息子のために料理に腕をふるう。

毎年恒例のクリスマスチキンと手作りケーキ。

子供達のリクエストどおり。

旦那とは10年くらいクリスマスなど過ごしていない。

もちろん旦那からはプレゼントなどない。

毎年、手作りのクリスマスケーキを美味しそうに食べてくれる子供達の笑顔が最高のX'masプレゼント。

それだけで充分に幸せ。



それに、今年は。。。

ケンジとの楽しいひと時。

「神様がくれたX'masプレゼントだったのかな。」

大切な思い出として胸に刻み込まれた。



でも、もう思い出してはいけない。

胸の奥に封印しないと。

夢は見ない。

見てはいけない。

目の前の現実という幸せを、子供達の笑顔を、大切に守らなければならないんだから。




「たぶん、人生で男の人とKissをすることなんて、もう二度とないことだろうな。。。」

ケイコは自分にそう言い聞かせた。





kou_blue97 at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月24日

GIFT〜love one another〜 第1話

X'masは赤ちゃんを囲みながら家族水入らずで過ごし、年末年始は実家に帰ったケンジ。

家族の絆を再認識する時間が流れる。

胸の中につかえる罪悪感と背徳感。

夜、布団に入り寝ようとすると、ケイコの笑顔が思い出される。

「こういう風に終わって良かったんだ」 そう、言い聞かせる。

それが正しい選択。



年が明け、また現実の多忙な日々が戻る。

仕事は忙しい。

忙しくて、幸せだ。

いろんなことを忘れさせてくれる。

「家族のために、チビのためにも、頑張らないとな。」 充実した日々。



「ケンジさん、最近輝いてますね!なんかいいことあったんですか?」 昼飯を食いながら、ジュンペイが声をかける。

「まぁな。守るべきものがあると、男も強くなるんだよ。お前もそのうちわかるさ。」 軽くケンジが返す。

「今日は夕方から営業会議ですよね。終わったらパァーと行きましょうね!」



営業会議。

3月は多忙だ。スケジュール確認のため手帳を開く。

3月19日に赤いマークが。

「ケイコさんの誕生日だ。」

忘れかけていたケイコを強く思い出す。


kou_blue97 at 10:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月23日

GIFT〜love one another〜 Prologue

こないだリメイクした大人の恋の物語「Xmasの贈り物」。

続編を望む声をいただきありがとうございます。

ご期待に添えるかどうかわかりませんが、ケンジとケイコの恋の物語の続編をStartしたいと思います。

タイトルは「GIFT〜another one love〜」

見切り発車な感じで、結末もまだイメージ出来ていませんが、楽しんで読んでいただけるようゆっくり掲載していきますので、よろしくお願いします。



<主人公>

ケンジ

28歳営業マン。入社5年目。
そして結婚3年目。今年子供を授かったばかりであり、父親としても、人間としても大きく成長していく年頃。


ケイコ

37歳。一流企業に勤める夫、中学生の娘と小学生の息子がいる家庭。夫は単身赴任が長いため、実家の母と同居。昼間は外で働いている。



<前作「Xmasの贈り物」のラストシーン>

『ねぇ、俺のことを忘れさせてくれなきゃ終われないよ。』 ケンジが悲しい目でケイコを見つめる。

ケイコはしばらく無言で考えた後、目を閉じ、ケンジにもたれかかり、ケンジの唇に重なり合う。

『ばーか。そんなことしたら本気で忘れられなくなるだろうが。Merry Christmas !』

ケンジはそう囁いて、深く長い口づけをした。



kou_blue97 at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 

2013年05月20日

Xmasの贈り物(remake版) 〜後編〜

Xmasの贈り物〜1つの恋の物語〜

※この物語は、4年半前に僕が書いた短編小説です。かけだし金融マンのblog(2008年12月)に掲載されているもののリメイクです。当時の僕の妄想の全てが盛り込まれています。頭ン中どんなんだったんだろう。。。

さて、後編の開始です。


<第14話>

翌朝、ケイコは普段通りに早起きして、朝ご飯をつくり、子供たちを起こすために子供部屋に入る。昨夜のときめきと心地よい気持ちが強く残っていて、久しぶりに幸せで満たされている感覚がある反面、強い罪悪感が心の中で芽生え始める。その罪悪感は、子供たちの安らかな寝顔を見たときに決定的なものとなって、ケイコの心を揺るがし始める。

ケンジと過ごした時間 ケンジからかけられる優しい言葉 ケンジに握りられる手の温もり 自分に女性として魅力を感じてくれた全てのことに対する女性としての1つの幸せ

自分が守るべき家族 命より大切な子供たちの愛 親として 妻として 人間としての使命と幸せ

ケイコは複雑な心境で、通勤電車に乗り込む。ケイコの携帯にメールが届く。

『昨日は楽しい時間をありがとうございました。ケイコさんの魅力にドンドン惹かれていく自分がいました。
また2人で飲みにいきましょうね。ケンジ』 ケイコは、特に飾り気もないただの1通のメールがこんなにも嬉しいということを知った。


<第15話>

朝会社を出て、ケンジのメールに喜び、家に帰り、子供たちと食卓を囲み罪悪感に悩むケイコ。その繰り返しの日々が続く。

正しいか正しくないかの答えは出ない。おそらく正しくないということはわかっている。ただ、変わらない日常の中で、ケンジと出会ってから、家族に対して、周りに対して、優しくなった自分がいた。

会社の後輩からも、『雰囲気変わりましたね』 なんて声をかけられるようになった。

『お化粧のノリもいいのかもしれない。なー』 なんて考えながら会社を出たところでケイコの携帯が鳴る。

『お疲れ様です。高橋です。もう会社出られました?』 ケンジからの電話だ。

『お疲れ様です。ちょうど会社を出たところですよ。』 ケイコが平静を装いながら応える。

『ちょうど近くまで来てるんで、30分だけコーヒーに付き合ってもらえませんか?』 またケンジに逢うことに少なからず危険を感じながらも、ケンジにもう一度逢いたい気持ちを抑えられず、ケイコは待ち合わせの駅前の広場の大きなChristmas treeに向かって歩き始めた。


<第16話>

賑やかなカフェで、エスプレッソとキャラメルマキアートで乾杯。ケイコとケンジの久しぶりの再会。

『もうすぐChristmasですね。ケイコさんはお子さんにプレゼント買ったんですか?』 ケンジの甘い顔にキャラメルの香りはよく似合う。

『前々からリクエストがあったんで、もう準備はしてるんだ。高橋さんは娘さんに何贈るの?』

『ケンジって呼んでくださいよ。つれないなー。』 ケンジが微笑む。

『ヒスミニの可愛い服を買いましたよ。ケイコさんは欲しいものないんですか?頑張ってる自分にご褒美とか。』

『欲しいものねー。特にないかなー。ケンジくんは?』 ケイコが聞き返す。

『僕は欲しいものがあって、サンタさんにお願いしているところ。』 ケンジの目が輝く。

『欲しいものって何ー?』 ケイコが普通に聞き返す。

『僕はケイコさんが欲しい。』 ケイコの目をしっかり見つめて、ケンジが伝える。カップを持つケイコの手が止まる。

『お酒の入ってない時に言おうと思ってた。あの日以来、ずっとケイコさんのこと考えてる。』 2人の顔が紅に染まる。

決して許されない罪深い恋だと最初からわかっていたとしたって、もう一回 ケイコに伝えたい。ケンジの気持ちがケイコに届く。


<第17話>

ケイコは驚きで凍りついた。こんなに賑やかな場所で、こんなに大勢の人がいる中で、『ケイコさんが欲しい』 なんて言われるなんて。

ケンジの大胆さに驚くとともに、ケンジの真剣さが心に響く。

『急にそんな話しても驚きますよね。お互いの家庭を大切に尊重した上で、本気の恋をしたい。真実の愛を見つけたい。そう想ってました。都合が良すぎて自分勝手な恋と思われるかもしれませんが、そうじゃないことも、僕がそんな男じゃないことも、ちゃんとわかってくれると信じてます。』 ケンジが想いを全てぶつける。

『今週の金曜日に飲みに行きましょう。もし僕の勘違いだったり、僕の一方的な盛り上がりだったとしたら、金曜日に教えてください。お願いします。』

『そんな風に想ってくれていたことも、今日こんなことを言われることも、想像もしてなかったし驚いてる。ちゃんと頭の中を整理したい。』 周りはカップルだらけのクリスマス前のカフェの中。

ケンジとケイコの間だけ、周りとは違う空気が流れている。アダムとイブのいたずらの1つ。


<第18話>

家に帰り、夕食の支度をするケイコ。夕食は最近マイブームの豆乳キムチ鍋。

『お母さん最近疲れてるみたい。大丈夫?』 娘が心配そうに聞く。

『そうかしら。寒くなってきたし、年末でバタバタしてるからかなー。しっかりご飯食べて頑張らないとね。』 ケイコは笑顔で子供たちに返す。

何か困ったことや悩み事がある時には、いつも母親や子供たちに相談してきたケイコ。でも今回ばかりは誰にも相談なんて出来ない。だからと言って家族には心配なんかかけてはいられない。

家族みんながお風呂に入った後、ケイコはゆっくり湯船につかり、ケンジのことを思い出す。

『私のことを真剣に想ってくれる人なんて、ケンジくん以外にはもう誰もいないんだろうな。私の人生の中で、もうたぶん。そう考えると、なんか寂しさが溢れてくる。』  ケイコは心の中でそう感じた。

恋なんかとうの昔に忘れていて、そんなものなくても楽しくて幸せな日々が長く続いていた。だけど一度恋を思い出しただけで、こんなにも幸せで満たされたり、悲しく切ない想いをするなんて、想像さえもしていなかった。

旦那とはしばらくまともに話すらしていない中で、金曜日が近づいてくる。Christmasの2日前の金曜日の夜が待っている。


<第19話>

待ち合わせ場所はこの前と同じChristmas treeの前。いつもの笑顔でケンジが待っている。

『今日はありがとうございます。美味しいコラーゲン鍋鍋のお店があるんで行きましょう。』 ケンジがケイコを促す。

とりあえずビールで乾杯。

ケンジはこの前の告白のことなどなかったかのように、お互いの考え方や生き方をもっとよく知ろうと、普段の話、仕事の話、小さい頃の話、最近のマイブームの話で会話を盛り上げる。

『コラーゲン鍋はお肌にいいですからね。ケイコさんの美貌がいつまでも続けばお子さん達も大喜びですよ。美貌に一番効くのは恋なんですけどね。』 ちょっとしたケンジの言葉がケイコを暖かく包み込む。

美味しい料理とお酒とケンジの笑顔と言葉と優しさ。

心も体も満たされる幸せな時間。

でも、このままケンジを受け入れて、ケンジを信じてついて行って、幸せは待っているのかどうか、幸せがいつまでも続くのかどうか、答えが出ないで時間が流れる。

『お腹もいっぱいで幸せですね。僕は最初からずっとドキドキでしたが。次のお店でゆっくりお話しましょうね。』 いよいよ2人の恋が動き始める。


<第20話>

2軒目はこの前と同じ店。雰囲気のいいカップルシートのカウンター。

ケンジはジンライム。ケイコはグランベリーのカクテル。

『僕、ケイコさんをもっと愛したい。』 さっきまでとケンジの雰囲気が変わる。

『僕もそうだし、ケイコさんもそうだけど、お互い大切な生活があって、家族があって、自分がいる。それだけで幸せだった。他には何も望んでいなかった。ケイコさんに逢うまでは。でもケイコさんに出会い、話をしているうちに、軽く触れ合ううちに、ケイコさんと恋をしたい、その想いが出てきて、良くないことだってわかっててもその気持ちは消えなかった。信じて欲しい。』 ケンジが気持ちを伝える。

『ケンジくんにあってから、毎日が楽しかったし、メールが来る度嬉しかった。そんな気持ちは何年ぶりだろう。でも家に帰って子供たちに会えば、罪悪感に悩まされていた。ケンジくんのことが好きだけど、本当に嬉しいけど、やっぱりお互い良くないよ。ツラい思いをするだけ。だから今ならまだ間に合うよ。ちゃんと奥さんとお子さんだけを愛してあげなきゃ。』 ケイコが初めて気持ちを伝える。

『家族はもちろん愛してるし、子供は何よりも大切なもの。ケイコさんとの恋ならお互いを高めあうことも、お互い幸せになることも出来るんじゃないかな。この本当の気持ちを信じたい。』 ケンジは引かない。

『まだ出会ったばかりだし、最初だけ盛り上がってるだけかもしれないよね。恋してる自分に恋したいとか。ちょっと冷静に考えた方がいいよ。私みたいな年上なんか好きになるなんてさ。』 私と恋を始めても、きっとケンジにも自分にも幸せなどやってこないことを、ケイコはちゃんとわかっている。

突き進みたいケンジと、冷静に見つめ始めたケイコのやりとりは、切り口を変え、理屈を変えて、長い間カウンターに響き渡るのだった。


<第21話>

お互いの幸せのためと、ケンジを思いとどまらせるケイコだが、ちょっとでも気がゆるむとケンジの気持ちに応じてしまいそうだ。

『私だって本当はね、恋を始めてもいいかなって思ったりもした。ツラい時に優しくされたいし、頑張った時は褒めて欲しい。ケンジくんになら本音で甘えることが出来て、女としてもちゃんと見てくれるんじゃないかって。でもね、私には子供達が一番大切で絶対に裏切れない。ケンジくんもきっとそうだよ。』 ケイコの気持ちがケンジにも届きはじめる。

『じゃあ待ちますよ。ケイコさんが俺を信じて受け入れてくれるまで、それまで待ちますよ。』 ケンジがグラスを一気に空ける。

『そんな出来ない約束なんてするもんじゃないよ。ちょっと冷静になって考えてみて。もし、10年後も同じ気持ちだったらその時はいいわよ(笑)。』

『もっと男を磨いて、また気持ちを伝えに来ますよ。何度でも。それまで変な男に騙されたりしたらダメですからね。』 ケンジが微笑み、ケイコも笑みを浮かべる。

もうすぐ日付が変わり、クリスマスイブを迎える。


<第22話>

願いは叶わなかったケンジだが、気持ちを伝えることが出来て、晴れ晴れとした表情を浮かべる。笑顔のケンジとケイコが、店を出てエレベーターに乗り込む。

『こうやって勇気を振り絞って手をつないだ時、嫌がられたらどうしょうとドキドキした。握り返してくれた時は本当に嬉しかった。』 ケンジはそう言いながら、ケイコの手を優しくつなぐ。

『私もね、すごくドキドキしたしとても嬉しかったよ。なんだか信じらんない感じだった。』 ケイコもまた握り返す。

駅までの残された時間。もう二度と2人で逢うこともないだろうことは、2人とも薄々感じている。誰にも邪魔されない2人だけの時間、誰にも邪魔することが出来ない2人だけの空間。

駅はもう目の前。終電の時間も近づいてゆく。駅に入り柱にもたれかかるケンジ。

『俺、逢えてよかったよ。』

『私もだよ。』 ケイコが向かいあう。

『ねぇ、俺のことを忘れさせてくれなきゃ終われないよ。』 ケンジが悲しい目でケイコを見つめる。

ケイコはしばらく無言で考えた後、目を閉じ、ケンジにもたれかかり、ケンジの唇に重なり合う。

『ばーか。そんなことしたら本気で忘れられなくなるだろうが。Merry Christmas !』 ケンジはそう囁いて、深く長い口づけをした。


【完】


kou_blue97 at 00:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 后箆∈椒轡蝓璽困發痢 
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